2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 子どもへの虐待 <「カラマーゾフの兄弟」イワンの憤激>

子どもへの虐待が増えているという。虐待という言葉で表される事象はかなり多岐にわたる。体罰という直接の暴力にも、ネグレクトという育児放棄にもさまざまな形があり、それが虐待だと当事者はとらえていないのも多い。 近所の家で、虐待が行なわれているこ…

 <安曇野市民ネットワーク設立>、「ブータンをモデルに」      

「私はねえ、専門がドイツ文学なんですよ。政治、経済が専門ではないんですよ。」 そういう中野和朗さんの話は、言葉はやわらかく、内容は温かい。参加者から笑いもおこり、聴く耳に楽しかった。 中野さんは、元松本大学学長で、今は「信州自由塾」名誉塾長…

 「雪降る田んぼの遺体の話」

80歳になるTさんがこんな話をした。 「私の近所のねえ、田んぼの中に、なんか変なものがあってね。朝、雪が降っていただ。小学生が学校へ行くときに、それを見て、あれ、変なものがある、何かな、そう思いながらそのまま学校へ行っただよ。午後、学校から子…

 現代の飢餓

早春賦歌碑、穂高川の堤の上で。 仰のけに寝ていた。左のわき腹の下から、パンパンパン、一秒に二回ぐらいの速さで、衝撃波が体の内部、腎臓めがけて発射される。 まな板の鯉か。パンというピストルを撃つような音と共に、パシッと皮膚を押すような軽い痛み…

 運動する市民のネットワークをつくる

文章はよく覚えていないのだが、水上勉のそれを読んだときの自分の心の状態は覚えている。 深夜、水上勉のところに突然電話がかかってきた。 若狭からだった。水上の故郷は若狭、福井県大飯町。 電話の声は低く、声を押し殺すようにむせび泣く。 「勉さん、…

 古本

松本の古い趣の漂う街中を歩いていて、ぽっと右目に留まった看板がある。「細田書店」の古ぼけた黒い文字。 あ、ここか。ときどき新聞に小さな広告を出していた古書店だ。 ガラス戸をがらがら開けて入ってみた。古本のなつかしい匂いがする。 東京神田の古書…

 人の美意識

先日のシンポジウム(テーマ『安曇野在住の若手世代による安曇野の未来とわたしの夢』)で、小学校教員の圭さんが、故郷を愛し、故郷に根づく子どもたちを育てたいと語ったこと、その後のグループ討論で、二人の年配の方が語られたこと、そのことに関連して…

 若い世代が語った、『安曇野の未来とわたしの夢』

日曜日、望三郎君とその仲間が企画した集会に行ってきた。 会場は豊科交流学習センター。シンポジウムは、テーマ『安曇野在住の若手世代による安曇野の未来とわたしの夢』。 若者たちの集会だから入場するときちょっと気を使うなあ、と思っていたが、会場内…

 「神の見えざる手」と人知

ランと朝の散歩をしていると、新しい自動販売機が道端に設置されているのに気づいた。土木工事業者の資材置き場のは入り口だ。周囲は畑、こんなところに設置して、道行く人が買っていくのだろうか、と思うのだが。小一時間のコースの途中に5箇所のドリンク…

 小説「旅立ちの予感」

小中学校時代の友、英ちゃんから同人誌が送られてきた。 封を開けてみると、同人誌は233ページの大冊だ。英ちゃんは編集委員になっている。 早速中をのぞいてみると、英ちゃんの小説は50ページに渡っている。原稿用紙200枚だ。 この同人誌は、大阪文…

 部屋の中の水たまりと水滴のナゾ

冬の間、部屋の中に鉢物を入れて、枯れないようにしているなかに、ベンジャミンという名の、木の高さ80センチほどになるのがある。 今は、南のよく日の当たる窓際に置いている。昨日の朝、「あれー」と家内がすっとんきょうな叫び声をあげた。 見ると、ベ…

 高齢化社会の孤独 

車を運転しながら、白髪頭の彼はぽつりぽつり話し出した。 「吉田さんだから、こんなこと話すんだけれど‥‥、」 改まっていったい何? ぼくは助手席に座っていた。 車のライトは雪道を遠くまで照らしている。 「みんな子どもを大学に入れて、よい仕事に就ける…

 福島の百姓詩人の詩『百姓』

斎藤諭吉は、明治43年、福島県豊川村で生まれた。高等小学校を卒業し、百姓となる。「農民文学」に作品を発表した。 百姓 おれは百姓というコトバが好きだ 語感が大変いい 農民なんて おかしくって それに漁民もそうだが 民とは何事だ おれの畏敬するある…