人間の感情

イスラエルの民、ガザの悲劇

ガザの悲劇、上のような写真がネットにとどいた。 1月29日夜、NHK「クローズアップ現代」は、「ホロコースト生還者が語るガザ攻撃」という苦悶の映像を伝えた。 第二次世界大戦前夜から、ヒトラーのナチス・ドイツはユダヤ人絶滅のホロコーストを企て、それ…

ゴッホ 兄の死

「ゴッホ 星への旅 上下巻」藤村信著(岩波新書)は、ゴッホの生涯をたどる、感動的な伝記物語である。事実の軸に、いくらかの作者の創作も加わっているだろう。 ゴッホの生まれる一年前に兄が生まれ、間もなく死んだ、この事実がゴッホや家族にどのような影…

心に刺さったトゲ

心に突き刺って、いつまでも残り続ける記憶がある。 ふだんは心の奥に隠れているが、ある時ひょいと顔をだす。 取り返しのつかないことをしてしまった、あの時。 その記憶はトゲとなって、キリキリキリと心を刺す。 なぜそんなことをしたのだろう。 なぜそん…

追憶の山

以前、アキオ君のリンゴ園で 夕暮れが速い。ストックをついて、常念岳を見ながら野を歩く。諏訪神社に向かう上り坂。冬枯れの田んぼに麦が芽を出している。意識して大股で、足を伸ばし上げるように歩く。ストックを突く両腕に力が入る。この歩き方をすると、…

認知症

年が年だけに、私も記憶していることがあやふやになることが多くなった。今日は何月何日? えっと何日だったけ。 彼の名前は? えっとなんだったっけ。 家内が一冊の本を生協から購入してくれた。タイトル「ボクはやっと認知症のことがわかった」、著者は長…

息子の紹介 心に残る出来事

息子から 「僕がよく見ているインターネットのサイトに、Quoraというサイトがあります。みんなの質問に、色んな人が答えるというサイトなんだけど、いい回答が沢山あるサイトです。そこで、『教養はなぜ大事なのか』という質問があって、その答えが心に残っ…

ゴーサイン

朝の散歩、 頭に浮かぶもの。 昨夜、ぼくらはオリンピックのカーリング女子を見ていた。 日本選手の笑顔、快活に、試合を楽しんでいる。 そして試合に勝った。 負けた相手チームの選手は、試合途中も表情は硬かった。 その前、日本選手の顔に笑顔はなかった…

人間、みんなチョボチョボや

北京オリンピックの日本選手の活躍を見て、おうおう、すごいなあ、と感嘆する。 朝、新聞を開いた。ウクライナの危機、アフガン国民の悲惨、幼児が体罰で殺された。重苦しいニュースが伝えられている。オリンピックニュースはたちまち脳裏から飛び去った。ミ…

間(ま)をとる

テレビの国会中継をしばらく見ていた。 安倍総理を野党議員が質問し追及している。記録を見ながら、早口でまくしたてる野党議員、言いたいことが山のようにある、それを全部言いたいのだろう。議員は、当然意識している。この弁論は安倍首相にぶつけているが…

いいねえ

14歳の中学生、女の子。声の欄に投書していた。(朝日新聞) 声欄の右隅、ふだんは飛ばし、社説と次のページの意見欄に目が行くのが、今朝は不思議にこの中学生の声が、こちらの目に飛び込んできた。「この文章はおもしろいよ」、そういうのは、向こうからピ…

 「ごちそうさん」、哀しみと愛

テレビドラマ「ごちそうさん」を毎朝観ている。 俳優たちはその物語の人になり、ぼくは、描かれる場面を自分の中でふくらませて、感情移入する。フィクションの奥にひそむ真実がある。 終戦前、息子活男の戦死を伝える公報を母親の芽以子は受け取った。けれ…

 フィギュアスケート選手の涙

ライトに浮かび上がったリンク中央で、織田が泣いている。「今日をもって現役を退く決意をしました」という意味の声が埼玉のアリーナに響く。観客席から拍手が起こった。声が飛んだ。そのとき、織田をめがけて飛び出してきた人たちがいた。鈴木、浅田、村上…

 別れを惜しむ

「8月7日の深夜、2時半に帰ります。9時の飛行機に乗ります」 公民館での日本語学習のとき、王さんはそう言った。4日の日曜日だった。それを聞いたぼくの頭は回転せず、7日の深夜? 2時半に出発? それから名古屋空港まで送ってもらって、9時の上海行…

 感情が狂わす人間関係

若輩教師のころ、夏休みが終わって二学期が来た。陽に焼けたA子に、「黒くなったね」と声をかけた。するとA子は、「先生なんか嫌い」と言って、ぷいと行ってしまった。親しみをこめて言ったのに、どうして腹を立てるのかと、今度はこちらが不愉快になった。…

 「神の見えざる手」と人知

ランと朝の散歩をしていると、新しい自動販売機が道端に設置されているのに気づいた。土木工事業者の資材置き場のは入り口だ。周囲は畑、こんなところに設置して、道行く人が買っていくのだろうか、と思うのだが。小一時間のコースの途中に5箇所のドリンク…

 幼い子どもは魂で感じとる

「死」というものがどういうものかを教えられることなく、経験することもない幼い子どもの心に、「死」はどのように感じとられるだろう。 戸井田道三が子どもたちに書いた人生論「生きることに○×はない」(昭和53)に、こんな体験を書いている。 「たぶん…

 人を弱らせる感情

朝、眼がさめたが、外はまだ暗く雨も降っていた。明るくなるまで布団の中にいながら考えていた。 夫婦の間に流れる感情の、ときどきのさめた感じ、何かのきっかけで起こる感情の停滞、低気圧。 それを考えていた。 それは喜びではない。楽しみではない。 寒…

 唐突に浮かんでくる記憶

今朝は霜が凛凛と、クヌギの林を過ぎてふっと頭に浮かんだ記憶があった。 誰の小説だったか、記憶の引き出しがきしんで名前が出てこないが、そのシーンだけは頭に浮かんだ。 教師は朝礼台の上で子どもたちに別れの挨拶をした。 「帽子片手にみなさん、さらば…

 あいさつ

「北海道紋別郡滝上町の森に生きる「おじじ」の話を先日書いたが、 今日、「しょうちゃん」という人からコメントをいただきました。 岩手の花巻へ「おじじ」を招いてお話会をする計画があるらしく、ぼくの文章を使いたいということでした。 拙文ですが、使っ…

 対立を生む感情、それを溶かすもの

感情の動物、人間。 人間と人間の間にはいろんな感情が生起する。 こちらが親しい感情をもっていた人であったにもかかわらず、その人の言った言葉で反感が生まれ、 嫌いになることがある。 多くの人が感動する熱唱、それでも感動しない人もいる。 あることに…

 消えない悔恨の情

虹 毎月第3月曜日に特集している新聞(朝日)の「語りつぐ戦争」。 その11月16日の声欄には、9編の投書が掲載されていた。 声欄は、500字以内というきまりになっている。 500字というわずかな字数に、戦場体験や戦時中の暮らしを書き表すことは…