2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

 錯覚・偏見・怒り

鶴見俊輔が怒りについてこんなことを書いている。 「人と人との間に生じる怒りって、だいたい錯覚から来るんですよ。 つまりほかの人に対して、自分が像を作って期待して押し付けようとして、 それがはずれるから怒りが出てくるんで、 『ああ、思いちがいを…

 吉野弘『種子について』 

もう1編、吉野弘の詩です。 種子について ――「時」の海を泳ぐ稚魚のようにすらりとした柿の種 人や鳥や獣たちが 柿の実を食べ、種を捨てる ――これは、おそらく「時」の計らい。 種子が、かりに 味も香りも良い果肉のようであったなら 貪欲な「現在」の舌を喜…

吉野弘『六体の石の御仏』 

こんな詩があるのです。 六体の石の御仏 さる人の耐えがたき痛みを 一の石の仏 預かり給う。 一の石の仏の耐え給う痛みを 二の石の仏 預かり給う。 痛み 白き火の玉なして 二の仏より三の仏へ移り 六体の石の仏を転々と経めぐり 再び 一の仏より六の仏へと経…

 桑の樹に蚕らしきもの

桑の樹の生長は、猛烈に速い。 たちまち枝を四方や天に伸ばし、大きな葉を茂らせている。 庭に自然に生えてきた樹は勢いが良すぎて、境界線からはみ出していく。 大胆に剪定して、枝と葉を畑の畦間に細かく刻んで入れているが、生長が速いだけに柔らかい。 …

 住民説明会があった<産業廃棄物処理施設の問題>

三郷の農場で(昨年の写真) 「自動車免許は、法令による審査に通れば交付されます。その後、法規違反をすれば免許は取り消されます。この問題もそれと同じです。」 県の課長のその答弁を聞いた約250名の住民席からどよめきが起こった。 何を言う、それと…

  農家の嫁の作ったプリン

ドクダミ。 キュウリを食べるラン。お昼のおやつ。 タカオ君は毎年、無農薬有機の「地這いトマト」を栽培して、トマトソースやジュースをつくり、 エゴマから「エゴマ油」を加工し、 アイガモを田んぼに放して米作りをしている。 いま、トマトの収穫期、我が…

[暮らし] 朝顔、夕顔が咲いている

厳しい日射熱をさえぎるために、今年育ててみた「緑のカーテン」がみごとだ。 室内から見ると、緑の館のなかの、夏ごもりの感じがする。 まずゴーヤのカーテンが茂った。 おまけに、20センチを超える長さの実は、ゴーヤチャンプルにゴーヤの味噌いためと、…

 畑から卵が出てきた

チャコは小犬、チコはもっと小さい。2匹を連れて家の前まで散歩してきたMおばさん、 「たまげたー。」 庭の畑を見て叫んでいる。 何なに? 「おどけたあ、おどけたあ。」 「おどけた」というのは驚いたということかな。 「よくまあ、こんなにみごとに出来…

 敗北に託す希望

鶴見俊輔が、その著書「隣人記」(晶文社)のなかで、戦争末期の一つのエピソードを紹介している。 それは、片桐宏という陸軍特別操縦見習士官の死にともなう出来事である。 片桐宏は、1945年1月7日、飛行訓練中に亡くなった。 敗戦七カ月前である。 同…

 8月9日、鐘をつく(ナガサキ)

今日は「ナガサキ原爆の日」。 二つの鐘を児童館の相棒のサルタさんと二人でそれぞれ打った。 ネパールから贈られた「平和の鐘」はサルタさん、 「愛の鐘」はぼく。 朝の出勤時にサルタさんに話すと、二つ返事で賛成してくれた。 小学4年生のアサヒちゃんも…

[安曇野]夜明けの空

日の出前、東の空から染まり出した茜色、 みるみる中天を焦がし、壮大な宇宙のショーになっていった。 森を染め、家々を染め、茜色は家の中まで染めつくした。 光と色の変化は止まることなく、 潮が引くがごとく茜色が退いていくと、 西の空に虹が出た。 野…

 特攻隊員・上原良司の思想

臼井吉見文学館 1945(昭和20)年5月11日早朝、 上原良司は、鹿児島県知覧より特別攻撃隊員として出撃し、 沖縄嘉手納湾にてアメリカ機動部隊に突入して戦死した。 学徒出陣の22歳だった。 上原の手記は、「きけ わだつみのこえ 日本戦没学生の手…

 8月6日、鐘をつく

愛の鐘 平和の鐘 今日は「ヒロシマ原爆の日」。 市役所の職員たちは、原爆投下の時刻、朝8時15分に黙祷を捧げると昨日聞いた。 まだ誰も来ていない児童館、ぼくは一人で黙祷を捧げるつもりで家を出た。 途中、ひらめくものがあった。 児童館の近くの公園…

[農の暮らし] アリジゴク式のネズミ捕り

夜明け前、Oさんが涼しいうちの一仕事をしている。 「ジャガイモ、たくさん入っていますか。」 訊くと、 「まあまあだね、ネズミがかじっていますね。」 「ネズミ? ジャガイモをネズミが?」 「ええ、ネズミ。」 「去年私とこではサツマイモがかじられまし…

 子どもの水遊び場を復活させよう

ランを車に乗せて、家族で烏川渓谷へ水遊びに行った。 水遊びをするのはラン、それを見守るのは僕ら夫婦。 久しぶりに車に乗ったランは、後部座席に正座して窓から景色を眺めている。 いい景色だなあ。 渓谷に入ったとたんに、ランは興奮し出した。川に来た…

  ばかげた競争

月見草 先日、大日小屋のことを書いたが、そこからの下りを書かなかった。 その下り道、のんびり山旅になるはずだったが、とんだことになった。 ぼくと北さんは、立山から剣岳に連なる稜線から西へ分かれて大日岳に向かい、 大日小屋を通過して大日平への下…