2010-01-01から1ヶ月間の記事一覧
『最後の一葉』という、アメリカのオー・ヘンリーが書いた有名な短編小説がある。 要約すると、こういう話である。 ▽ ▽ ▽ ワシントン・スクエアにある煉瓦造りの三階建ては画家たちのコロニーのようになっていた。 その三階に、スーとジョンジーがアトリエを…
中国人の民族性とか日本人の性格とか、よく言われる。 日本人は勤勉だというが、むしろ中国人の方が勤勉で、勉強姿勢は猛烈であるようにも思える。 人間の性格・気質は簡単にこうだとは言えない。 中国人といっても56民族いるわけで、さらに時代が変わるに…
『絶滅した日本のオオカミ その歴史と生態学』(ブレット・ウォーカー) 公立学校の教職にあったとき、夏休み、ぼくは中学生たちと吉野地方の山々へよく出かけた。 「つちのこ探検隊」という空想的シナリオだが、子どもたちは山の不思議にロマンをかきたてら…
――いま安曇野で起こっている問題―― 39年も前のことになるが、記憶は明瞭だ。 座席の間に突進したブルーの制服を着たガードマンは、こぶしを一人の学生の顔面にぶつけた。 学生の眼鏡は割れて飛び散る。 ぼくの身体は無意識にガードマンの方に動いて学生を…
「労をねぎらう」という言葉があります。広辞苑を引くと、「ほねおりを慰め、労を謝する」とあります。 よくやってくれましたね、おつかれさまでした、ありがとう、という気持ちを表します。 子どものころ、母の実家のおばあちゃんの家に行ったとき、叔父が…
新雪はフワフワと軽く、気温が低くなればなるほど、パウダースノー、すなわち乾燥した粉雪になり、風が吹くと雪煙を上げて流れていく。 山の上からパウダーの深雪をスキーで滑ると、滑り降りていく背後に雪煙が舞い上がり、転倒すれば雪に中に埋まってしまっ…
今朝は氷点下10度を下回った。 湯たんぽを入れていたから朝まで温かく眠れたが、朝起きて着替えるとき、たちまち体温が奪われて体が冷たくなった。 朝の散歩で諏訪神社に行くと、水路が詰まって水が溢れ、境内一面にたまった水が凍結してスケート場のよう…
あまりにも寒さが厳しすぎる、暑すぎる、というのもストレスになる。 今はマイナス6、7度。これがマイナス10度、20度となっていくと、こたえることだろう。 新聞に、雪に覆われた白い島の衛星写真が載っていて、これはどこかな、見たことのある島だな…
相馬愛蔵の妻、黒光が、穂高に嫁いできて生活をしたのは明治三十年から三十四年までだった。後にその時の生活を振り返って、エッセイ『穂高高原』を著した。出版されたのは戦争末期の昭和19年。 愛蔵、黒光は、安曇野を去って東京銀座に移り、パン屋「中村…
マユ玉を焼く子ら 九日、夕方。 「久保田の三九郎が始まるよ。」 とランちゃん散歩から帰ってきた洋子が言った。 「常念岳をバックに、三九郎がすごいよ。てっぺんに達磨が取り付けてあるよ。」 工房の壁に断熱材を入れる作業を中断、写真をとりにいくことに…
「玄関の軒にねえ、木の葉がぶら下がっていただ。手で取ろうと指で持ったら、ぐにゃりとして、なんだい、これは、木の葉じゃないよ。蛾なんだ。冬眠してたんだよ。」 マコト、サトル、これを見ろ。 木の葉そっくりだねえ。たまげたねえ。 S先生は児童館に持…
双六つくろうよ、こんなの、 と見本を見せて、 一人一枚大きな模造紙を渡したら、 三人は乗りに乗って下書きもしないで書き出した。 頭にイメージして、紙面に書いていくそのスピードたるや、あっけにとられる。 小学5年生のユウヤの双六が完成すると、 4年…
朝、灰色の雪雲の合間から薄日がさす。 風強し。 東の空を飛ぶ鳥があった。 広域農道の上あたり。 羽の動きのゆったりと重々しく、 飛び方の威厳と優雅、 何かしら胸に迫りくる、 まぎれもなく白鳥。 五羽の群れ、 こちらに向かいながら、北に旋回し、 別の…
年賀状を出すのも、受け取るのも、数が少なくなった。 心のこもった、その人の今が伝わってくる年賀状を読むのは、楽しく、またなつかしい。 今年、受け取った賀状のなかに、こんなのがあった。 フジヤンからの賀状。フジヤンは重い病気を患い、九死に一生を…
雪の正月です。暮れから雪降り、 大晦日の夜は、満月近い月明かりに雪野が浮かび上がる幽玄の世界でした。 元旦。 息子と孫と犬のランと一緒に雪の原を散歩して帰ってくると、初日の出。 家族みんなを呼んで、初日の出を拝みました。 みなさん、今年も元気で…