2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

 キツネのねぐら

圃場整備で道はみんな直線になっている。大型機械が入れて、作業が効率的にできるように、一枚の田んぼの面積を広げて正確な方形につくり、道路は広げられて直線に変えられた。 自然界には直線がない。すべては曲線である。直線は人工的なものであり、だから…

 雪原

昨夜は風が強かった。今朝の雪原は風に流された積雪が風に固められ、風紋ができている。風成雪だ。 雪上を歩いた人や犬やキツネの足跡はすべて消え、新たな雪野に変わっていた。 ここ数日の冷え込みは鋭かった。 いちばん冷えた時は氷点下14度だった。暖房…

 雪ちゃんから来た賀状

雪ちゃんから、久しぶりにメールが入ったのは9日だった。中国武漢大学で教えたのは2002年から2003年。彼女は卒業してから北京で就職し、ぼくが2005年に北京の労働部研修所で教えていたとき再会した。その後彼女は結婚して子どもも生まれ、四川省の大学の先…

 街道と宿屋

明治20年に日本に来たイギリスの宣教師ウォルター・ウェストンは、日本に大変な興味を抱き、好奇心の塊になって日本の山野、街を探検し、日本を研究した。彼は三回日本に来て、合わせて20年日本に滞在している。日本の近代登山の父と呼ばれ、「日本アルプス…

 魯迅に「非攻」という小説がある

中国の戦国時代に、「墨子」(紀元前470年ごろ〜紀元前390年ごろ)という思想家がいた。今から2500年も昔の話。 魯国の墨子は、一視同仁や、非戦・反戦をとなえた。一視同仁は、人を差別せず、すべての人に平等に仁愛をもって接すること。非攻は、非戦・反戦…

 プリーモ・レーヴィ「これが人間か」

プリーモ・レーヴィの著作「これが人間か」には、「アウシュビッツは終わらない」のサブタイトルがついている。今も続いているし、これからも続くという予感である。 プリーモ・レーヴィは、イタリア系ユダヤ人で、1944年、アウシュビッツ強制収容所に入れら…

[教育] 『人間に成る』仕事

一九二五年に魯迅は学生との往復書簡(両地書)を記録している。 魯迅に学生が問う。 「教育は人間に対してどれほどの効果があるものでしょうか。私にはどうしても解りません。世界各地の教育、その人材を育成する目標はどこにあるのでしょうか。国家主義、…

 ポール・クローデル

新聞に二面に渡るドデカイ広告が出ていて、その右一ページが二人の老人のほぼ全身。 二人は肩を抱いている。いったい誰かいな。広告主は出版社だった。 左のページにこんなことが書いてある。 「世界は、日本を待っている。 『私がどうしても滅びてほしくな…

賀春

年の暮れは、春を迎える準備にあれやこれやとやることがあった。 東西に伸びる畑の畝(うね)の、天地返しは冬耕と呼ぶ。スコップの上端を右足で踏んで土に刺し込むと、畝の南側ではぶすりと入り込むが、北側ではもう凍土になっていて固い。わずかな畝の高さの…