2009-03-01から1ヶ月間の記事一覧

 山形県、『山びこ学校』が閉校

3月22日に、山形県の山元中学校が閉校した、というニュースを読んだ。 かつての、あの「山びこ学校」、無着成恭さんと43人の教え子がつづった文集の舞台が消えた。 今年の卒業生は、3人だった。 閉校式には、卒業生、村人ら300人が出席して、別れを…

 挫折と希望

一月ぶりにランと散歩した。 今朝は氷点下2.5度、細かい飛雪に耳がこごえた。 太陽が上がると、日中の気温は上昇した。 庭に、ジョウビタキが来ている。 今年初めて、ヒバリが空中でさえずっているのを見上げた。 揚げヒバリ。 スイセンの開花がはじまった。…

 本務と雑務

彼女は、深いため息をついた。 「雑務に追われて、本務に打ち込めないんですよ。」 いったいどんな雑務が彼女を苦しめているんだろう。 「雑務」とは何? 「本務」とは何? それが明確に区分けできるか。 私の公立学校教員時代、 20代は、放課後の時間のほ…

 宮柊二の歌と家族

をさなごよ 汝(いまし)が父は 才(ざえ)うすく いまし負(おぶ)へば 竹群(たかむら)に来(く)も 「幼子よ、おまえの父は才のない男だよ、おまえをおんぶして竹群に来たよ。」 柊二(しゅうじ)は、子守歌を歌いながら、我が子をおんぶして歩いている…

 リーダーの資格

いろんなリーダーを見てきた。 長の役職についているけれど、とてもリーダーとは言えない人も見てきた。 企業の長、組合の長、学校の長、 政党の長、共同体の長、‥‥ いま、国家の長が、リーダーとしての資質を問われている。 民の嘆きも暮らしも見えない人、…

 手塚宗求「孤独と夜」

八ヶ岳から蓼科山、つづく車山、 霧ケ峰高原は車山の西にひろがる。 ヒュッテ・コロポックルは、霧ケ峰の車山肩に建てられた小さな山小屋である。 そこに住んで60年になる小屋の主、手塚宗求さんは、今年は77歳になる。 ぼくは、手塚さんのエッセイのフ…

 手つむぎ

まったく偶然だった。 図書館の開館時間までまだ15分ほど間があったから、隣の文化会館に入ってみたら、 「美濃縞伝承会 作品展」と墨で書いた看板が出ていた。 入ってみた。 これは、これは、 会場周りの壁面には、手つむぎの木綿の反物や、着物、服がず…

[自然]  雨

剣沢の小屋前キャンプ地に張ったテントをたたんで、 真砂沢の出会いまで剣沢大雪渓を下る日は雨だった。 山岳部夏山合宿の後発隊が、明日、富山側から上がってくるのを迎えるために、 雨だから停滞というわけにはいかなかった。 テントを畳む間も、雨は容赦…

[現代社会] 暴走車

赤信号を無視して、暴走してくる車がある。 交差点の手前、数十メートルほどの所を交差点に向かってぼくは歩いていた。 暴走車は、反対車線に赤信号で停止している二台の車の横をかすめて、交差点を横切り、ぼくの横を通りすぎていく。 このけしからんやつめ…

  表情と風貌

「私は氏のきびしい風貌に、戦争の濃厚な匂いを感じていた。 あの戦時という奇妙な一時期が氏の顔に貼りついており、 私の顔も同じであるのだろう。 戦争について、あらためて話し合わなくても、 互いによくわかっているのだ。 氏は夫人を失い、 荒れた原野…

 NHKの特集、多摩川のホームレスと猫たち

髪長く、あごひげに白いものの混じる男は、 草原の小屋のかたわらに置いた椅子に座っていた。 男の前には火が燃え、やかんがかかっている。 彼の視線の先には、川が流れていた。 男は歌い始めた。 朗々と張りのある声は、草の上を流れていった。 歌は、ロシ…

 野菜の力

近くの土手焼きの灰がちらちら空から舞い落ちる葦の茂みに、 まだヨシキリの声はなく、 鯉たちの遡上まではまだ日があるようだ。 土手の草原は水際にかけてなだらかに傾斜し、 そこに枯草を保護色にした土筆がつんつん生えていた。 いつのまにやら黙ってこっ…

 「我が(わが)」の意味

我が身、 我が家、 我が家族、 我が故郷、 我が母校、 我が国、 我が地球。 「我が」が広がる。 この「我が」には、「私のもの」という所有の意味はありません。 なんだろう、 故郷が木曽・馬篭だった島崎藤村は、馬篭を「血につながるふるさと」と言いまし…