2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

難民 3 緒方貞子

緒方貞子さんが逝った。92歳。 彼女が国連難民高等弁務官として難民救済にたずさわることになったのは1991年、クルド人難民救助に現地に飛び、それから2000年まで世界の難民の救援の指揮を取った。クルド難民、その数200万人。 ポルポトの虐殺を逃れるカンボ…

難民 2 犬飼道子

「人間の大地」に書かれた次のエピソードには、僕はただ唸るばかりだった。ポルポトから逃れてタイの難民キャンプに入った子どもをめぐる話、犬飼道子が、国連の難民高等弁務官事務所に身を置いて体験したことである。 1979年12月19日、七万人収容のカオイダ…

難民 1 犬飼道子

1983年、中央公論社から出版された「人間の大地」。著者は犬飼道子。 この書は今もなお、いや今だからこそいっそう、読まれるべき書だと思う。犬飼道子の世界的な視野と歴史的な考察、そして世界での活動体験にもとづく思索、深い精神は、読めば読むほど、心…

岡本潤の詩、「山」の意味するもの

山を歌っている。けれど、それを読む僕は、あの時代の人間というものをそこに感じる。そして、今の時代の何かを感じる。 岡本潤の「山」という詩がある。読んでみよう。 山 日夜 北方の山に向ひ 山を見てくらした 幾星霜 山のうごきだす天然の奇跡をおもひ …

田舎のモーツァルト音楽祭

一昨日、穂高東中学校で開催された第21回「田舎のモーツァルト音楽祭」に行ってきた。今年の生徒たちの演奏の最後に行われる、生徒と来場者全員による合唱は「大地讃頌」だった。7年前に参加した時は、全生徒と来場者による合唱は「レクイエムから」だった…

人災

木曽川と長良川にはさまれた岐阜羽島で数年間、活動したことがある。仕事が終わるとその地域をよく散策した。歩いていると、昔からの古い家が、高く土盛りして石垣をめぐらした上に建てられていた。「輪中(わじゅう)」と言われているもので、江戸時代住民…

被災の中で

東京の、区の自主避難所にやってきた二人の人が、ホームレスは入れられないと区の職員に言われて避難所に入れなかったというニュースが新聞に出ていた。 区の職員は、「ホームレス」という言葉は使わなかったようだが、職員から、「記録簿にあなたの住所・名…

日本古代の散骨とヨーロッパの樹木葬

万葉集のなかに、散骨に関係した歌がある。 巻7、1404の歌 鏡なす我が見し君を 阿婆の野の花たちばなの 玉と拾いつ (鏡のような、私が親しくした君の骨を、阿婆の野の花たちばなの玉のように拾った。) 巻7、1405の歌 秋津野を人のかくれば 朝まきし君が…

アイたちの学校

高賛侑君は、ぼくが担任するクラスの学級委員長だった。ぼくが大学を出て赴任した淀川中学校の二期生であり最初の卒業生だ。 彼は「アイたちの学校」というドキュメンタリー映画を監督して制作した。先日、彼が送ってくれた迫真のそのDVDを見たところだ。映…

歴史と未来

未来を考える時、過去の歴史を熟考する。 鶴見俊輔はこう考えた。 1960年に日米安保反対の抵抗があった。学生、労働者、市民の大デモが国会を取り巻く。それは敗戦のときにあるべきものが、遅れて出てきたものだった。樺美智子さんは女子学生の中で先頭に立…