2008-01-01から1年間の記事一覧

 報せ来る

この春、自分で運転してやってきて、思いのたけを語っていった。 まだまだ元気だった。 だが、全身にガンは転移し、肺もおかされ、 自宅で闘病していた彼女をぼくらが見舞ったときは、 「今年いっぱい持つかどうかと医師は言うが、自分は死ぬ気がしない」と…

 戦後教育と日教組

20歳だった槙枝元文さんは青年学校の教師になり、岡山県で国民学校高等科2年生(今の中学2年生にあたる)を教えていた。 1941年、県から命令が来た。 少年航空兵と満蒙開拓少年義勇軍の志願者を1名すつ推薦せよ、 槙枝先生は教室へ行き、生徒にその…

 日教組と子どもの学力

<中山国土交通大臣の認識> 「失言」というのは、「言ってはいけないことを不注意で言ってしまうこと」の意だが、 「言ってはいけないこと」とは、「他人に差しさわりがあるから言ってはいけない」であり、 言ってしまうとトラブルになったりもする。 では…

 石垣りん「子供」

えっ、思わず叫びそうになる話を詩人の伊藤信吉が書いていた。 石垣りんの詩「子供」の解説のなかで。 こんな文章である。 「他人の手で殺された子供を、 その母親が三日三晩抱き温め、 三日三晩子守唄を歌いつづけ、 ついによみがえらせたという感動的な伝…

 伊東静雄「九月七日・月明」

我が子が病気になったとき、子どもが元気になることをひたすらに願う親の心は切ない。 むずかしい病気だと聞けば、日ごろは神仏に祈ることのない親であっても、 どこそこの神さんはごりやくがあると教えられるとお参りして祈願し、 お百度を踏んででも、祈り…

 巣にアシナガバチがいない

ブルーベリーという実を知っている? 「ブルー」は「青い」だね。「ベリー」はイチゴの類、「青いイチゴ」です。 イチゴといってもブルーベリーは小さな丸い実で、実の大きさは豆つぶほどかな。 熟すと黒っぽくなる。 熟れると甘いけれど、甘すぎないからい…

 生徒の相談には誠実に応えよ

「先生、父が胃ガンです。」 卒業生M君から、電話があった。高校生の彼はどうしていいのか分からず、悩んでかけてきた電話だった。 ぼくは20代の独身教師、ターミナルで落ち合って、さてどうしようかと考えた。 今なら喫茶店にでも入って話を聴いただろう…

 秋

水路を流れ落ちる水。 夕顔の花。 稲刈りが始まった。 コンバインが田の周囲からぐるぐる渦を巻くように刈り取り、わらは細かく切断されて田の面に撒かれた。 コンバインを運転する人、脱穀した米を運ぶ車を運転する人、 この日ばかりは家族総出だ。 日が落…

  星野道夫写真展 & 白クマとイヌイットアート展

安曇野の東部、池田町の丘に町立美術館がある。 美術館からの眺めは、まさに絶景。 高い木立が集落を取り巻き、黄金色の田園は稲刈りも近い安曇野の、 真正面に有明山、その背後に北アルプスが波打っている。 池田町立美術館はクラフトパークの中にある、こ…

 帯津医師の話 「心」

太極拳の会で、分杭峠へ行ってゼロ磁場の「気」を体験してきたYさんに帯津医師の話をしたら、その人の本を持っているよ、と言う。 早速借りて読んでみた。 本の名は、 「新しいガン治療 もうひとつの地平を見つめて」(帯津良一・王振国共著 K&Bパブリシ…

 命とは何?

伊那谷、南アルプスの麓に、分杭峠というところがあり、 そこは「ゼロ磁場」で、気が充満している「気場」だと言われており、 家内の入会している太極拳サークルが分杭峠行きを企画して、日曜日、家内は1日出かけていった。 分杭峠は中央構造線という大断層…

 芥川賞受賞、楊逸「時の滲む朝」を読む(2)

集会、デモ、座り込み、ハンスト、二人は甘先生をリーダーに連日運動にはまり込んでいった。 やがて二人は北京・天安門のデモに参加する。 天安門広場は全国から集まってきた学生で埋め尽くされ、自由に憧れる学生たちの思いを象徴して人民英雄記念碑の傍ら…

  芥川賞受賞、楊逸「時の滲む朝」を読む(1)

中国人、楊逸の「時の滲む朝」が芥川賞を受賞したことで、 いくつか興味関心の湧いてくるものがあった。 1987年に中国から来日して20年、作者の人生はどんな人生であり、それはどのように小説に結晶しているのだろうか。 20年の歳月で覚えた、母語で…

  首相は番頭であれ、ドン・キホーテであれ

おもしろい意見を書いている。 同志社大学教授の浜矩子氏(朝日紙)。 「福田首相は『番頭外交』というもので世界に打って出ればいいと思っていた。 番頭外交とは、大だんながむちゃなことを言ったら『まあまあ』となだめ、 若だんなが遊びほうけていたらい…

 理想なしの教育は成り立たない

「写真集 いのち、この美しきもの」(監修・斎藤喜博 写真・川島浩 筑摩書房)から 学校は2学期を迎える。 体育祭、文化祭、遠足などがあり、学級活動も授業も最も充実するとき。 「写真集 いのち、この美しきもの」(監修・斎藤喜博 写真・川島浩 筑摩書房…

  伊藤さんの志を打ち砕いた銃弾

アフガニスタンで、ペシャワール会の伊藤和也さんが、反政府武装勢力によって殺害されたという報道に接す。 アフガンに緑を! アフガンの子どもたちが飢えない国を! 志をもって、アフガン農村にとけこみ、農民たちと歩んできた伊藤さんが、なぜ? 「私がな…

柔道は剛道になった

ぼくの家族が住んでいた町の警察が、町で柔道を教えている柔道師範に、少年育成のために柔道サークルをつくってほしいと依頼したことで生まれたサークルに、中学生のぼくも親しい友だちと一緒に入って習うことになった。 当時の警察は自治体警察であって、市…

 トイレのないボリビア農村でトイレ建設

地球宿で報告会 久しぶりで会った彼女、日に焼けた素顔は健康そのものだった。 トイレのない農村で、トイレを350基も建設してきたのだ。 かつての強靭な野性味のうえに思慮深さが加わり、ゆったり落ち着きのある女性になった。 今春出産し、今は二人の子…

 2学期に向けて、新任の先生へ

学級集団は動く <トラブルよ、やってこい> 夏休みも残り少なくなり、いよいよ2学期がやってくる。 先生たちは、この夏休みにエネルギーを蓄積しただろうか。 戦後の日本には、民間の教育研究会がほうはいと立ち上がり、夏の合宿には全国からはせ参じる教…

 秋の風

今朝、西の空に高々と色鮮やかな虹が出ていた。 夜明け前に降りだした小雨がやみ、朝日が上がってくるころ。 常念岳はまだ雲の中にある。 安曇野は虹がよく出る。 見渡す空の広さ、虹も大きい。 ランと散歩に出たらすぐに、カイちゃんを連れたおじちゃんに会…

  バリカン購入して散髪

髪の毛は薄くなってきたし、 中途半端に長い毛のあるのももひとつだし、 こんな頭をわざわざ時間をかけて理髪店へ行き、刈ってもらうのもなあ、 刈るだけの値打ちもない、この頭、 いつも行く床屋は地域でいちばん安い大衆理容と決めている、 この前刈っても…

 北京オリンピック

彼らの心中を察する 走らずに棄権した。 日本の女子マラソン代表、野口。 中国の男子陸上110m障害代表、劉翔。 二人ともアテネに続く金メダルの期待は、大きくのしかかっていた。 4年間積み重ねてきた厳しい練習の、最後の仕上げに襲ってきた足の故障。…

 終戦から63年、お盆

居住区の自治会に「ボランティア会」というのがあり、お誘いを受けて行った。 夕方から公民館のある公園の草刈りをして、そのあとに「暑気払い」という懇親会があった。 15、6人の高齢者が、草刈り機や鎌で草を刈り、 終わって公民館のプレハブ別館に移っ…

 子どもたちは怪談が好き(3)

第2話 大峰山の怪 大台ケ原という山があります。 原生林におおわれた紀伊山地の山で、ドライブウェイができるまでは、秘境と呼ばれていました。 ぼくが登ったのは、ドライブウェイができる前の、11月でした。 大台ケ原までの登山道はこの世のものとは思え…

 手作り、木のおもちゃ

無垢(むく)の木で作ったおもちゃ、 木の肌触り、なんともやさしい触感、 2歳の孫は電車が好きで好きで、 だから木の電車のおもちゃを作って送ってやろう、 そう思ったら、体が動いていた。 ぼくは木が好きで、 納屋などを建てたときにできる木っ端も捨て…

  子どもたちは怪談が好き(2)

第1話 なぞの火、不思議な光 山に入るとねえ、あんなところに人はいないし、道もないし、どうしてと思うようなところに、 火がチラチラ燃えているのが見えることがあるんだ。 昔から、狐火と呼ばれている火があって、狐が火を吐いていると言うんだね。 実際…

 子どもたちは怪談が好き(1)

授業のあいまに、たまに怪談をすると子どもらは喜ぶんだなあ。 でも、そう何回もするわけにはいかない、ネタに限度があるから。 山の話も、子どもらにとっては未知の不思議譚だから、興味津々、真剣な顔をこちらに向けて聴いている。 山の頂上で雷に遭った話…

 「子供の領地」飯島耕一

<子供の領地> 走り出したら 飯島耕一 走りだしたら止まれなくなった子供がいた。その子供を引留めたのが何であったかは知らない。 彼はそのあとで、止まりたい時に、自在に止まれる彼の二本の足を、あらためて検証した。 よかった、大丈夫で。あの時は走ら…

  ナガサキ、被爆した樹

長崎原爆に遭ったカラスザンショウという木のことを知った。 爆心地から500メートル離れた城山小学校に生えていたカラスザンショウは被爆した。 カラスザンショウは強かった。 爆風とともに襲った数千度の熱線に耐えた。 木は、生き延び、今も生きつづけてい…

 コローの絵

東京へ行ったついでに、上野の国立西洋美術館へ行ってきた。 目的は19世紀フランスの画家、コローの絵画を観ること、 コローをこれだけ集めた展覧会は初めてということだった。 2時間かけて、じっくりコローの絵を堪能した。 自然を愛したコローの森の絵…