2013-01-01から1年間の記事一覧

 歴史と民主主義<1>

2013年が終わる。振り返ると今年も、世界で日本で、国レベルで地方レベルで、これはいったいどうなっているのだと思うことが、頻発した。民主主義について議論も起こっている。 何かがおかしい。何かが狂っている。どうしてこうなるのか。その原因を究明する…

 爺ヶ岳スキー場へ孫たち家族が行ってきた

孫が二家族二人ずつで計四人いる。長男の息子で、いちばん年上の孫が小学一年生、あと三人は幼児、この正月に帰ってきたらそろってスキー場へそり遊びに行く予定をしていた。ところが暮れに小学一年生のボウズがおたふくかぜにかかって、来れなくなった。結…

 年の暮れは忙しい

「今日は忙しいですか」 電話のNさんの声が遠慮がちだった。 「忙しいと言えば忙しい、忙しくないと言えば忙しくないですが、何でしょう」 「前に言っていた庭の剪定木、取りにこられませんか」 そういうことだった。日本語教室で一緒に外国人に日本語指導…

 31年前の教え子からの電話

突然電話が鳴った。 「アキです」 おっさんのような、若者のような、男の朴訥そうな声だ。それを聞いて、直感。あのアキだ。 「おう、アキー」 「はい、覚えてますか」 分かった。31年ぶりの声だ。これまで、思い浮かべることはほとんどなかったアキ。声を聞…

「経験」の継承を忘れた人たち

終戦直後に大流行した「リンゴの唄」という歌があった。 赤いりんごに くちびる寄せて 黙って見ている 青い空 リンゴは何にも 言わないけれど リンゴの気持ちは よくわかる リンゴ かわいや かわいや リンゴ 敗戦後の日本で最初に作られた映画『そよかぜ』の…

 風の谷

古いノートのページに、和人からのメールを記録してあるのが目に留まった。たまにこのノートを開いたとき目にする和人の文章、あの頃の記憶がよみがえる。 2003年の2月14日、和人は「風の谷」と呼ばれていたところから、メールをくれた。彼は2002年に日本か…

 フィギュアスケート選手の涙

ライトに浮かび上がったリンク中央で、織田が泣いている。「今日をもって現役を退く決意をしました」という意味の声が埼玉のアリーナに響く。観客席から拍手が起こった。声が飛んだ。そのとき、織田をめがけて飛び出してきた人たちがいた。鈴木、浅田、村上…

 餅、アイガモ肉、ワイン

タカオ君の家で昨日、仲間が集まって餅つきをした。毎年我が家の正月の餅はタカオ君についてもらっている。午後、学校帰りにタカオ君の家によって、餅と、さばいたアイガモの肉を持って帰った。例年、餅つきのときは出かけていって、見物したり手伝ったり、…

 今日、昨日

朝、太陽が八ヶ岳の赤岳の左辺りから顔をのぞかせた。まばゆい。美ヶ原は八ヶ岳の前方、ここから見て左側にある。 美ヶ原の稜線から白い筋雲が延び始めた。飛行機だ。機体は見えない。飛行機雲だけがかすかな速度でこちらへ向かって延びてくる。一本の白い線…

 焼岳・大正池

ソウゾウ君が、畑のネギを全部掘り上げてくると言って立ち寄っていった。彼はぼくの借りている畑の一部を使っている。昨年熊本からこちらにきて、造園と土木の会社に就職した。 最近、大正池の浚渫(しゅんせつ)工事の仕事をしているという。上高地の大正池…

 隠岐の島・海士町に見る民主主義

世界の民主主義の系譜をたどりながら、宇野重規(政治哲学)は、未来社会を展望し、現代の新しい試みを紹介している。(「民主主義のつくり方」宇野重規 筑摩選書) 島根県沖に隠岐の島という島がある。隠岐諸島には人の住んでいる島が四つあり、その一つで…

 日本の戦争を終わらせた人々、資料による歴史教育<2>

「日本の戦争を終わらせた人々 軍人たちの戦争と平和」(中 一夫)の鈴木貫太郎年表から一部経歴をピックアップする。 1918年(大正7)、海軍中将。アメリカを巡る。 1923年(大正12)、海軍大将に任ぜられる。 同9月、関東大震災が起こる。東京へ、彼の独断…

 日本の戦争を終わらせた人々、資料による歴史教育<1>

<人間はたとえ間違ったことであっても、それを繰り返し耳にしていると、いつの間にかそれが真実にそのように聞こえて来、やがてそれ以外は一切間違っているかのような錯覚にとらわれてしまうものだ。 日清・日露の両戦役以来、日本人は大陸政策というものを…

 聞こえる、聞こえない、音や声

今日は雪が降っている。静かに雪が降り積もっている。 雪の日は遠くの音が消える。積もればさらに音はなくなる。 テレビドラマの声が聴き取りにくくなった。BGMの曲がやたらと我が耳に大きく響いて、音楽に重なる俳優のせりふがほとんど聞こえないときがある…

 やっかいなチェーンソー

<写真>日曜日に公民館で、ワラを使って正月かざりの「しめなわづくり」があった。大人25人、子ども5人がやってきた。講師は毎年綾子さんと平林さん。去年ならったのに、一年たてば作り方を忘れている人が多い。 巌さんが持ってきてくれた柿の木を、薪スト…

 リービ英雄、小説「千々にくだけて」

アメリカ人の日本文学研究者であり、日本語の作家であるリービ英雄は、2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件をテーマにした小説「千々(ちぢ)にくだけて」を書いている。 2001年9月、主人公エドワードは、日本からニューヨーク行きの飛行機に乗る。カ…

 「引き揚げの人」北川冬彦

引き揚げの人 北川冬彦 裏に犬の毛皮をはった帽子をかぶる、異様なかっこうの人だった。 背負った荷物の端に 錫のやかんを一個しばりつけていた。 ――こいつはるばる蒙疆(もうきょう)からくっついてきたんですからね。 まるで赤ん坊でもあやすように やかん…

 12月8日・14日の投書を読んだ

12月8日、朝日新聞の「声」の欄に、早乙女 勝元の名前を見た。「声」の欄は、庶民の声を投稿するサイトである。そこに、著名人の作家、早乙女の名前がある。タイトルは、「朝、目覚めたら戦争だった」。 <1941年12月8日、私は東京下町の国民学校4年生だった…

 柿の木の薪作り

巌さんの柿の木は、すっかり裸になった。 落ち葉は柿の木の根元を埋めていたが、 吹き荒れた風で、どこかへ飛んで行ってしまった。 巌さんの柿の木は三本。 一昨年、成りに成った実は、秋をいろどり、 「とりにおいで」 と声かけられ、 コンテナにいっぱいも…

 清沢洌と原題<2> 

<写真> 穂高の足湯(ユキちゃんが日本に来たとき) 前述の宮沢正典「清沢洌の自由主義」の論文に、戦前の言論弾圧とジャーナリズムの変質を書いている。 特高(特別高等警察)という装置が国に作られたのは1781(明治4)年であったというから、そんな長い…

 市議会で望三郎君質問に立つ

今日はぜったい行かねばならぬ、と市議会傍聴に出かけた。新人議員の望三郎君、初めての出番、40分間の一般質問に立つ。 議場に入ると、暖房がよく効いていて暖かい。傍聴席には十数人の市民や報道関係者の姿があった。前列の空席に座って、議場を見まわす…

 清沢洌と現代

それは3年前になるが、赴任してこられたK氏と挨拶を交わしたとき、冗談半分に、 「清沢洌(きよさわ きよし)の子孫ではないですか」 と言ってみたら、そうですという返事が返ってきた。 えっ、ほんとう? 冗談でしょう、と思ったが当たっていた。自分は清沢…

 日本語教室で「料理法」

朝、窓全面に結露していた。朝日が当たり、朝日で暖められたところの結露が蒸発し、庭の木材(夏のよしずの棚)の影になっているところの結露が白く残った。外の柱や棚の梁の形そのままに。 ベトナム人の農業実習生は、日本語の勉強時間は充分とれない。残業…

 それは秘密

都合の悪いことは隠す。 不利になることは隠す。 悪いことは隠す。 批判を受けることが予想されることは隠す。 隠していることがあばかれないように、 隠していることが知られないように、 隠していることを隠す。 何が隠されているのか分からない。 隠され…

 洗濯機の寿命

洗濯機の脱水が完全にできない、洗濯もすすぎも充分できていないのかもしれない、と家内が言う。もう寿命かもしれないね、よくもったものだよ、と言う。洗濯機のドラムがしっかり回転しないと洗濯も脱水も完全ではない。回転していないということはモーター…

国民に課された不断の努力とは 

金を貸したところ相手はいつまでも返さない。催促しないでいたら時効になり、債権を失ってしまった。 政治学者、故丸山真男は、学生時代に教授から聞いた時効についての話を持ち出して、日本の民主主義について書いていた。60年日米安保条約締結をめぐって…

 政府と国会にお任せからの脱却

けさ新聞をみると、上田市の小学生が車にはねられて重体というニュースが載っていた。長野版の小さな記事だが、子どもの命が奪われていくことの重大さは、記事の小ささとは関係ない。その子は、横断歩道を青信号で渡っていて、信号を無視した車にはねられた…

 霧と氷の朝の登校

今朝は濃霧が長く続いた。5時台、6時台の朝早い段階では、ライトをつけている車が多い。だが、9時ごろになると、まだ霧は視界をさえぎっているのに、空の明るさで判断するのだろうか、ライトをつけない車がほとんどになった。車のライトは運転するものが…

 朝の登校

朝6時はまだ薄暗い。ランを連れてウォーキングパトロールに出た。ランは外出が大好きで、家を出る前はそわそわ浮き浮き尻尾がぐるぐる回転する。今日のランはちょっと朝寝坊した。いつもは6時過ぎにぼくを起こしに来るのだが、今朝はぼくの方が6時前に起…

 日本語と出会う

スロベニアからやってきて高橋さんの家にホームステイしていたハニさんが、昨日日本語教室に姿を現した。すらりと背が高く、昨年よりすっかり大人びて、あごひげがうっすら黒い。今年19歳になる。再び日本にやってきたのは、日本の大学を受験するためで、…