2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

 ソロー「森の生活」 4

「すべての人びとをして、自らの仕事に専心せしめよ。そして本然の自己たるべく努力せしめよ。‥‥」 つづいて鶴見俊輔の名訳の部分に至る。 ところで、宮西豊逸訳の上記の部分の入っている段落の最初は、1995年に出版された飯田実の新訳(岩波文庫)では、ど…

 ソロー「森の生活」 3

ソロー「森の生活」の一節を、鶴見俊輔さんが名訳した『太鼓の音に足の合わぬ者をとがめるな。その人は、別の太鼓に聞き入っているのかもしれない』。 では、その一節は、「森の生活」のどのような文章のなかにあるのだろうか。 「森の生活」の終章、「結論…

  ソロー「森の生活」 2

ぼくの持っているソローの「森の生活」は、1950年に出版されたもので、宮西豊逸の訳である。戦後数年の物資のない時期だから、紙質は悪く、今ではボロボロに分解していて印刷の字も見えづらい。この本はどうしてぼくのところにあるのか、たぶん奈良の金剛山…

  ソロー「森の生活」 1

「カッコ―の鳴いている間は、豆を播いてもいいだよ。」 クルミの木のおばさんからそう聞いて、今年は芽の出ないたくさんの箇所に何回も黒豆を播き直した。この表現、いいなあと、心がほっと温かくなった。発芽の日のまちまちな畑だが、それでも今は9割芽を出…

 ネイティブ・モンゴロイドの言葉

いっさいのものは、相互に依存しあって生きている。ネイティブ・モンゴロイドに広く共通する聖なる伝統の認識である。 北米大陸の北に、マリシート族という、自分たちの言葉を持ったネイティブ・モンゴロイドの一部族がいる。彼らは狩猟の民である。この部族…

 先回りした服従

「ドイツには「フォラウスアイレンダー・ゲホルザム」という言葉があります。忖度(そんたく)と同じように、訳すのは難しいですが、直訳すれば先回りした服従という意味です。なぜ、ホロコーストのような大量虐殺が起きたのかを説明する際によく使われます。…

 小さなものたち

これまでもう何年も花が咲かなかったガクアジサイが今年は花をつけた。これまで花をつけないから、いろいろ株に手を加えてきたものの、効果がなかった。ところが今年は、何が変わったのか、花をつけた。何がそうさせたのだろう。ヤマアジサイは毎年順調に育…

 公共交通から未来を考える

マイカー社会になって、ほとんどの人が仕事も買い物もマイカーで行く。安曇野の乗合バスはとおに乗客が減り消えてしまった。 そうしてマイカーを持たない高齢者の足がなくなってしまった。89歳のミヨさんは、マイカーを離せない。医者へ行くのも買い物も、…