2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

アップルワインの酒場

日曜日の住宅街は、ことのほか静かだ。マイカーは歩道にくっつくように一列に整然と駐車している。そのなかにおいしい田舎料理が食べられる店があるらしい。リンゴワインにソーセージがおいしい店は、どこかいな。店の看板というものはなく、小さな標識があ…

 森の国の春

SPRING、 北の国の 春、五月、 長い冬の眠りから覚めて、 大地から湧きあがる泉(SPRING)、 バネ(SPRING)のごとく跳ねあがり、 木々は芽吹き、花咲く。 まったく予想イメージをはるかに超えた。この壮大な平原の森、聞きしに勝るここは森の民の森の国だ。…

 人間のいちばん悲しい誤り

旅をしてきた。そこは森の国だった。その地の人、ヘルマン・ヘッセはこんな詩を詠んだ。 旅の秘術 あてどないさすらいは 青春の喜びだ。 青春とともに その喜びも色あせた。 それ以来、目あてと意志とを自覚すると、 私はその場を去った。 ただ目的だけをせ…

 こうなることが分かっていた道

土岐善麿の敗戦直後の歌。 あなたは勝つものとおもってゐましたかと老いたる妻のさびしげにいふ 老いたる妻が寂しげに言ったその言葉。「あなたは日本が勝つものと思っていましたか」。 何の疑いもなく信じていたの? それとも疑いもしたの? 私は‥‥‥?、負…

 うらうらに照れる春日に雲雀あがり

めずらしくヒバリを見た。この季節、水田に早苗が植えられ、麦が穂を出している。子どもの頃は、野に出るとヒバリのさえずりが聞こえ、春の野はヒバリの協演だった。ヒバリは麦畑に営巣していた。 田淵行男が「安曇野挽歌」で、「ヒバリの声も聞こえない」と…