2011-01-01から1年間の記事一覧

 「ふるさと」と「桜」

今年も終わる。 今年、あの大震災に見舞われてから、「生きることと死ぬこと」、自分にとっての「心のふるさと」を考えることが多かった。 歌「ふるさと」は、震災復興コンサートや、集会で歌われ、ぼくにとっても心にしみて、涙する歌だった。 この十年間で…

 フクロウ

金剛山の麓、奈良の御所市名柄に住んでいたとき、集落の夕暮れに、フクロウの声がよく聞えてきた。 寺社の森や屋敷の森に巣をつくっているフクロウらしく、暗くなってくると、ゴロスケホッホーと鳴く声を聞く。 大和の国を防波堤のように守る南紀の山々は植…

 ストレス、疲労が引き起こす症状

左わき腹に赤い発疹が現れ、広がってきた。 これはてっきり先日、ホルター心電図の機器を貼り付けたばんそうこうが原因だと思った。 不整脈を調べるために24時間胸につけて、病院で看護師さんにはずしてもらったとき、肌から引き剥がす粘着テープが痛かった…

 臼井吉見『安曇野』に見る、明治時代の安曇野

臼井吉見の大河小説『安曇野』には、明治時代の安曇野の風物、風景、人間模様が詳細に描かれている。 冬の安曇野、犀川と万水川(よろずいがわ)の近くにあった相馬家の相馬愛蔵のもとに、良(後の黒光)が嫁いできたころのことだ。 「水車小屋のわきのハン…

 住民投票条例制定を求める市民の議案は否決

議場は、ぽかぽかと暖かく、上着を脱いでも、汗ばむほどだった。 賛成は7人、反対は18人、安曇野市議会は住民投票条例案を否決した。 住民投票条例制定を求める市民の会の考えは、議員たち多数の耳に届かなかった。はなから聞く耳を持たない人たちには無…

 市議会は住民投票条例制定を求める市民からの要望を否決するか

先日の本会議で市長は、 住民投票条例制定を求める市民からの意見書は有権者の50分の1を超えているから、議会での審議に付すことにするが、これまで民主的な手続きは経てきたから、市長としては条例の制定は必要ないと考える、と断言した。 ぼくはその前…

 居住区で創る社会

このところ、市の行政のあり方を見てきて、愕然とするところ多い。新市庁舎の建設問題も、市長と議会は住民投票を求める市民の動きを押しつぶすつもりのようだ。これは結局市民の意識と行動力の弱さでもある。 そのことを考えているうちに、居住区の住民自治…

 埋められる警告

11日に放送されたNHKのETV特集「シリーズ大震災発掘 第一回 “埋もれた警告”」を録画で観た。 長く重いドキュメンタリー番組だった。 だが、隠れていた事実が明らかになっていく迫力に引き込まれ、目を離せなかった。 大地震や巨大津波が起きる可能性…

 中沢義直さんと会ってきた

中沢さんと会ってきた。 写真家の中沢さんのことを知り、著書「安曇野雑記」を読んでから、一度会いたいと思いつづけ、朝電話を入れた。 「夕方がいいですね。5時ごろがいいです。」 元気な声だった。 仕事が終わってからのひととき、もう暗くなっているこ…

 あいさつは「温かい紅茶の一杯」

ぼくの車の前のトラックが止まった。 トラックの前に横断歩道があり、小学生の女の子が二人、急ぎ足でわたっている。 渡り終えると、二人はトラックの運転台に向かって、ぺこりとおじぎした。 かわいいおじぎだった。 信号機のない田舎の横断歩道、 子どもを…

 中国人実習生の若者たちが遊びにきた

日曜日、中国人実習生の若者たちが遊びにきた。 近所の企業で、実習生として働いている彼らは、日曜夜の、公民館での日本語教室に来ている人たちである。 午後二時が約束時間で、前の週に、我が家まで来る道順を地図を書いて説明した。 「ここにスーパーがあ…

 「どのような教育が『よい』教育か」

今年八月に出版された「どのような教育が『よい』教育か」(苫野一徳 講談社選書メチヘ)は、実に明晰な論理を展開して、よりよい教育を導きだす教育哲学の力作である。一度読んだだけでは、充分咀嚼できないところがあるが、これまで教育の現場におりながら…

 住民自治の姿

昨日は、居住区の自治会費を納める日であった。公民館へ行って、事務机に座って徴収している区長のOさんに後期区費を支払った。 金を受け取った区長は、「はい、投票用紙」と言って、一枚の紙切れをぼくに手渡し、区長の正面の壁を指差した。ひょっと部屋の…

 八木重吉、「かなしみ」の詩

碌山美術館で 八木重吉は詩集「秋の瞳」の序に、こんな文を置いている。 「私は、友が無くては、耐えられぬのです。 しかし、私にはありません。 この貧しい詩を、これを読んでくださる方の胸へ捧げます。 そして、私を、あなたの友にしてください。」 重吉…

 「緑の党」をこの地にも

「緑の党」が日本にもできる。60人余の地方議員らによる政治団体「みどりの未来」(共同代表・須黒奈緒杉並区議ら)が国政への進出をめざして来年旗揚げするという。先日、11月20日、東京で呼びかけ集会が開かれた。「ドイツ緑の党」の連邦議会議員が集会で…

 お隣さん

漬物大根干し 五年前はまだお隣の家の中でカラオケで歌っている声が聞えてきた。 それから二年後に、姿が見えず、洗濯物も干していない日の続いたことがあった。 閉まっている玄関から名前を呼べど、返事がない。裏手に回って呼んでも応えがない。 おかしい…

 大阪弁・故郷なまり

このごろ人との会話で大阪弁が自然に出る。 「ジュンヤ、どうや、古典やろか。いまやっとかんと、後でやっかいやぞ。」 「最近は毎日学校に来ているよ。レポート、全部やり終えて、アルバイトでかせがんと。古典はさっぱり分からないですよ。」 「しゃあない…

 柿の実

息子の嫁のお父さん、力一さんがたくさんの富有柿を送ってきてくださった。 大粒ぞろいのみごとな、和歌山五条の柿だ。 楽しみが増えた。 6年前、その隣の御所市に住んでいたとき、金剛山麓も柿の産地だった。 熟れすぎて出荷のできなくなった富有柿の大き…

 リンゴの一個

シーちゃんが亡くなった、と北さんが電話をかけてきたときに言った。シーちゃんは北さんやぼくの山岳部後輩になり、シーちゃんの姉と北さんは結婚したことから彼は義兄にもなる。シーちゃんは長いガンの闘病を経て力尽きた。 12月に山岳部のOB会がある。そ…

 中沢義直さんに出会う

同じ居住区に、著名な写真家・中沢義直さんが住んでおられることを、先の日曜日まで知らなかった。 その日、午前11時から地区の「高齢者お楽しみ会」が催され、会食を共にしながら出しものを楽しみ、ぼくも加わっているコーラスの会も発表したのだが、会のと…

 薪割り

新しい斧(おの)を買ってきて、薪割りを始めた。 格安でいい斧が手に入らないかと、ネットで調べてみたけれど見つからず、結局ホームセンターで買うことにした。 少年の頃、家の薪割りをよくやった。それはかまどで燃やす薪をつくるためで、父親が買ってき…

冬来る

一夜明けたらヤーコンの葉が枯れていた。霜の降りた氷点下の朝だった。 暖かい日があったり、寒い日があったり、天候の急激な変化を繰り返す初冬のある日、動植物にも大きな変化が起こる。 霜夜につづいて大嵐が来た。夜通し、すさまじい雨風が窓をゆらした…

 ブータン国王と王妃を出迎えた栄誉礼に感じるもの

ブータン国王と王妃を出迎える儀式の栄誉礼になんとなく違和感のようなものを感じた。 日本の着物に似たブータンの民族衣装を着用されているお二人の姿と、栄誉礼を行なう儀仗隊の指揮官の姿と、それはこれまで行なわれてきたお決まりの国家儀礼であるのだが…

 国民総幸福の国 ブータン

この人が体育の教師? と不思議に思うような人だった。 10年前、日中技能者交流センターの、日本語教師講習会を受けたとき、彼とぼくは宿舎の部屋が一緒になった。 彼、杉原さんは定年まで高校の体育科教師、ぼくは国語の教師、偶然いっしょの部屋になり、一…

 銀河鉄道の夜

目に留まったのは、TVの一画面だった。 アメリカのモダンアートの絵画作品のそれは、街の風景であったが、雑踏の上に高架線があり、そこに駅があるのか電車が止まっている。下を歩いている人々は帰宅途中なんだろう。日は暮れている。電車の窓にはオレンジ…

  第八次エネルギー革命 <中沢新一の提唱する『日本の大転換』>

長野県では、今年、薪ストーブを設置する人が増えているらしい。 間伐材を砕いてペレットにし、それを燃料にするストーブも使われているが、まだ普及が広がっている様子がない。 薪ストーブの暖房による輻射熱は、人の体をほんわりと芯から温めてくれる。こ…

今年も干し柿が食べられる

11月の初め、そのころは例年になく暖かかったから、まだいけるかもしれないと、冬菜とほうれん草の種をまいた。いま冬菜は双葉が芽生えて、条播きした双葉の列がかわいくきれいだ。ほうれん草は、芽の出るのに時間がかかる、まだほんのわずかな芽しか見えな…

 市議会の姿 

安曇野市穂高、牧地区にある水難にあった子どもたち慰霊の碑。 安曇野市議会で、こんな条例が決められた。 「市役所の位置を建設予定地に変更する。」 かくて、まだ建ててもいない新しい本庁舎建物の「存在」位置を、はやばやと「建設予定地」なるところに変…

 「住民投票の会」の署名運動が終わった

「重要なことは市民が直接政治に参加して決めようではないか」の言葉で始まった「新市庁舎建設計画を住民投票で決めよう」という署名運動が、昨日で期限がきて終了した。 組織も、資金も持たない市民たちが始めたこの市民運動は、安曇野市政がおかしいと直感…

 旧制松本高校の古い木造校舎

旧制松本高校の古い木造校舎は、がっちりとした木組みの確かさが人の心を落ち着かせる。 天井近くまで縦長に開けられた木のガラス窓から外を眺めると、雨に濡れた校庭のケヤキやカエデは、校舎二階の屋根を越えて黄と紅に染まっていた。 旧制高校の時代、こ…