2011-01-01から1ヶ月間の記事一覧

 雪のなかで

若宮神社はお稲荷さんである。そこにある畜魂碑。 足跡だけが田んぼの中を横切り、道を通ってあぜに入り、 新雪の上の足跡はキツネ。 毎日雪が降るようになって、新雪に残された足跡が、生き物の生きている証になっている。 ある朝、陽の昇る前、キツネが巣…

 子どもの遊び 連凧と常念岳

冬休みに児童館で、連凧を作った。 ぼくとサルタさん、そして小学5年生のマコチンスキーの3人で作った。 マコチンスキーはぼくのつけたニックネーム、ほんとはマコト。 サルタさんとぼくは指導員という資格だが、子どもと一緒に遊びをつくり遊ぶことに没頭…

 大岡昇平『俘虜記』

大岡昇平は1944年(昭和19年)、35歳で召集、フィリピンに送られ、ミンドロ島サンホセ警備の部隊に入った。 その年12月、アメリカ軍がミンドロ島に上陸、部隊は山中に退避する。 翌1945年、部隊は米軍に露営地を襲われ、俘虜となり、レイテ島の収容所に入れ…

 冬

子どもたちの火祭りは「三九郎」 雪の鹿島槍が岳、爺が岳。 ブナだろうか、この木は。幹の白っぽいまだら模様はブナそのもの。枯葉が冬も残るのはどうなんだろう。 アマガエルが竹ぼうきで死んでいた。 工房も雪。木の壁はぴったしだな。 雪の野に立つ一本の…

  カタロニア、心の歌

谷村新司が、スペインのテナー歌手、ホセ・カレーラスと対談していた。 カレーラスの波乱に満ちた人生を振り返るTV放送。 カレーラスの真摯にして謙虚な姿は印象的だった。 トークの最後に、カレーラスは母が歌ってくれたという子守歌を歌った。 トーク途…

 一つの道しか歩けない

ふけたもんだ、新しい免許証の写真を見て思う。 車の免許証の更新手続きをして、警察で新しいのを受け取った。 これまでのはその場でパンチを入れられ、穴あきになったのを戻された。 「処分してください。」 新しい免許証の写真は、バリカンで刈った頭がつ…

「乳と蜜の流れる地」

工房の入り口に敷石を敷いている。 凍土はこんなに固いものなのか。 工房の前に石だたみを敷いている。 このあたりは烏川の扇状地を開墾したところで、人間の頭ほどの石から小石まで土の下からいくらでも出てくる。 それらは、野道のあちこちに積み上げられ…

 人を救った熊の話 <「北越雪譜」の話 2>

北越雪譜の中に、熊の話があります。 鈴木牧之は、熊のことを「わが国の獣(けもの)の王で、義を知っている動物である。」と書いています。 「義」というのは、「正義」「義務」の「義」です。人として行なうべき道という意味です。 牧之の説では、熊は、木…

 江戸時代の秋山郷の暮らし <「北越雪譜」の話 1 >

今から174年前というと、明治維新の30年前、江戸時代のことです。 鈴木牧之(すずきぼくし)という人が、「北越雪譜(ほくえつせっぷ)」という、雪の話を書きました。 鈴木牧之は越後の国(えちごのくに)、今の新潟県の人です。 冬に、3メートルも4…

 あるおじいさんとおばあさんの話

「さんくろう」と呼ばれるどんど。 あるおじいさんとおばあさんの話 上野頼三郎 あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。 お陽さまがぽとりと山の彼方に落ちてしもうと 急に山も村も不機嫌になってしもうようなところでした。 おじいさんとおば…