2008-01-01から1年間の記事一覧
小春日和の日、屋根でしきりにおしゃべりしている雀の声が聞こえてくる。 これが実に豊かな会話で、画一的なさえずりではない。 おしゃべりを楽しんでいるとしか思えない複雑さがある。 彼らは家族や一族で群れを作っているらしい。 豊作の稲田でたっぷり食…
カナダ人のSさんと中国人のSさんの話を聴いて <私の発言> T.Sさん、あなたは自分を「外人」と何回も言われましたね。 日本では、「外人」という言い方と、「外国人」という言い方とは、一緒のようにごちゃごちゃに使われています。 あなたは、8年前…
地元の家屋解体業者から柱の廃材は手に入らなかった。 ちょうど解体する家があり、柱をはずすことができるか、やってみましょうと、 業者の奥さんから返事をもらっていたが、 重機で壊す工事ゆえに、柱を分離して取り除くにはやはり手間が掛かり、 やれなか…
朝日に輝く鹿島槍岳から白馬岳。 烏川大橋を渡って北側から山に入る一の沢の道を登っていくと、烏川渓谷の森がある。 散策路が通じていて、こんなところがあったのかと来てみて、感心した。 落葉松の黄葉は風が吹けば音もなく吹雪のように舞い落ちてくる。 …
木立を配した伝統の美。 地元自治会の臨時の評議員会があった。 大型の薬局店舗が進出してくる計画があり、計画案を地元自治会として承認するかどうかという議案だった。 出店する会社側から二人の代表者が来て、計画案を説明した。 計画では、敷地面積28…
新聞をざっと読んでいくと、記事の方からこちらの眼に飛び込んでくることがある。 飛び込んでくる記事は決まって、こちらのアンテナにひっかかる内容である。 11月6日の場合、声欄を読み飛ばそうとしたら、一つの投書が飛び込んできた。 「元兵士である。…
サトイモを収獲した。食べられなくて台所に転がっていたイモを、この春に庭の片隅に植えた。そこは生ゴミや枯れ草を埋めたりしていたところで、サトイモにとっては最適の、有機物の豊富な土になっていた。夏の日照りのときも水やりをして育てたから、大きな…
市内の工房やギャラリー、美術館から農家まで142軒がネットワークを組んで、 一斉に公開展示を行なった。 文化の日までの連休、 洋子と二人で何軒か回った。白壁の土蔵がギャラリーになっている。 もとは米倉だったそうで。 蔵(くら)の外の庭に置かれた…
「我々は、命令が下ればそれに従うだけです。」 2003年12月、自衛隊のイラク派兵が決まったとき、そう語る隊員の映像が報道された。 つい最近、航空自衛隊の幕僚長が、「我が国が侵略国家だったというのはぬれぎぬ」などと主張する論文を書き、更迭された。 …
朝起きたら、すりガラスのように白っぽい窓、結露している。 霧がたれこめていた。 外に出る。一枚多く着込んできた。 枯れ草に霜が降りている。初霜だ。 「霧がながれる〜ソバ畑〜、ランちゃん〜、ウンチはまだですか〜」 以前即興でつくった歌が、頭に定着…
紅葉の梓川をさかのぼり、 安房峠の下に掘られた長いトンネルを通って、飛騨の高山に行ってきた。 紅葉は、峰の上から谷へ、なだれうつ。 高山の街は、観光客の数にかげりがあるように思われた。 紅葉盛りのシーズンなのにいつもより少ない。 宮川沿いの朝市…
人は、自分の脳のかなりの部分を使いきれずに一生を終える。 引き出されず、開発されずに、埋もれたままの才能は、そのままこの世から消えていく。 コンピュータは機械の脳。 ぼくは、ブログとメールと検索に使うだけのコンピュータ。 満載された機能の大部…
二日間にわたって、強風が吹き荒れた。 バケツも植木鉢も吹き飛ぶ。 材木の覆いのブルーシートが風をはらんでバタバタ音を立て、今にも吹きちぎられそうだった。 大きく育っていた野菜は、みんな同じ方向に倒れてしまい、茎の折れるものもある。 外に出て、…
学校で先生が休んだら、その先生の授業時間には他の先生が代理で入る。 それを「補欠」の授業と呼んでいる。 中学校の場合、担当授業ではない空き時間は、教材研究や準備、テストの採点、生活ノートの点検や返事の書き込みなど、さまざまな仕事を行なうから…
まだ開発の大波が押し寄せる前のこと。 ぼくは19歳だった。 仲間二人と夜行列車に乗って冬山の偵察登山に出かけた。 信濃森上駅から静かな山村を抜け、山道を歩く。 一日かけて登ってきた神の田圃、森の中にぽっかり開けた湿原地帯、 池塘が点在していた。…
3間×5間の広さの工房兼学習室を、一切業者に頼まず、すべて自力で建てようと考えたのは、なんとか費用をかけたくないという切実な現実からで。 プロの大工でもない、体力も低下している自分が、納屋やガレージを建てたこれまでの少ない経験だけでチャレン…
80歳を過ぎているお向かいのマーばあちゃんは、脚を傷めてから歩くのはおぼつかない。 でも、外出のときは真っ白なかっこいい車でさっそうと出かける。 ずーっと一人暮らしだ。 マーばあちゃんは、車を点検してもらおうと業者に連絡した。 翌朝、業者がや…
10月17日に、信州・伊那市にある常円寺で、ひとつの法要が行なわれた。 戦時中、満蒙開拓青少年義勇軍に入隊して開拓にたずさわった老いたる少年たちの生き残りが、 敗戦前後に亡くなった仲間への追悼法要を行なったのだった。 当時、15歳だった少年た…
土曜日の午前中にOさん、午後にKさんがやってきて、教育論議に花が咲いた。 Oさんは中部地方の中学校非常勤講師、Kさんは首都圏の小学校教諭、Oさんは60歳に近く、Kさんは30代。 夏にやってきたAさんは50代前半の近畿の小学校常勤講師。 非常勤…
土に還っていかれたS子さんを偲ぶ会は、地球宿で行なわれた。 夜7時ともなると、どっぷり暗い。 地球宿にはあんどんが灯り、料理1品を持参した参加者が、集まってくる。 リンゴ園のアキオ君夫婦は、フーばあちゃんと、産まれたばかりの赤ちゃんに二人の子…
I さんが、一日薪集めに行って薪割りをしてきたと聞いた。 薪ストーブに火の入る季節が近づいている。 冬に備えるこの時期、 大根も蕪も、ほうれん草や小松菜、野沢菜も、しゃきしゃき育っているのを見ると、 りんりんとみなぎる生気が伝わってくる。 冬が…
夕べは東山から十五夜の月だろうか、大きなオレンジの月が昇ってきて、 「月がきれいよ、見てごらん」 あたりはすっかり暗くなって、庭に立っている80歳を超えたみよ子さんに声をかけた。 みよ子さんの顔はよく見えなかった。 「バラの剪定をやっておいた…
高村光太郎は、日本の敗戦後、岩手県太田村の山の小屋にひきこもり、「暗愚小伝」という数編の詩を書いた。 その詩集「典型」の序文に、こんなことを書いている。 「ここに来てから、私はもっぱら自己の感情の整理につとめ、また自己そのものの正体の形成素…
2学期、一人の転入生があった。 「二年生です。どなたか、クラスに受け入れてくれますか。」 教頭が言う。 教務部からの話では、いっさい転入に必要な書類はなかった。 「事情があるようで、なんでもこの地域に住んでいる親戚を頼って来たみたいです。 昨日…
日曜日、朝7時半からの公民館掃除をすませて、9時前から洋子と出かけた。 今日は秋晴れになるから、それに山の紅葉が今日ぐらいがピークだというから。 洋子が、おにぎり弁当を作ってくれた。 なつかしい栂池。50年前、ほとんど未開発のこの地域にぼくらは…
半世紀前は学校内の印刷物はガリ版印刷だった。 ガリ版印刷とは謄写版印刷のこと。 細かい凹凸がつけられた金属やすりの上に蝋原紙を置き、鉄筆で文字を書くと、 文字の部分に細かい穴があく。 インクをつけたローラーを原紙の上を転がすと、 穴を通って出て…
日教組が道徳教育に反対してきたから、教育が荒廃した、 結果モンスターペアレントも出てきた、という批判。 町村氏が中川氏を弁護して発言した。 辞任した中川国土交通大臣は、小泉時代に文部科学大臣だった。 福田内閣の官房長官だった町村氏も以前文部科…
日曜日、朝6時半に無線放送が入った。 この地域、各家庭に防災無線機が設置されていて、朝6時半、昼12時半、夜8時半に地域のニュースが放送される。 地震など災害発生のときは、何時であろうと臨時放送が行なわれる。 今朝は地震発生を想定した防災訓練…
国会論戦を聴こうとラジオをつけたら、相変わらず盛んなヤジだ。 発言している人の言葉をけなし、罵倒し、発言の意欲をそごう、発言を封じようと、蛮声を張り上げている。 下品で粗野な、どなり声。 ヤジを発している連中はほとんどまともに聴いていないのだ…
今は亡き灰谷健次郎が、 人間一人が生きていくための野菜を作るとしたら、 そんなに広い土地は要らない、 わずかな土地でも、自分の食べる分を作ることはできる、 猫の額のような土地でも、自分の家族の分くらいは自分で作ってみましょうよと言って、 実際自…