旅での出会い
下やん、元気かあ。「最老後」(こんな言葉はないけど)が、ひたひたと押し寄せてくる感じやねえ。オレは若いころ、「カモシカ男」「不死身」を豪語していたけど、やっぱり近づいてくるものがあるなあ。朝と夕方、二本ストックついて野を歩くんや。北アルプ…
かつて辻邦生が、次のような文章を書いていた。こういう文章を読むと、なつかしさとともに、熱いものがよみがえってくる。 ☆ ☆ ☆ 北杜夫とともに、ローテンブルグから支線を乗り換え、ヴュルツブルグで本線に乗り込んだ時、胸がときめいた。15年来、抱き続け…
カトマンズの「さくら」という日本料理店で親しくなった男性は、どんな事情があって空港に来れなかったのか、いろいろ想像するとすごく心配だった。が、一瞬の出会いの人であるから、時間と共に過ぎ去っていく。彼はやがてぼくの意識から消えてしまった。 し…
26年前のことだが、ネパール山岳地帯の森林が荒廃し砂漠化が進んでいた。急ピッチで森がなくなっており、大雨が降れば洪水が起こる。被害はバングラディッシュにまで及んだ。少しでも歯止めをかけねばと、日本のNGO団体「アジア協会アジア友の会」はネパー…
旅の中で出会い、数日を共に過して別れ、再び会うこともなかった人、 我が旅の道程を風のように通り過ぎていった人、 行きずりの人は通りすぎれば消えてしまう、だがその人の記憶は不思議に心に残っている出会いがある。 何日間か、その人と過した日が友情の…