チロルの旅

子どもたちの夏休み

子どもたちの夏休みも終わる。 自由を謳歌し、好奇心をかきたて、学校から解放されて、冒険、探検を楽しむ、それが子どもたちの夏休み。それが私の夏休みだった。 では今の日本の子どもたちは、どんな夏休みを送ったのだろう。 ぼくは「夕映えのなかに」に、…

 あれこれ、あちこち

列車の車両の一部に、座席も何もない、がらんとした空間がある。自転車を持ち込むところだ。 全国どこでも、サイクリングしたいところがあり、サイクリングできる条件が整えられている。 列車で自転車を運び、走りたいところで降りて、チロルの野を、すいす…

 オーストリアの原発 その教訓

もしオーストリアに原発が出来て、事故を起こしたらどういうことになるだろうか。イン川のほとりで、山々や街を眺めながら想像した。雪をいただく美しい山も、おいしい湧き水を街に提供してくれる谷も、人が絶えてしまう。花を飾る谷間の村も消えてしまう。…

オーストリアの原発

九州電力の川内(せんだい)原発が再び動き出すというニュースが今朝の新聞のトップニュースに出ていた。原子力規制委員会が、規制基準を満たしていると、稼動を認める審査結果を出したからだ。安倍政権は「お墨付き」を得たとして他の原発も再稼動させるつ…

 伝統と風土

午後1時何分かのバスに乗る予定で、パン屋の前で待っていた。ところが予定時刻を過ぎてもバスが来ない。もう一組の夫婦連れも待っているがやってこない。どうしたんでしょうねと顔を見合わせる。 そのうち坂道を行き交う村の人たちの動きや、フェスティバル…

 物乞いする人

オーストリアの街を歩いても、田舎の村を散策しても、この国は豊かな国だなと思う。観光立国で豊かになってきたのだ。 ところが、街の通りでしばしば物乞いをする人を見かける。昔は「乞食」という言葉を使っていたが、今はこの言葉を使うと抵抗感があるから…

 景観、環境の美

チロルは美しい。この美しさはどうして生まれたのか。山や氷河、森、川、咲き乱れる草花など、自然そのものの美は、太古から変らずある。それに加えて存在する美がある。人間が営々とつくりあげてきた美である。 村全体の家々が創出する調和の美がある。一軒…

 お年寄りのトレッキング、おしゃべり、ビール

高齢者が山をグループで歩いている。この国も高齢者が元気だ。トレッキングコースを5、6人で、あるいは7、8人で仲良く歩いている。背中にザックを背負い、両手にストックをついている人もいる。途中で休憩して岩の上に腰を降ろしている一組の横を通り過ぎ…

 子どもたちの野外活動

バスの中に10名ほど、中学生らしいグループが乗ってきた。幼さが感じられるから一年生ぐらいだ。市内バスだが、鉄道列車のように真ん中の通路を挟んで、向かい合う2座席が両側にある。その8席の6つがヤンチャそうな男の子たちだ。ぼくの向かいに座った生…

 なぞの鳥は?

二日間雨模様だった。三日目、快晴がやってきた。外に出ると、輝き渡る空から光が満ちあふれ、街も山も一変した。イン川はアルプスの水を集めて、白く波打って流れていく。こんなにも世界が変わるものか。街の北、碧空高くそそりたつ岩峰、南の谷深くそびえ…

 旅の中でチェルノブイリに行く人に出会った

空港の本屋で買った「列島の歴史を語る」という網野善彦さんの本を読んでいた。離陸してから1時間ほど経っている。右の席に若者が座っていた。エコノミー席は隣の人と腕が接するほどくっついている。ひじかけの上で彼の服がぼくの腕に接触する。だが、彼は…