2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

国語教育でいちばん大切なのは

かつて私は国語教員だった。 内田樹は、2013年、国語教育について教員たちに講演をした。 「国語教育でいちばん大切なのは、『沈黙の言語』につながる回路を、子どもたちが発見することではないかと僕は思います。学校における国語教育の実際に即して言うな…

野坂昭如の遺言

芋ほり 野坂昭如は、「しぶとく生きろ」を書いた。その一部を要約。 「昭和16年春、妹の紀久子ができた。もらわれてきたのだ。ぼくも養子、それを知らなかった。 ぼくは妹をかわいがった。四六時中おんぶし、あやしていた。おむつを替え、子守唄を歌った。そ…

秋の日は釣瓶落とし

つるべ(釣瓶)という水汲み道具があった。 私が小学生の頃、母方の祖父母の家に行くと、水は井戸からつるべ(釣瓶)でくんでいた。井戸は台所の中にあり、その水で生活のすべてをまかなっていた。 つるべにはロープの一端がくくりつけられていた。水を汲む…

恐ろしい崩壊が近づく

今朝の朝日新聞社説「もう議員の資格はない」 札幌法務局が人権侵犯に当たると認定した自民党国会議員・杉田水脈の発言、朝日の社説記事は、「議員の資格はない」と告発している。 次のような趣旨である。 国連の会議に日本から参加した人たちを、『チマチョ…

突如、秋到来

この夏の猛暑、水不足だったが、ナツメ(棗)の樹はたくさん実をつけた。 旱魃気味の初期にできたナツメの実は小さく、既に茶色になり、水分が少なくて、しょぼくれている。あとからできた白っぽく薄緑の実は、ときどき水を樹の根元に補給してやったこともあ…

野坂昭如の絶筆

「火垂るの墓 」の原作者、野坂昭如は、2015年、85歳で亡くなった。「絶筆」という日記を残して。 以下、「絶筆」から。 「〇月〇日、日本はエネルギー源を持たざる国、だから世界第二の工業国たりえた。21世紀、日本とアメリカはエンジン・カントリーたりう…

「Ora Orade Shitori egumo」

妹とし子は臨終のとき、賢治につぶやく。 「Ora Orade Shitori egumo」 「無声慟哭」のなかの宮沢賢治の絶唱「永訣の朝」。 ほんとうにけふ おまへはわかれてしまふ ああ あのとざされた病室の くらいびやうぶや かやのなかに やさしくあをじろく燃えてゐる …

彼は逝きぬ

60年も前の、淀川中学校時代の教え子、萬代君は、「夕映えのなかに」を、しっかりと読んでくれた。卒業後の彼とは会うことも、文を交わすこともなかったが、この本を読んで感想文を送ってきて、同窓生の情報をいくつかメールで知らせてくれた。ぼくが「夕映…

この夏、この地球、この人

雨の全く降らない日が続き、庭の畑の水やりが朝夕大変だ。田んぼに水を送る水路が道の脇を流れている。そこへ一輪車を押していき、大きな容器にバケツで水をくみ入れて、運んでくる。畑に戻ると小型バケツに入れ替え、ナス、キュウリ、ゴーヤ、ピーマン、イ…

「野生の祈り」

バートランドラッセルとアインシュタインが共同で出した声明、1955年、その一部。 「厳しく、恐ろしく、そして避けることのできない問題、それは、我々が人類に終末をもたらすのか、それとも人類が戦争を放棄するのか、という問題である。あまりに難しいので…