2018-03-01から1ヶ月間の記事一覧

 15年ぶりの再会

高さんが遊びにやってきた。15年ぶりの再会だった。中国・武漢大学の三回生だった時に教えた学生の高さんは、社会人になっていくつか大きな日系企業で働いてきたが、その仕事になじめず、自分を発揮できなかった。そこで、経営学を学ぼうと昨年一橋大学の…

 「夕映えの中に」

フィッシャーディースカウの歌うシューベルトの歌曲を久しぶりに聞いていた。 一枚のCDには20曲ほどが録音されている。次つぎと歌曲を聴いてきて、14番目の曲になった。ピアノが静かに前奏を奏で、ディースカウが歌い始めたとたん、胸が詰まった。あの曲。…

 教育の原点

ぼくが愛読するブログに「困らないけど、いいですか」というのがある。筆者は新間早海さん。 今年の一月か二月、そこに、「子どもはまったく完成されていて、かつ未完のまま」という記事があった。 記事は担任教師と子どもたちの距離感がどんどん縮まってい…

 春が来た

一昨々日の重い湿雪で、ひばりの巣は雪に埋もれてしまったのでは?と案じていた。 地面に巣をつくるから、ドカ雪は災難。 ところが昨日、雲雀の姿が見えた。無事だった。巣の位置は、あの辺りかなと遠目で探すが、畑の中まで入ることは避ける。だから目にす…

 風景の中の色

枯れ野の向こう、わずかな麦の緑が混じっているが、そこを越した遠くの方を歩いている赤い点が目にとまる。一キロ以上離れているから、芥子粒ほどだが、それが見える。視界を占めているくすんだ色のなかにあって、赤が目を引く。赤色の特色なのだろう。だか…

 あげひばり

ここ数日、ヒバリと出会う。ヒバリくん、よくもどってきてくれたね。 安曇野に住んでいた写真家の田淵行夫は晩年、「ヒバリの声が聞こえなくなった」と環境劣化を嘆いていた。ぼくも安曇野に来て、ああヒバリがいない、と寂しい思いをしていたが、二年前、麦…

 戦争の闇うったえて兜太死す

安全保障関連法案に反対した金子兜太は「安倍政治を許さない」と墨書したプラカードを掲げた。 金子兜太は2月20日に、誤嚥性肺炎による急性呼吸促迫症候群のため死去した。98歳だった。 兜太は戦時中、海軍の中尉だった。 金子兜太は大学を卒業し日本銀行に…

 ドイツの償い  

犯した罪への心の痛みを、鋭く感じる人とそれほど感じない人とがいる。国という大きな組織集団が犯した罪は国家が贖罪しなければならないが、そのとき、国の犯した罪に対して、国民として痛みを感じる人と感じない人とがいる。 日本とドイツの戦後の贖罪の歩…

 謎の古酒

戸棚の奥の方から、古ぼけた一本のビンを家内が引っ張り出してきた。 「こんなのが出てきた。」 見ればワインか何か、酒のビンだ。ほこりもついた、色あせたレッテル。 「あー、それかいな。」 さよう、奈良の御所から持ってきた、あのナゾの古酒。まだ、そ…

 映画「ヒトラーに屈しなかった国王」

家内がもらってきた映画上映のちらしを見て、観に行きたいと思ったのは一月の中ごろだった。ノルウェイ映画「ヒトラーに屈しなかった国王」、ノルウェイの原題は「国王の拒絶」。ノルウェイでは大ヒットして、七人に一人が観たという。 上映館は塩尻市にある…

 国分功一郎の警鐘:平和主義も個人主義も理解されない「言葉の失墜」と呼ぶべき事態

国分功一郎の寄稿を今朝読んだ。(朝日) 彼は哲学者である。こんな論だった。(要旨) <戦後日本の憲法学を牽引してきた学者たちの言葉はどこか文学的だった。憲法学者の言葉が広く読まれてきたことは戦後日本の特徴かもしれない。どうして憲法が文学と関…