2021-01-01から1年間の記事一覧

多民族混交国家

机の引き出しのなかから、縦横6センチ、小さな小さな豆文庫、一冊が出てきた。 「安曇野の民話 4 八面大王」 こんな話。 ▽ ▽ ▽ むかし むかし 有明山の ふもとに 八面大王と呼ばれる 強いおかしらがいました。 村人たちは 平地ではお米を作り 山ぎわでは馬…

年賀状を出しに行った

今朝の常念岳のモルゲンロートは神々しかった。 夕映えのアーベントロートは、神の恩寵を示していると、ラッペは詠い、シューベルトは曲をつけた。 その歌曲が「夕映えのなかに」。 その名をぼくはこの冬に出版する小説のタイトルにした。 今朝のモルゲンロ…

黒豆を炒る

まだ少し豆の選別が残っていた。 枝の一部、カラのさや、さやに納まったままの豆、 それらがごっちゃになっている。 そこから黒豆だけを取り出す最後の作業。 風があれば、風に飛ばすのだが。風がない。 ブルーシートに残っていた混然としているそれらから、…

小説、ほぼ完成

八年前から書いてきた小説が、ほぼ完成した。タイトルは初め「魂呼ばふ山河」と名付けていたが、変更しようかと思っている。今の候補名は「夕映えのなかに」という、シューベルト作曲、カール・ラッペ作詞の歌曲の名なんだが、それは小説最後に現れるシーン…

菊芋

菊芋が、たくさん穫れた。毎日、少しずつ食べている。整腸作用があり、血糖値を下げる。心筋梗塞、脳梗塞、糖尿病の予防にもなる、ガンにも効果があると言う。「名医の太鼓判」とも言われる芋だ。 我が家では、電子レンジでチンをして、みそだれをつけて、食…

モルゲンロート

痛む膝も、両手のストックをついて、膝をあげるように大股で歩くと、いくらか痛みは和らぐ。 大股は運動によい。意識しないとすぐに小股になる。 メイちゃんに会う。おじちゃんと、おばちゃんが、毎日メイちゃんを連れて長距離の散歩をしておられる。白のラ…

リキも死んだ

枯れた黒豆の株を、竹刀でパンパンたたいていた。 サヤから、黒豆がパラパラと出てくる。 今は亡き、木村重起さんが、旧制中学時代に使っていた竹刀。持ち手に巻かれた皮には、名前がまだはっきりと残っている。 21年前、奈良の御所市、金剛山の麓の名柄の村…

共助の村づくり

居住地区の公民館報発行五十周年で、あなたも一筆、感想などを250字ほどで書いてほしいと依頼があり、この地区に来て16年、思いを書いて出した。 「高齢者の一人暮らしが増加している。地域の子どもの、外での群れ遊びが完全に消滅した。若者、住民にも、い…

からくり人形の贈り物

ハタヤンから突如贈り物がとどいた。 箱を開けたら、おー、ハタヤンの「工房みもざ」の、「からくり細工」やあ。 すごい、すごい、ハンドルを回せば、エベッサンが、タイを釣る。木工細工でよくもまあ、こんなに精巧に作ったものだ。高さ二十センチほど、ひ…

ブログを読んでくれた人から

かつての「創造学園」の教え子から、ブログ訪問のコメントをいただき、 とても強いなつかしさを覚えた。誰なんだろう? けれども、あのころは、個別指導をしていたし、たくさんの生徒が日を措いて学校にやってくるものだから、名前を聞いても、思い出すこと…

早くも冬

今朝、霜が降りていた。稲刈りの済んだ田んぼは、白い。 霧が林や山々に、ベールをかけている。 気温、零度。 冷たい空気を吸い込みながら歩く。気温が低くなり、胸が痛む。ハアハアハア、息切れもする。 胸の痛みは、神経痛だと医師は言った。左乳の下から…

突然、肺ガンがやってきた <6>

僕が退院した翌日、小学三年生のウイちゃんは、お父さんと一緒に燕岳に登って燕山荘に泊まり、元気に下りてきた。 「じいじ、大丈夫?」 「大丈夫、大丈夫。元気だよ。」 夜、退院パーティをやってくれた。ぼくは「モミの木」の歌を歌い、ウイちゃんはそれを…

突然、肺ガンがやってきた <5>

自分も肺ガンだったと言われた隣のベッドの人は、 「私も五時間半の手術でした。」 とのこと。そして 「みごと。」 と一言付け加えられた。ぼくもあいづちを打った。 「見事なもんでしたねえ。」 同感。 五人の医師チームによる手術は、麻酔状態で眠っている…

突然、肺ガンがやってきた <4>

病室604号室は、四人部屋。四台のベッドはカーテンで仕切られて、互いのあいさつも何もない。どんな人なのか。顔も分からない。医師、看護師と会話している時の声は聞こえるが、患者同士は断絶している。これもコロナが影響しているのかな、と思う。 そこで…

突然、肺ガンがやってきた <3>

ぼくは病院の環境について考え始めた。 病室で本を読むには、ちょっと暗い。電灯を点けなければならないから、デイルームへ行こうと思ってストックをついて出る所へ、看護師さんが具合を診に来て、一緒に歩き出した。彼女は学生のような若さ、言葉を交わしな…

突然、肺ガンがやってきた <2>

黒豆の葉が少し色づいてきたが、トマトはまだ実をつけていた。ぼくは信州大学医学部付属病院に入院した。 病院は大きく、複雑な建物配置で、迷路のようだ。病室は四人部屋、それぞれカーテンで仕切られていて廊下側は薄暗い。 僕は、体力を維持するために、…

突然、肺ガンがやってきた

42日ぶりに書く。 八月、咳と痰が、二、三か月前から、続いていたから、かかりつけの近所の医師に診てもらった。レントゲンには何も映らなかった。 「おかしい」 僕は医師に紹介状を書いてもらって、日赤安曇野病院に行った。CTで調べた結果が、「肺ガン」、…

花も悼んでいる

今朝、五時過ぎ、両手ストックをついて散歩に出る。 「野のベンチ」に座って、山の歌を歌う。 二号ベンチの横に植えた、ムクゲの白花が十輪ほど咲いている。 野の中の一本のムクゲ、白花。 少し歩く。稲田の水を調整するために、畔を歩いている高齢の男性が…

犬は感知するのかも

15年余り、朝夕、ランを連れて野を歩いてきた。 犬連れの人と出会うと挨拶し、会話を交わした。 そうして犬を介して「友」が生まれた。 世間で、「犬友」という言葉もある。 中型犬を連れたご婦人に14年前出会った。犬の名は「おみそちゃん」、毛色が味噌…

ランの命 3

昨日の午後7時ごろ、ランは逝きました。 土間に、体を横に倒したまま、時々足を動かして、 もがいているような、夢の中で走っているような動きをし、 弱弱しく鳴いたりしていました。 眼はほとんど見えていなかったようです。 水を飲まず、食べず、 4日間…

ランの命 2

夜中にランの声が何度も聞こえ、目が覚める。悲鳴のような、何かを求めるような。 起きていって、土間に来る。 ランは土間に伏せて、二本の後ろ脚が右に延びている。 頭の後ろをモミモミしてやると静かになった。 どうしたら水を飲むだろう、いい方法はない…

ランの命

ランの命が尽きようとしている。 35度の酷暑のつづくなか、 なんとか耐えていたが、 今は水をのまず、食べ物を口にせず、ときどき悲鳴のような声を上げて、 助けを呼ぶような、苦しみの声を出す。 夜中も、二時間おきぐらいに、声を発し、 そのつど僕は起…

国歌

オリンピックで金メダルをとると、国歌の演奏が流れる。 だがロシアは、かの五輪で国ぐるみのドーピング問題があって、国歌の演奏はなく、オリンピックには「ROC」、ロシアオリンピック委員会として参加していることから、国歌ではなくチャイコフスキーのピ…

オリンピックの原点

テレビから、「金メダル獲得!」という、興奮した叫び声が聞こえてくる。 「オリンピックは参加することに意義がある」、というオリンピック精神は薄れてしまった。勝つこと、メダルと取ること、そればかりだ。 ぼくはオリンピックの柔道の試合を見る気がし…

托卵のヒナ

炎天が広がり、カッコウの声がほぼ消えた。ヨシキリも声を聴かず。モズも姿見えず。 オオヨシキリが盛んに鳴いていた時、妻が「分かったあ」と叫んだ。 「何?」 「あのヒナは、オオヨシキリのヒナだったんだ」 カッコウやオオヨシキリはモズの巣に、托卵す…

梅雨明け

野の二号ベンチの横に植えたムクゲの木に、一輪、白花がパッチリ咲いていた。まだ枝も少ししか伸びていない、これから成長する樹。そこに花が付いている喜び。たったの一輪が、なんともかわいい。 庭に植えたヒメシャラも白花を咲かせている。別名「夏ツバキ…

ベンチ横に樹を植えた

廃材を利用して作った「野のベンチ」の横に、一メートルほどはなして木を一本植えた。真夏になって、かんかん照りになったとき、ベンチに座った人に日陰をつくってくれるベンチになればいいな。そう思って、農道わきの農地の所有者に許可を得て、まずは第二…

「夏は来ぬ」

「夏は来ぬ」、午前4時からの散歩の途中、今朝も歌った。ランが聴いていた。 この歌は、明治29年に作られ、新編教育唱歌集に収められた。作詞は佐々木信綱、作曲は小山作之助。1番は、 「卯の花の匂う垣根に 時鳥早も来鳴きて しのびねもらす 夏は来ぬ」 卯…

昨日は烈しい雷雨だった。雨を予測して、黒豆を全部蒔ききった。一週間ほど前、最初に蒔いたのはもう芽が出始めている。すごいね、生命は。 モロッコインゲンは蔓を伸ばし始めた。背よりも高く伸びるから、古竹の支柱を立てた。キュウリもトマトも、支柱を立…

気になる言葉

「そこにあるヤツ、いくらしますか?」 若い女性が言う。その「ヤツ」というのは店の商品の一つ。 テレビで音楽談義をしている。 「私の好きなヤツはショパンの協奏曲です。」 何? 何? ショパンの曲を「ヤツ」と呼ぶのか? この「ヤツ」表現、よく聞く。使…