2006-01-01から1年間の記事一覧

  賞味期限切れの品物

賢い主婦は‥‥ ぼくは最近、自炊している。 三日に一回はスーパーへ行って食材を買う。 牛乳は、カスピ海ヨーグルトを机の上で作って、毎日飲んでいるので、 1リットルパックを買ってくるが、 賞味期限の日付は、ほとんど見ないで買うことが多い。 夕方に行…

 雪降れり

雪の日は雪の日の心 今朝から雪が降り、 昼まで舞っては止み、舞っては止みしていた。 雪降る日は、人も鳥も、物もしんと静まり返っている。 雪の日は、人の心を、雪の日の心に変える。 「この日、雪降れり」 詩の一節が浮かぶ。 室生犀星の詩だった。 此の日…

 ⑪ 闇の中での野生体験

闇と夜明けの不思議 自然界の底知れぬ暗闇や、 しらじらと明けゆく天と地の夜明けの神秘を、 現代の子どもたちは知らない。 自然界を流れる時間や、宇宙の鼓動を肌で感じたことがない。 野生を体験する、 山を歩こう。 子どもたちと夜間登山をやったことがあ…

 ⑩ 新たな学校で登山部をつくる

真夜中の鱒とり 6年間務めた淀川中学校から新たな学校へ転勤して、 そこでも登山部を作ったときのことである。 矢田中学校、当時の大阪では困難校として知られていた学校で、 ぼくはあえてそこを志望して転勤した。 先輩教師の苦闘を観て、なにがしかの協力…

  野生をとりもどす(1)

今、子どもに欠けているもの おさかな博士が言っていたことだったが、 水槽のなかに閉じこめられた自然界の魚は、 一匹の魚を集団でつつき回すようになることがあるとか。 日本の子どもも、 限定された空間から自由に離陸できない状態がつづくと、 エネルギ…

 生と死

ミントと観葉植物 ペットボトルの上を切り取った下半分に、 公園から腐葉土を取ってきて入れ、 夏の終わりの散歩のときに、 同僚が摘んできたミントの蔓の先端をそこに差した。 宿舎の部屋の窓際に置き、 ほんの少しずつ水をやっていたら、 新しい葉が出てき…

 灰谷健次郎、木下順二

訃報、灰谷健次郎、木下順二 この秋、灰谷健次郎が逝き、木下順二が亡くなった。 灰谷の死は思いもかけないことだった。 灰谷はまだ若い。 九十二才で去った木下順二の年まで二十年あった。 この時代、まだまだ逝くべきではなかった。 書くべきだった。 無念…

 憲法九条を世界遺産に

日本国憲法のルーツ 「憲法九条を世界遺産に」(太田光・中沢新一 集英社新書)を読んだ。 憲法を世界遺産に、という発想が鮮烈で、 これは読まねばならないと、出版された夏以後、思っていた。 太田光と中沢新一の対談で構成されている著は、「爆笑コンビ」…

 国分一太郎 

生活綴り方教育との出会い あの本の初版が出版されたのは1951年だったが、 ぼくが手に入れたのは、 それから10年経った1961年だった。 ぼくはまだ教師のヒヨコ。 子どもの見方、教育というものについて、 ずしんと胸に響いてきたあの青い表紙の読…

[愛犬と暮らす] いたずら

いたずらというもの 一歳になるまでは、夜中でもランはいたずらをやっていた。 夜中に音がする。何だ? 行ってみると、 引きちぎられたトイレットペーパーが部屋中に散乱している。 棚のものが落としてある。 めがねケースが壊されている。 こんな時間に、何…

 犬飼道子の体験

荒療治のように見える優しさ 犬飼道子が若い頃、アメリカに留学していたとき、 重い結核にかかった。 彼女は三年間、療養所で暮らした。 そのときの主治医は、 ジョン・ウェインのような単純で頑固な西部男で、 療養する犬飼を荒々しく、しかし優しく教育し…

 ナバホの子どもたち

ノートの中 十年ほど前、 ぼくは、印象に残った本の記事をノートに書き写していた。 そのノートの中に、 「大地とともに インディアンと暮らして」(本間正樹)という見出しを付けた記事があった。 それを拾い出してみると、こんなことだった。 〈ナバホの子…

 りんご収穫

天からの恵み 今年の紅葉は長く美しかった。 安曇野をとりまく東と西の里山は、一昨日までまだ黄葉を残していたが、 北アルプスの山々が白くなってから、次第に雪は下りてきて、 今朝は里山も雪化粧になっている。 田野に積もるまでには至らない。 近くの野…

 学校に歌声を

明日に架ける橋 録画しておいたビデオを観た。 NHKで放送された、サイモン&ガーファンクルの歌、 「明日に架ける橋」をめぐるドキュメンタリー物語。 「明日に架ける橋」は、ベトナム戦争が泥沼化していくアメリカで生まれ、 反戦運動や黒人の公民権運動…

 子ども集団の今(6)

学級弁論大会で語った女の子のこと 淀川中学の教員になって3年目、学級弁論会を学級活動の時間に開催したときの、 痛恨の迷いを忘れることができない。 教員になってからぼくは、6時間目の授業が終わって下校する前の学級活動の時間をフルに活用した。 学…

 お灸をすえた

ひざとお灸 ひざにお灸をすえた。 「せんねん灸」という誰でもできる簡単なお灸。 ライターの火を、箸の先端ほどの灸の先に点ける。 細い一本の煙が曲線を描いて、 香りとともに立ちのぼる。 ひざの皿の周りを指でぐりぐり押して、 痛みを感じるところへ、の…

 子どもが動き出すとき

子どもは必ず動き出す(子ども集団の今 5) 子どもらが動き出すとき、というのがある。 子ども集団が形成されていくにつれ、子どもの自主性・自発性が発揮され、 思いがけない発想が子どもの中から生まれてくることがある。 子どもらが動き出す、 これは教…

 秋深まる

冬近し 地区の人びとによる農道の草取りがあった。 各戸からひとりずつ出て、 早朝一時間ほど、鎌や鍬で道端の草を取り除いていく。 奈良の葛城路に住んでいたときは、「道づくり」と称して、 住居区の道端の美化と草取りをする作業だった。 安曇野でのはじ…

 子ども集団の今(4)

問題のとらえかた よいクラスは、問題が起きないクラス? 悪いクラスは、問題が起こるクラス? いいや、そうとは言えない。 問題が起こっているがよいクラスもある。 問題が起こっていないけれども、よいとはいえないクラスがある。 問題が起こるクラスは、…

 子ども集団の今 (3)

いじめ 子どもにとって、友だちのいない生活は砂漠のようなものだ。 かつて巷のいたるところに見られた、 楽しくて楽しくてたまらなかった自由な子ども世界が消えてしまってから、 子どもが子ども同士で魂を燃焼させ、もまれて育つ場がやせ衰えてしまった。 …

 子ども集団の今 (2)

いただいたコメント 11月6日の「子ども集団の今」について、こんなコメントをいただいています。 再度、要旨を紹介します。このコメントについて、また意見を交換できるといいなと思います。私も考えたところを出していきたいです。 ミチさんは、NHK・…

 犬との会話

犬との会話 「ネコ、どこにいる?」 「ネコ」と聞くと、ランは首をすくっと立て、目は鋭く、 庭を眺め回してネコを探す。 軒先に来る野良ネコがいて、ランは彼らを見つけると、 窓越しに吠えたりすることがあった。 「お父ちゃんが、帰ってくるよ。」 ぼくが…

 田んぼのドジョウ

アイガモ農法の田んぼにドジョウ タカオくんが、田んぼの周囲の草を刈っていた。 アイガモ農法でつくっていた、赤米の切り株だけが残っている。 水たまりが少し、水口の辺りにある 「昨日、テレビに出ていた田んぼはここかい? ふーん、ここ、それでドジョウ…

 「良民」という服従者・加担者

辺見庸の体験から考える 辺見庸が「恥」について書いている。 タイ・カンボジア国境付近の最悪のカンボジア難民キャンプでのこと、 テントに運び込まれるたくさんの屍体があった。 キリスト教の白人シスターたちがこのキャンプに来ていて、 ボランティア活動…

 金沢嘉市の生き方

教育の目的の喪失 金沢嘉市が小学校教師になったのは1928年、 学校は全体主義の国家に従属していた。 金沢は童話を子どもたちに語る教育活動に専心した。 そのなかに「闘うドイツ少年」という、敵愾心をあおる作品もあった。 1931年、日本はアジア太…

 子ども集団の今

「集団づくり」とは 学校自治会、それらは今、どうなっている? 学校における問題を解決し、 生活をよくし、 学校文化を創りだし、 みんなが成長していくための、 児童生徒、学生自身による自主活動。 小学校の児童会、中学校高校の生徒会、大学の学生自治会…

 上高地散策

晩秋 今日も朝霧が野を覆った。 日の出の時刻、 夜のかけらを残した空に、赤く染まった山々が浮かび上がる。 どこからか、夜の冷気をたっぷり吸った土からか、 湧き出てくる乳白色の朝霧に野や森は包まれ、 たちまち風景は消え去っていく。 半時ほどして霧の…

 小布施で体験したこと

小布施に行ってきた 北信濃に小布施という町がある。 長野市より北にあり、志賀高原や野沢高原に近い。 秋晴れの一日、小布施の祭りに行ってきた。 リンゴ畑の道を通り抜けてたどりついたそこは、 古い家並みも残る美しい町だった。 歩行者天国の通りに、 地…

 辺見庸の本

時代の変化 松本市の中央図書館へ行ってきた。 図書館には顔があり、考えがある。 なかに入ると、そこがどんな図書館であるか感じるものがある。 入った正面に、平和教育コーナーがあり、 戦時中の軍事に関係する松本の施設の写真、文献、遺品、遺跡の模型が…

 心に残る子どもたち (2)

二つの学級通信 その年、ぼくの発行していた学級通信は「ていてつ」というタイトルでした。 学級通信の名前は、毎年変えていて、 「またさぶろう」というタイトルもあったし「峠の茶屋」という年もありました。 「ていてつ」は蹄鉄、小熊秀雄の詩「蹄鉄」に…