2007-01-01から1年間の記事一覧

「旗」(城山三郎)

作家・城山三郎が今年3月に亡くなり、あらためてその生涯と作品が注目されました。 NHKはETV特集で「城山三郎 昭和と格闘した作家」を放送し、その番組の最後に朗読されたのが、詩「旗」でした。 それは城山の人生をかけた魂の叫びのように聞こえまし…

  志をもって生きる

志 暮れの24日に中国を出港した若者たちが26日に神戸港に到着し、今期の日本語研修が始まった。 新しい世界に立つと、心と体全体が旅の世界を感受する。 海を越えてきた彼ら、 海を見たことのなかった内陸部の若者は、海原や水平線を湧き上がる感動をも…

 しめなわ作りとソバ打ち

地元の居住地の自治会が「しめなわ作り」と「ソバ打ち講習会」を開催した。 毎年恒例の「しめなわ作り」。 地方によって特色がある「しめなわ」、その伝統的なものを代々伝えている。 安曇野では、わらを漏斗状に編んで、上にミカンを載せるものだ。 ソバ打…

 「喪のある景色」(山之口獏)

国営安曇野アルプス公園の「森の光物語」を観てきました。 テレビのニュースや新聞の報道が、今日もまた、悲しい、いたましい事件を伝えています。 一丁の銃が、つい最近も二人の命を奪いました。 山之口獏は、沖縄出身の詩人です。明治36年生まれ。196…

「幸福」(サンドバーグ・安藤一郎訳)

サンドバーグは、アメリカの詩人(1878〜967)です。 工業都市の鉄と煤煙、大草原や民衆を力強くうたった人だと言われています。 ▽ ▽ ▽ 幸福 サンドバーグ ぼくは人生の意味を教える教授に 幸福とは何か教えて下さいと言った。 また幾千という人々の…

「冬の夜道」(津村信夫)

手作りのサンタ。 『お帰り』と言ってくれる人がいる 津村信夫は、明治42年に生まれ、昭和19年に亡くなった詩人です。 津村信夫の作った「冬の夜道」という詩を読みます。 冬の夜道というと、どんなイメージが浮かぶでしょう。 都会に住んでいる人、田舎…

  郵便ポスト

郵便ポストと郵便受け 赤い郵便ポストが、街で見つけにくくなった。 郵便を出そうとポストを探して歩いていくが、どこにもない。 どこにあるんだーい。 人に訊いてみる。 さあ? どこかにあったかねえ。 少し距離のある郵便局まで、車ならすぐに行けても、徒…

  2002・2003の記録 2

夜中から雪が降り積もり、朝は5センチほど積雪。 お昼ごろから晴れてきて、青空が広がった。雪はみるみる融けていき、山が見えてきた。 留守を守り、留守に寄り合ってくれた人たち 2 9/4 今日は仕事が休みだったので、朝から家族3人で来ました。着いて…

  野沢菜漬け

畑の野沢菜 初めて漬けた野沢菜 「かあちゃんは〜、野沢菜漬ける〜。とうちゃんは〜、重石を載せる〜。」 初めて野沢菜を漬けた。 かあちゃんが、地元の生産物を売る物産センターで、野沢菜を10キロ買ってきて、 漬ける容器もそれ用のを買ってきて、 ぼく…

「創造の森学舎」2002・2003の記録 1

留守を守り、留守に寄り合ってくれた人たち あの日々の記録を読み返してみた。 懐かしさと哀惜の気持ちが湧いてきて、胸がきゅっとなった。 「創造の森学舎」をつくる過程を共に歩んでくださった人たちが、 ぼくたち夫婦が中国・武漢大学へ赴任している1年…

 「うそ」(横山多恵子)

「地球宿」に並んでいた酒。よく見たら何やら書いてある。「望ちゃん、愛してる」「悦子 ありがとう」‥‥ 今年の世相を表す漢字は「偽」 に決まったそうです。 日本漢字能力検定協会が全国から公募した「今年の漢字」です。 京都の清水寺貫主は、毎年大筆で墨…

「しあわせ」・「母の手」(高田敏子)

高田敏子は、終戦後の1946年、30歳のときに台湾から日本に引き上げてきました。 着の身着のまま、無一文の敏子は、どうして生きていこうかと、東京の焼け跡にできた闇市をさまよいながら、 豚の内臓などを煮て売るおばさんになろうかと思います。 結局…

 「前へ」(大木実)

<今朝は深い霧だった。霜も降りていた。霧が流れ、木々にもクモの巣にも霧氷が出来ていた。> 軒先の冬の陽だまりに、カマキリが一匹、すくっと緑色の頭をもたげていました。 零下5度の寒さが何度か襲って、分厚い氷が張ったり、霜が大地を覆ったりしてき…

 安曇野地球宿

柿渋染めのタペストリーを飾る 望三郎君の地球宿オープンのお祝いに、洋子は柿渋染めのタペストリーを贈ろうと、 どんな図案にするかの思案から始まって制作していたのが完成し、 日曜日、地球宿に持っていった。 縦170、横110センチの布を柿渋で染め…

 山の郵便配達

返事をしない人 この1年半の間に、3度郵便を送った。 けれども彼は返事をよこさない。 彼に託し、彼が引き受けてくれたものを、送料着払いで送り返してほしい、 それだけのことなのだが、うんともすんとも返事をしない。 事情があるのか、考えがあってのこ…

 竹の皮草履完成

竹の皮の草履ができあがった。 講習会では片一方だけ作ってきて、家でもう片方を作って、できあがり。 竹の皮は、乾燥していたから、初めに湯につけて柔らかくし、それを裂いて編んでいった。 幅や長さを作りながら調整していかなければ、変な形になる。途中…

 「父の歌」(更科源蔵)

安曇野の白鳥。田んぼに水をはり、餌を与えているのでしょう。たくさん集まってきます。病気や怪我をした白鳥は、この横のビニールハウスで保護されています。 昨日書いた「父の歌」というのは、次の詩です。 ▽ ▽ ▽ 父の歌 果てしなく 雪は降りつみ あたりに…

 「母の歌」(更科源蔵)

詩人、更科源蔵が「母の歌」という詩を作っています。 更科源蔵は、1904年の真冬に、北海道の開拓民の子として、釧路川の上流、熊牛原野で生まれました。 源蔵の家は、周りを見渡しても人家の見当たらない一軒家で、隣の家まで3キロも離れていました。 …

 竹の皮草履をつくる

講師の老農民竹の皮で草履を編む、昔からの伝統の農民文化を伝える講習会に洋子と二人で参加した。 長峰高原・天平の森のゲストハウス。 眼下に見下ろす安曇野は、対岸から山がせり上がり、その奥に北アルプスの屏風が白馬岳まで連なる。 長峰山からは年に何…

 さすが大阪や

今日も一日、ごくろうさん 午後5時を過ぎた大阪環状線の電車のなかは、少し混み始めていた。 停車した駅のホームから、降りる人と入れ替わるように七、八人の乗客が入ってきた。 そのなかに50代ぐらいの、いかにも労働者といった感じの、日に焼けた大柄な…

  『信濃むつみ高等学校』

地球が学校、その修学旅行 松本市にある、「地球が学校」という『信濃むつみ高等学校』に、大きな魅力を感じている。 長年やりたいと思いながら、ぼくには実現できなかったことを、その学校は実現し、実践している。 7年前、ぼくは「森の学校、創造の森学舎…

  今朝、氷点下5度

凍った小松菜と太陽が当たって凍結がとけた小松菜 この前の氷点下4度で、庭の植物がいっぺんに変化した。 つるを伸ばしていた雲南百草の鮮やかな緑葉が、夜があけたら完全に黒くしおれてしまっていた。 おかげで朝の野菜ジュースの素がひとつ減った。 アジ…

 安曇野シンポジウム(2)

本日、安曇野に雪降れり。 「世界でいちばん行ってみたい国はどこですか、と問えば、スイスと答える人が多いです。 では、スイスと言うと、どんなイメージですか。」 ぼくの頭には、マッターホルンが浮かんだ。続いてテラスに花を飾った家々。 スイス・ツェ…

  安曇野シンポジウム (1)

下校していく子ども 「山岳と田園が育むよさを大切にし 暮らしやすさを みんなで共有できるまちの実現に向けて」 というシンポジウムに参加してきた。 日曜日の午後、豊科公民館ホールでの参加者は200人ほど。 パネリストは、 涌井史郎 (造園家、桐蔭横…

 トイレへの通路完成

「休憩しまっしょ。」 孝夫君の大家さんの庭木の剪定に来ていた植木屋は、トラックからブドウを4房持ってきて、 2房をくれた。 「こういう工事は難しいね。ほう、柱は稲架かね。曲がってるから、たいしたもんだ。プロだね。」 「いやあ、素人、素人。ボラ…

  『鞄や yumu』

優子が京都の「喫茶&雑貨 ふふふ」で、自作のかばんを展示するという案内のはがきをもらった。 案内状の制作者名は「鞄や yumu」。 大阪からの帰りに寄ってやろう、どんな作品を作っているかな、 と、姪の結婚式に出席してその晩は神戸の息子の家に泊ま…

 リンゴ収獲

常念岳の初雪は10月20日だったが、2度目の積雪が先日あった。これが根雪になるかな。鹿島槍のほうの峰峰は、もっと真っ白になっている。常念岳の麓、正面の谷が、烏川渓谷。そこまでランを連れて散歩することがある。熊も猿も狐も出没するところで、獣…

 お神輿を担いだ中国人研修生

国に帰るホン・シャ ――お祭りで、おみこしを担ぎましたよ。 私は3年間の研修を終え、いよいよ11月末に帰国します。―― 奈良県御所市の縫製工場で働いていた中国人研修生、ホン・シャから、手紙が届いた。 御所市の公民館でボランティア活動をしていた「国…

 『一身独立して一国独立す』

加藤周一「高原好日 20世紀の思い出から」 加藤周一が、「高原好日 20世紀の思い出から」という本を出している。(信濃毎日新聞) 加藤周一は、医者であったが、評論家・作家として活動してきた。 眼光紙背に徹す、それは彼の論においても、まなざしや風…

 菊芋

小春日和、ぼくは大工 倉庫の2階に住んでいる孝夫君たちへ、今、建物の外にある簡易トイレへの通路を作っている。 孝夫君がもらってきた「はざ」(稲架)の丸太を切った柱を立てていると、孝夫君の住居の大家さんが家から出てきた。 大家のHさんは、80何…