2011-09-01から1ヶ月間の記事一覧

 初めて観た「チョウゲンボウ」

視界をよぎったスマートな鳥、例の鳥ではないか。 例の鳥、それは二週間ほど前、朝の道を歩いていると二百メートルほど先の路上にカラスが二羽おり、それをめがけて上から急降下して威嚇している鳥がいた、その鳥の姿が頭をかすめた。 カラスよりも少し小柄…

 小説「逸見小学校」

65年間も作家の書棚に眠っていて未発表の長編小説がこの夏、出版され本になった。 作家は庄野潤三。発見された小説は「逸見小学校(へみしょうがっこう)」。 180枚の原稿用紙の作品のうち途中3枚が行方不明になっていて、そこだけ話が飛ぶが、物語の…

 道の分岐点に立って選ぶ一本の道

今日が最後の授業になるから、何かメッセージはと考えて、小澤征良のエッセイに出てくる一片の詩「行かなかった道」を生徒たちに贈ることにした。それは筑摩書房の教科書に掲載されていたものだった。 「自分の最高の字でノートに浄書しましょう。」 ぼくは…

*[暮らし] 柿の実、ナツメの実 1本の彼岸花 三年ほど前に苗を植えた一本の富有柿が、今年10個ほど実を付け、そのうち落果しないで生き残った青い柿は5個ある。 人間の背丈ほどに柿の木は育ち、その枝に5個の実。 実はつややかな緑の葉っぱと同じ色をし…

 直接民主主義の住民投票を!

安曇野市が、80億から100億円をかけて、新しい市庁舎を建てようとしている。 市長・市議会が先導して建設用地も決め、庁舎の設計案も業者に依頼して選考し、いつのまにか安曇野に不似合いな庁舎ビルの青写真が市民のよく知らないところでするりするりと進ん…

 自然の摂理を崩壊させる文明

詩人の坂村真民さんは、日本が高度経済成長期にあった1970年代、こんな気づきをなさっていた。 「このごろの日本の子どもたちの面相が変わってきた。明治生まれの者には自然というものが、体に付着していた。わたしなども学校の行き帰りはもちろん、帰ってか…

 どうしたらいいのだろう(2)<高校生の葛藤>

高校に入る前は進路のことでとても悩みました。 パティシエールになろうか、介護士になろうか。 私は菓子作りが好きです。いつか本場に行って修行して、私がつくった菓子を食べてみんなが笑顔になって、おいしいと言ってもらえるような、お菓子を作りたいと…

 子どもの遊び 草の相撲、草のワナ

今年は、ヒメジワという草が畔やら庭やらいたるところに生えている。イネ科の草で、丈が10センチから50センチになる。ヒメシバとも呼んでいる。茎の先から花穂が3から8本伸びる。 畔の草刈りをして、しばらくしたらまたこの草が一斉に生えてくる。 ヒメジワ…

「どうしたらいいのだろう」

自分は今、何のために生きているのかを考えて悩んでいます。 子どもができる前って、何億の精子が卵子に向かって行きます。 そしてそのたくさんの精子の中で、僕が生き残り、生まれてきました。 ですが、本当に僕でよかったのか、と考えてしまいました。 も…

 「風景は思想である」 学校林、寺社林、屋敷林

かつての日本の、暮らしと調和した田園と村の風景が、どうしてこうも魅力のない不協和音のようなものになってしまったのかと、安曇野においてすらあきらめに近い思いをぼくは持っていた。 93歳にして好奇心、創作意欲ともに盛んな画家の堀文子が、 「風景…

 小説『羅生門』  飢え死にするか盗人になるか、葛藤を考える

夕暮れ、羅生門の石段に座った下人は、雨のやむのを待ちながら途方にくれて考える。主人にひまを出されて今は無職、家も金も食べるものもない。 「クビにされたんだ。」 「ホームレスですね。」 「現代のホームレスなら、食べ物は何とか得ることが出来るよ。…

 鉢呂氏辞任を考える

夏休みが終わって二学期が来た。 日に焼けた女生徒の顔を見て、「黒くなったね」と言ったとたんに、彼女は腹を立てて行ってしまった。 侮辱されたと思ったらしい。 乙女心を無視した発言だったのかもしれない。青年教師のころである。 あるとき、ある言葉に…

 サツマイモ収穫と種まき

サツマイモの葉っぱがチッソ過多か、茂りに茂った。 出来具合を見ようと、ためしに掘ってみたら、長い蔓をつけたままの株がすこんと抜けて、イモのかけらがちょろっと付いているのやら、全くイモの姿のないのやら、大きいのが空洞になっていたりする。 やら…

 南紀の山と川

のろのろ台風が、しこたま雨を降り注ぎ、南紀の山あいの村々は洪水に飲み込まれた。 昔、生徒たちを連れて、山から山へ歩いた、台高山脈、大台ケ原、大峰山脈は、 昨日あたりからやっと秋晴れになっていることだろう。 ぼくの人生に深く刻みこまれた、紀伊山…

 小説『羅生門』 <1> 平安時代の災害「地震、火災、暴風、飢饉」

すでにこの小説を読んでいる生徒も、マンガで読んだという生徒も何人かはいるが、読書に親しまないほとんどの生徒は『羅生門』を知らなかった。 読んだ生徒も、ストーリーは知っているが、時代や社会や人間を探索して読んではいない。 「映画の一つ一つのシ…