2010-12-01から1ヶ月間の記事一覧

 遠藤周作の小説『沈黙』

高君が我が家に遊びに来たことがあった。彼が社会人になり在日関係の職に就いた頃ではなかったかと思う。 彼は一人で信貴山中腹の我が家にやってきた。 何を話したかすっかり忘れたが、文学の話をした記憶だけがかすかに残っている。 彼が帰途に着くとき、ぼ…

 バラの木の、スズメのねぐら

五年前、大和の国・金剛山麓から信濃の国に引越すことになったとき、ご近所の方がバラの苗木を餞別に下さった。 一人の奥さんがモッコウバラ、別の奥さんが白花のツルバラ、それぞれ小さな苗木だった。 モッコウバラを下さった方の家には大きなモッコウバラ…

 年賀状を書く

今朝起きたら雪だった。 雪は2、3センチほどで、舗装道路は凍結してつるつるだ。 危険だから草の生えている野道を散歩した。 昨日も天候が悪く、寒気がきびしかった。だから外仕事はやめて、終日部屋の中で過した。 一日部屋の中で何かするというのは久し…

 火を焚く

正月明けに行なわれる「三九郎」 薪ストーブの中で薪が燃えて、炎を見るだけでも温かい。 「かくらんの会」、アキオさんとヨウ子さんのフランスの旅報告は耳のごちそう、撮ってきた写真は目のごちそう、手作りの持ち寄り料理はたいへんなごちそうです。 スト…

 腰を落とす

公民館で正月のしめなわ、松飾り作り 先日、白鵬が菅首相を訪問して、励ました。 「相撲では、腰を落として土俵際でこらえるんですよ。」 首相も腰を落としてやんなさいよ、と。 「腰を落とす」という方法、その言葉に託したものがある。 重圧に押しひしがれ…

  高賛侑君のひたむき人生

ぼくが教員になって3年目、ぼくのクラスの男子委員長は高君だった。 淀川中学校3年のそのクラスは、自主的な学級活動が実に活発だった。 6時間目の授業が終わるとショートホームルームの終わりの会になるが、担任の連絡以外はほとんど何もしないで下校す…

 安曇野の道の名前

「日本サラダ街道」という名前の道がある。安曇野からリンゴ園の中を通って山形村、朝日村に至る道だ。 目的地へ最短距離で行く道ではないから、左折したり右折したり、分岐点に「日本サラダ街道」と書かれた小さな標識があるのだが、どこが出発点でどこまで…

 「イマジン」

ノルウェーのオスロで行なわれたノーベル平和賞の授賞式に劉暁波氏は出席できず、彼の文章が代読された。 「私の人生において、1989年6月は重要な転機だった。 私はこの年、米国から戻って民主化運動に参加し、『反革命宣伝扇動罪』で投獄された。そし…

 冬の夜、慶太君歓迎食事会

12月10日のこと。 夕方から雪が降り出し、安曇野に移住してきた慶太君の歓迎食事会があるというのに、次第に降雪は激しくなった。 この頃は暮れるのがめっぽう早い。雪の日となると五時前からどっぷり暗い。 我が家を出て山麓の道路を進んで行くと、闇の…

 集団のけんか

昔、いわゆるギャングエイジの子どもらは、隣村や隣町の子どもらと集団でけんかすることがあった。 昔の子どもらは、居住地域に遊びの集団ができていて、毎日外を走り回って遊び呆けていた。年上の子が年下の子らを仲間に組み入れ、カバーしながら遊ぶ。 子…

 追悼、槙枝元文さん

槙枝元文さんの訃報を告げるTVニュースが耳に入った。 槙枝さんが亡くなられた。ああ、ついに亡くなられた。 2年前ごろから槙枝さんは好きな菜園での野菜作りにも出かけていない、と聞いていた。 弱っておられるのではと案じていたら、今朝のニュース。 …

 唐突に浮かんでくる記憶

今朝は霜が凛凛と、クヌギの林を過ぎてふっと頭に浮かんだ記憶があった。 誰の小説だったか、記憶の引き出しがきしんで名前が出てこないが、そのシーンだけは頭に浮かんだ。 教師は朝礼台の上で子どもたちに別れの挨拶をした。 「帽子片手にみなさん、さらば…

 依存しすぎ

依存症では、ニコチン依存症、摂食障害、薬物依存症、アルコール依存症、 ギャンブル依存症、インターネット依存症、ケイタイ依存症、 借金依存症、人間関係依存症などいろいろあるけれども、 依存症に陥っていることを、自分では気づかずにいることが案外多…

 職の安定と社会の安定<孟子の教え>

古典の漢文教材の中に、孟子の政治論がある。 「2300年前、中国戦国時代の思想家、孟子がこんなことを言ってるんですよ。教材を読んでみましょう。」 孔子と孟子は、「孔孟の教え」と言われ、儒教儒学として日本に影響を与えた。 孟子が言っているのは、「無…