2015-07-01から1ヶ月間の記事一覧

 戦記

新聞の「論壇時評」で、高橋源一郎が大岡昇平の小説「野火」について書いていた。「野火」の映画ができたらしい。今公開中だという。映画監督は塚本晋也で、彼は1990年代に映画化を志したが資金が集まらず、制作断念の寸前まで行った。それでも、監督自ら主…

 わが人生

一町ほど向こうをふらふらした足取りで家の方に入っていくHさんの姿が見えた。ぼくはランを連れた早朝のウォーキングの帰り道、Hさんは畑を見回って家に戻るところだ。それにしてもフラフラしているな、変だな。 H家に近づいて行くと、Hさんは道端の丸太に腰…

 昆虫少年

ブルーベリー畑のある家の前を過ぎて、小さな雑木林の方へ歩いて行くと、後から合図するように物音がした。ふりかえると、ボクがにっこり笑っていた。 「今日はプールがあるの?」 「うん、終業式だよ。その前にプールだよ」 左肩にかけているカバンらしきも…

 この夏、福島の子どもたちは安曇野で遊びに遊ぶ

8月、福島から親子たちがやってくる。原発爆発による放射能汚染のつづく福島から親子を招く保養ステイだ。日数はわずかでも元気が回復する濃縮プログラム。市民団体「安曇野ひかりプロジェクト」の恒例の行事は今年が四回目だ。企画は根拠地「安曇野地球宿」…

 庶民が声を上げるとき

昨夜はコーラスの会の「暑気払い」だった。地元の公民館で歌を少し練習して、それから「暑気」を払う宴会となった。ビールや料理は、イワちゃんが店に発注して、運んできてもらってあった。 団らんは、初めはなんということもない、身の回りのこと暮らしのこ…

 村野四郎「混む」

混(こ)む いつだったか ドイツの ケストナーという詩人が ――地球はおびただしい水道をもつ 文化的な星だ と書いたが 彼はいまや 言い直さねばならないだろう ――地球はおびただしいゴキブリをもつ 文化的な星だ と この遊星の季節は まったく彼らの増殖に適し…

 静かな憤怒

コウチャニュウ君が、映像のDVD記録を送ってくれた。コウチャニュウ君は海三郎君と同期、二人は同じクラスになったことはないが、半世紀たってから同窓の同志として現代社会に発信している。 コウ君が中学三年のとき、学級担任のぼくは学級弁論会を二回開い…

 あゝ おまえはなにをしてきたのだと

海三郎君から本が送られてきた。藤沢周平の作品について何冊もの評論を書いてきた彼、今度は「藤沢周平が描いた幕末維新」(本の泉社)だった。 「‥‥大変動の時代に人はどう生きたのかを藤沢作品にたずねる旅は、楽しいようでいながら、 ‥‥考えるに余る問い…

 市議会傍聴記(3)

再び「壁」について考える。 新市庁舎3階につくられた市議会議場の傍聴席前の「壁」、実際は壁ではなくフェンスの高さだけれども、議場を設計し施工させた人の心に「壁」があったのではないかとぼくは思うから、「壁」と呼んでいる。 「壁」は、議員を傍聴者か…

 子守唄で眠るラン

いい天気の日は、ランは庭で過ごす。気温の低い日は、日なたへ、カンカン照れば日陰へ、快適な所を選んで移動してはそこで日がな一日のんびり寝ている。 暮れると家に連れて入る。きれいに洗ったラン用のタオルで全身を何度も拭いてやる。炎暑に向かう今の季…