2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

早くも冬

今朝、霜が降りていた。稲刈りの済んだ田んぼは、白い。 霧が林や山々に、ベールをかけている。 気温、零度。 冷たい空気を吸い込みながら歩く。気温が低くなり、胸が痛む。ハアハアハア、息切れもする。 胸の痛みは、神経痛だと医師は言った。左乳の下から…

突然、肺ガンがやってきた <6>

僕が退院した翌日、小学三年生のウイちゃんは、お父さんと一緒に燕岳に登って燕山荘に泊まり、元気に下りてきた。 「じいじ、大丈夫?」 「大丈夫、大丈夫。元気だよ。」 夜、退院パーティをやってくれた。ぼくは「モミの木」の歌を歌い、ウイちゃんはそれを…

突然、肺ガンがやってきた <5>

自分も肺ガンだったと言われた隣のベッドの人は、 「私も五時間半の手術でした。」 とのこと。そして 「みごと。」 と一言付け加えられた。ぼくもあいづちを打った。 「見事なもんでしたねえ。」 同感。 五人の医師チームによる手術は、麻酔状態で眠っている…

突然、肺ガンがやってきた <4>

病室604号室は、四人部屋。四台のベッドはカーテンで仕切られて、互いのあいさつも何もない。どんな人なのか。顔も分からない。医師、看護師と会話している時の声は聞こえるが、患者同士は断絶している。これもコロナが影響しているのかな、と思う。 そこで…

突然、肺ガンがやってきた <3>

ぼくは病院の環境について考え始めた。 病室で本を読むには、ちょっと暗い。電灯を点けなければならないから、デイルームへ行こうと思ってストックをついて出る所へ、看護師さんが具合を診に来て、一緒に歩き出した。彼女は学生のような若さ、言葉を交わしな…

突然、肺ガンがやってきた <2>

黒豆の葉が少し色づいてきたが、トマトはまだ実をつけていた。ぼくは信州大学医学部付属病院に入院した。 病院は大きく、複雑な建物配置で、迷路のようだ。病室は四人部屋、それぞれカーテンで仕切られていて廊下側は薄暗い。 僕は、体力を維持するために、…

突然、肺ガンがやってきた

42日ぶりに書く。 八月、咳と痰が、二、三か月前から、続いていたから、かかりつけの近所の医師に診てもらった。レントゲンには何も映らなかった。 「おかしい」 僕は医師に紹介状を書いてもらって、日赤安曇野病院に行った。CTで調べた結果が、「肺ガン」、…