2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

声「教師をやめたいと思うあなたへ」

今朝の朝日新聞、声の欄に、「教師をやめたいと思うあなたへ」という見出しの投書が載っていた。元中学校教員の65歳の男性の意見だ。正直な、謙虚な、温かい人間性を感じるその記事を、そのままここに載せる。 「駆け出しの頃、私の授業は私語だらけ。生徒と…

ブレヒトの詩「少年十字軍 1939」

<ブレヒトの詩から> 少年十字軍 1939 39年、ポーランドに 血なまぐさい戦争があった 無数の町の また村のあとに 荒涼たる廃墟が広がった 東の街で ひとは口々に語り 雪は降り積んでいる 聴いたか 一種の少年十字軍ができあがり ポーランドを進発してい…

小説「復活の日」(小松左京)

「復活の日」(小松左京)を読むと、かつて観たグレゴリーペッグ主演の映画「渚にて」を思い出す。第三次世界大戦が勃発し、核爆弾で北半球の人々の大半は死滅した。生き残ったアメリカ海軍の原子力潜水艦は、放射線が比較的軽微なオーストラリアのメルボル…

70年ほど前の「天声人語」

朝日新聞への投書 私は、1955年高校三年生の時から大学山岳部時代まで、山行を山日記に記録していた。今は古びた山日記、そこに私は朝日新聞「天声人語」の切り抜きを一片はさんでいた。それは黄色く変色し、活字は驚くほど小さい。1字が7ポイントほどだ。…

ゴッホ 星への旅

「ゴッホ 星への旅 上下巻」藤村信著(岩波新書)、<昨日の続き> ゴッホ(ヴァンサン)は、麦秋の海の中で、人知れず死を全うしたかった。夕べに麦畑のなかに倒れて、だれにも見出されずに、大自然に埋もれたかった。天上の星へ行き、星になりたかった。 …

ゴッホ 兄の死

「ゴッホ 星への旅 上下巻」藤村信著(岩波新書)は、ゴッホの生涯をたどる、感動的な伝記物語である。事実の軸に、いくらかの作者の創作も加わっているだろう。 ゴッホの生まれる一年前に兄が生まれ、間もなく死んだ、この事実がゴッホや家族にどのような影…

生徒を支える仕事

高校の非常勤講師を務めていた頃、私は70代に入っていた。勤務校は南松本にあった。通信制と言いながら、実質は通学制だった。いつ登校してもいいし下校してもいい。制服はない。クラスもない。要するに高校卒の資格を取れるところとして、存在していた。数…

筋萎縮症の生徒と、「こころ」(漱石)を読む

11年前の9月26日、この「野の学舎」に書いた記事を再録する。 私は私学の高校の非常勤講師をしていた。いつ登校してもいい、マンツーマンで生徒と接し、学習を援助する。いろんな子がいた。小学校中学校とも、不登校だった子、いじめを受けてきた子、障がい…