2008-01-01から1ヶ月間の記事一覧

 卒業式の型

杓子定規(しゃくしじょうぎ)という言葉がある。 「しゃくし」や「じょうぎ」できっちり計るように規則や基準に従い、 融通、応用がきかない、 きっちりと一つの型にはまった行動を重視するという意味で使われる。 日本の学校の伝統的卒業式では、杓子定規…

 まど・みちおの詩(2)

さようなら 子どもの時の遠い記憶、これはいつのことだろう。 静かな夜、ぼくは、布団に一人寝ていた。 着物姿の母が、横で縫物をしている。 部屋には、ぼくと母しかいない。 父も兄も妹もいない。 なぜだろう。 父は仕事、兄は祖父母の家に行っていたのかも…

 まど・みちおの詩 (1)

リンゴ リンゴを ひとつ ここに おくと リンゴの この 大きさは この リンゴだけで いっぱいだ リンゴが ひとつ ここに ある ほかには なんにも ない ああ ここで あることと ないことが まぶしいように ぴったりだ まど・みちおさんは、物の存在、生き物の…

 親切を断るべきか

願い スーパーマーケットを出た5人の若い女性研修生、郵便局へ行こうとしたが、道がわからない。 どう行ったらいいの、中国語で話していると、同じスーパーから出てきた年配のおじさんが、車で送ってあげようと声をかけた。 おじさんのワゴン車を見ると、3…

 ベトナムの青年

「ここに座ってください」 と言いながら、若者は丸椅子を自分の椅子の横に置いた。 夜の自習時間、彼の横に座ると、顔がほころんだ。 「会話練習ですね。君は、ベトナム人ですか。」 「はい、そうです。」 彼の隣りや前後の席で勉強している若者もベトナム人…

子どもの声

声、高く響け 朝、野の道を散歩していたら、 ブルーベリーを栽培している農家から子どもの泣き声が聞こえてきた。 3歳ぐらいの子どものいる家だ。 何か激しく主張して泣いているらしい。 大人の声は聞こえない。 子どもの声は、低い大人の声よりもよく聞こ…

 餅(もち)

福よ、来たれ 昨年暮れに、孝夫君がお嫁さんと二人で、彼らの家でついたばかりの餅(もち)を持ってきてくれた。、 まあ何と種類の多いこと。 餅を入れたポリ袋に紙切れが貼ってあり、種類がボールペンで書いてある。 ○ヨモギ餅 ○トウガラシ餅 ○黒米餅 ○黒米…

「元日の女」(草野比佐男)

新年、明けましておめでとうございます。 2008年元日、大晦日から振り続けた雪。雪の道に足跡がついている。 人の足跡、犬の足跡、自転車のわだち、車のわだち、小鳥の足跡もあった。 草野比佐男は1927年に福島県に生まれた農民詩人です。 最初の詩集を…