2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

イスラエルの民、ガザの悲劇

ガザの悲劇、上のような写真がネットにとどいた。 1月29日夜、NHK「クローズアップ現代」は、「ホロコースト生還者が語るガザ攻撃」という苦悶の映像を伝えた。 第二次世界大戦前夜から、ヒトラーのナチス・ドイツはユダヤ人絶滅のホロコーストを企て、それ…

養老孟司が父の死を認めた時

養老孟司がかつて、「手入れ文化と日本」(白日社)に書いていた、養老さんの父の死に関する文章は、心にひたひたと迫ってくるものがある。 私の父親は私が4歳の時、死んでいます。父の兄弟は10人いたが、そのうち6人が若くして死んでいた。死因は結核でした…

詩「黙示」(木原孝一)

詩「黙示」(木原孝一) 「黙示」という詩。そのタイトルの傍らに、小さく詞書(ことばがき)が添えられている。 「1945年 広島に落とされた原爆によって 多くの人々とともに 一人の女性が死んだ その 女性の皮膚の一部が地上に残されたが それは殉難者の顔…

「日の移ろい」島尾敏雄

海上特攻隊「震洋」の出撃寸前に、日本の敗戦がやってきて、島尾敏雄は生きながらえた。軍は解体、島尾は、現地の女性と結婚し、奄美大島の図書館長に任じられた。人生極限の変化だった。 島尾は日記をつけた。その中にこんなことが書かれていた。 1月23日 …

島尾敏雄とは 吉本隆明

島尾敏雄と吉田満の対談記録の後に、吉本隆明 も意見を述べている。 「わたしたち戦争の年代が、島尾敏雄を頼みと感じた理由のうち、いちばん大きなものは、彼が戦争体験の表現を、自分の宿命的な資質の根にとどくところまで追いかけ、描き切った点にあった…

島尾敏雄と吉田満「特攻体験と自己の罪」

島尾敏雄と吉田満二人の対談(「新編 特攻体験と戦後」中公文庫)、その後に、鶴見俊輔の文章が加えられている。それは次のような内容だった。 「ワレ果シテ己レノ分ヲ尽クセシカ」と、吉田満が海上に一人浮かびつつ自らに問うとき、その分とは日本帝国臣民…

島尾敏雄と吉田満の戦争体験

「特攻」は、映画にもなった百田尚樹作の、飛行機による特攻隊「永遠の0」が知られているが、島尾敏雄と吉田満の人生に起きた「特攻」は、船による特攻であった。 「新編 特攻体験と戦後」(中公文庫)は、島尾敏雄と吉田満の太平洋戦争体験をめぐる対談が…

「ナチスは『良いこと』もしたのか?」

検証 「ナチスは『良いこと』もしたのか?」という書が昨年出版されている(岩波ブックレット)。 筆者はドイツ現代史の研究家、小野寺拓也氏と田野大輔氏。ナチズム研究を踏まえて、「ナチスは良いこともした論」を検証している。ナチス・ドイツが行ったユ…

内田樹「街場の戦争論」から

2024年を迎えた。この日本、この世界はどうなるか。地球はどうなるか。 プーチンは、侵略戦争に生き甲斐を感じ、イスラエルの指導者は、歴史的な怨念を軍事攻撃ではらそうとしているかのように見える。 日本の政治家は、およそ「献身」とは縁のない様子だ。…