環境
つるべ(釣瓶)という水汲み道具があった。 私が小学生の頃、母方の祖父母の家に行くと、水は井戸からつるべ(釣瓶)でくんでいた。井戸は台所の中にあり、その水で生活のすべてをまかなっていた。 つるべにはロープの一端がくくりつけられていた。水を汲む…
グレタ・トゥーンベリさんから返事が来た。 もうたくさんです! 数十年にわたり、大手石油・ガス会社のCEOらは、温暖化を招く化石燃料の危険な影響について、誤った情報を広めてきました。 結果今、私たちは多数の犠牲者を伴う洪水や干ばつ、森林火災に直面…
今は亡きCWニコル。ウエールズ出身で、日本に来て長野県の黒姫山の麓に住んで、森づくりをした。 探検家、小説家、自然保護運動家、ニコルは以前書いていた。 「私はこの国の自然と文化のもつ美を、私の娘と将来の世代のために残していこうと思う。 私の生ま…
今朝、やっと晴れた。360度、野に立って見渡す。常念山脈の雪は完全に消えた。 まっすぐ常念に向かって農道を登る。水路の水は濁ったまま。 ベンチの置き場所、最適なところはどこか。一応五か所、第一ベンチから第五ベンチまで、距離を置いて設置する。…
黒姫山に住んで森づくりをしていたC・W・ニコルさんが、死去した。残念。 ウェールズの出身。探検家でもあったし、小説を書いたり、自然保護運動をしたりしてきた、彼は『TREE』という本にこんなことを書いてる。 「私が生まれた家のすぐ近くに、川の流れる…
松本市の公式ホームページに、26日、次の記事あり。 「大切な松林を松くい虫の被害から守るために、四賀地区で無人ヘリによる薬剤散布を実施します。皆さんのご理解とご協力をお願いします。」 反対住民や世界の動きを無視して、また実施するらしい。 長野県…
数年前、珍しい光景を見た。小学生の三人組がチャンバラごっこをしている。畑の一角に工務店が廃土を盛り上げた小山があり、そこに登った子がお山の大将になって棒きれを刀にして振り回し叫んでいる。小山の下から二人の子が、同じく棒を振りかざして攻撃を…
「原っぱが消えた」(堀切直人)は、北杜夫の書いた長編小説「楡家の人びと」の中に出てくる少年時代の原っぱを紹介している。 「その原は、訪れる人々の数によって、急に生気を帯び、にぎにぎしくさざめいて見せたり、突然がらんと人気もなくなって、いやに…
「原っぱが消えた 遊ぶ子供たちの戦後史」(堀切直人 晶文社)は、世の大人たち、政治家たち、親たち、教師たちに読んでほしい本である。今の社会を観ていて、このまま行けば、子どもはどうなるだろう、人間社会はどうなるだろう、と思うことしばしばだが、…
ドイツのフライブルクに住んでいる今泉みね子という人が、おもしろい話を書いていた。彼女は、翻訳をしたり雑誌の記事を書いたりしながら、ドイツの環境関係の資料収集も行なっている。おもしろい話というのは、彼女の執筆した「緑のフライブルクで愛を見た…
1961年に開園した奈良ドリームランドは、2006年に閉園となり、今は廃墟となっている。 ドリームランドの東に高句麗の僧・慧灌の創建とされ、天平時代、聖武天皇が伽藍を建立したという般若寺がある。西には在原業平が聖観音像を刻んで開基した不退寺がある。…
NHKの「巨龍中国」というドキュメントを見たが、なんとも深刻な環境汚染だ。特に大気汚染の激甚さに暗澹たる思いになった。 北京を含む河北省の汚染は鉄鋼業によって甚大な被害を生んでおり、武漢は巨大な医療関係の廃棄物処理工場の焼却場から排出される…
最高時速500キロで疾走するんだという。 リニア中央新幹線の建設が始まった。2027年に東京(品川)―名古屋間が開業し、45年には大阪まで延びる予定だとか。 政治経済の大勢は建設歓迎。 磁力で浮いて、ぶっ飛ぶ。そりゃ夢のような話じゃないか、その夢、実現…
一枚の田んぼを大きくして、畔や農道を整える圃場整備が地元で行なわれている。我が家の東側はこの春完了し、秋から西側が始まる。ところが、すでに整備された稲田の中に、長年耕作放棄されて草がぼうぼうと生え、古タイヤや古ドラム缶が捨てられている2000…
明石公園の池 初めて明石の街を自転車でぐるぐると走った。 明石に住んでいる息子一家の孫たちに会うのが楽しみで、安曇野から明石まで列車で行った。 土曜日は、上の孫の小学校での劇の発表会があり、それを観てから下の孫と校庭の遊具で遊んだ。 午後、嫁…
ぼくが、安曇野だけでなく、日本の多くの街や村の景観が、魅力的でなく、美しいとも感じなくなったのは、建てられる個々の家どうしに調和、ハーモニーがなく、ばらばらになったことと、周囲に自然や樹林を残さず、あるいはつくらず、自然に溶け込んだ家の景…
図書館で蝶ヶ岳関係の本を書棚で探していて、一冊の本が目に留まった。「ウィーンの森 ――自然・文化・歴史―」、アントン・リーダーというウィーン在住の、オーストリア連邦森林庁に勤務する農学博士の著書だった。戸口日出夫訳、日本人に向けて書かれていた…
今日は雨の一日になった。晴れれば、家内と塩の道祭のウォークに出かける予定だったが、朝から雨模様、雨のなかを歩くのもなあ、と見送ることにした。 今年の塩の道祭は、3日から小谷村ウォーク、4日、白馬村ウォーク、5日、大町ウォークと、三日間行なわ…
先日、ベトナムの青年たちが、日本語学習の時間になっても公民館にやってこないから、今日は気温が厳しく寒すぎて敬遠したか、それとも残業で遅くなっているのか、とか思いながら、待っている間に、電灯の点いていない薄暗いロビーの棚に置いてある本を手に…
明治31年、国木田独歩がエッセイ「武蔵野」で、こう書いている。 「昔の武蔵野は実地見てどんなに美であったことやら、それは想像にも及ばんほどであったに相違あるまいが、自分が今見る武蔵野の美しさはかかる誇張的の断案を下さしむるほどに自分を動かして…
アカマツが真っ赤になって枯死している風景を見る。進行する松枯れは、安曇野でも明科周辺から穂高の森へと広がっており、信州各地のアカマツ林が危ない。 行政・林業・林学の関係者だけでなく、市民も含む研究会が明科の公民館で開かれ、参加してきた。参加…
久しぶりに夫婦二人で出かけ、原村の八が岳美術館で、アイヌの解放運動家・宇梶静江の展覧会を見た。古布を使い針を一本一本手で刺して、アイヌの叙事詩を刺繍にした連作には、アイヌの守り神シマフクロウも出て来て、ウエベケレ(昔話)とアイヌユカラ(神…
ニホンオオカミは絶滅したとされている。けれど、まだ生き残っているのではないかと、現代も探している人がいる。目撃談や声を聴いたという人もいる。私もその一人。 狼がいなくなってから、何かが変わっただろうか。 最近とみに鹿の増加とその被害が言われ…
敷石にする石を探して野道を行き、開墾時に出てきた石の野積みから平らな面のあるのを見つけて、一輪車に積んで帰ってくる。 大きい石は一度に5個ぐらいが運ぶ限度だ。 道路から工房までの10メートルほどの地面を少し掘って、これらの自然石を平らな面をつ…
「国民の目線で」と、政治家が言う。 言葉では言うが、立つ位置、立つ場が異なるから実際にはそれはできない。 立つ位置、立つ場が違うと目線も違ってくる。 それなら何ができるかというと、民の声に耳を傾けること、民の生活実態を観ること、民の心を想像す…
若宮神社はお稲荷さんである。そこにある畜魂碑。 足跡だけが田んぼの中を横切り、道を通ってあぜに入り、 新雪の上の足跡はキツネ。 毎日雪が降るようになって、新雪に残された足跡が、生き物の生きている証になっている。 ある朝、陽の昇る前、キツネが巣…
当面作物をつくらない田畑に水を張っておくと、 草が抑えられる。 タマネギの種取りをしたあと、我が家の隣の畑に水を水路からとうとうと流し込んでいるKさん、 もう水を張ってから、かなりの日数になる。 Kさんは、一日に三回は見回りに来て、水量を調節…
左のひじに、ぽっと止まったかすかな感触、見ると薮蚊だ。 パチン、蚊は非情な一撃でお陀仏となった。 窓の外に草むらがある。そこから入って来よったか。 仮の児童館の窓には網戸がなく、やってきた僕の朝一番の窓開けとともに、昨夜の雨でうるおった草むら…
八木博さんからコメントで、台高山脈で体験したことをもっと知りたいということでした。 返事を書きましたが、 以前、このブログの「山の学校 森の学校」にも次のように書いたことがあります。 △ △ △ 矢田中学校登山部で、台高山脈の高見山から国見山まで縦…
昨年秋、市の景観審議会委員の公募が行なわれたので、安曇野の環境と景観への想いがあったぼくは、応募動機と小論文を添えて委員に応募したがかなわなかった。 半世紀の人生のなかで醸成されてきた環境と景観へのぼくの意識をベースにして、安曇野を観察し、…