2009-01-01から1年間の記事一覧

 山尾三省の詩 <2>

――ゆうこちゃんへ <『安曇野ジャグバンド』の若者たち。12月27日、解散記念コンサートだった。暮らしの中のあらゆるものを楽器にして演奏を楽しむ彼ら、熱気が溢れていた。新たな出発への解散だった。> ▽ ▽ ▽『森の時間 海の時間』(山尾三省・春美 無明舎…

 山尾三省『祈り』

雪の日の工房 山尾三省は屋久島の白川山(しらこやま)に移り住んで村をつくりました。 24年間、村で執筆と農耕の生活を送っていましたが、2001年63歳でこの世を去りました。 三省が屋久島での暮らしを描いたエッセイ集はぼくの愛読書でした。 心が浄化され…

 記憶に残っている言葉

臼井吉見が小学生だったとき、 朝の全校朝礼で、 校長先生は朝礼台に上って子どもたちに言った。 「常念を見よ。」 朝礼の度に、 「常念を見よ。」 それしか言わない。 いつも同じだった。 「常念岳を見よ。」 「常念のように。」 小説『安曇野』を書いた臼…

 雪の日

一昨夜ごうごうと吹き荒れた朝は霜なく、一日しんしんと冷えた。 日が照ればガラス窓からの日射で、春のような暖かさだが、曇天の室内は、足下から冷え、背中も冷たくなってくる。 その夜から湯たんぽを入れることにした。 ちんちん沸かした湯を注ぎ入れた湯…

 岡本潤「罰当りは生きてゐる」

霜の降りた野の道を歩く。 最近、読んだセルフ=アイデンティティの本の内容を想っていた。 とつぜん頭によみがえってきた詩があった。 そうか、あの詩も。 岡本潤の詩、彼は過去を振り返りながら、 感謝と謝罪、許し、愛を、叫んでいたのだ。 この詩に出会…

 劣等性が教師になる<『学校の悲しみ』(ダニエル・ペナック)>

「生徒はそれぞれ自分の楽器を持っているんですね。それに逆らう必要なんてない。 難しいのは、楽器の弾き手をよく知って、なんとか調和を見出すことです。 いいクラスって、ぴったり歩調を合わせて行進する軍隊じゃなくて、 同じ一つの交響曲を練習するオー…

 アイルランド「麦の穂をゆらす風」

和人君が、2002年に単身大陸を旅しながらアイルランドを目指したのを、思い出していた。 和人君は、アイリッシュ・ケルティック・ミュージック、とりわけロックバンド、U2にあこがれ、アイルランドへ行きたいと思った。 彼は和歌山の森林組合に雇われ…

 危険なメディアの感情表現

記事の見出しに、 「ホワイトハウスの激高」 とある。 「怒るアメリカ」 というのもあった。 このような感情表現がしばしばある。 最近の週刊誌と新聞にあった見出し。 「虚ろな鳩山由紀夫 信念のカケラがない」 「嫌われる小沢一郎」 今の沖縄の米軍基地問…

 長野の県民歌『信濃の国』

地元の区の高齢者お楽しみ会で、コーラス会が歌うことになったときのことである。 公民館に集まった参加者みんなは、昼食をしながら、歌やお話の出演を楽しむ。 この日、コーラスの会も二番手で歌うことになった。 予定してきた日本歌曲や童謡の数曲を歌って…

 バルトの国の合唱曲 <独立を生んだ歌>

図書館のCDコーナーで、眼に飛び込んできた2枚のCDは、 一枚はバルト三国のエストニアの合唱団、もう一枚はラトビアの合唱団による合唱だった。 CDケースの表に歴史を物語る教会の写真があり、 中身は, 知らない合唱団に, 知らない曲ばかり。 だが不…

 ワークショップ「蜜蝋ロウソクと 菜種油で灯す行灯(あんどん)づくり」

蜜蝋でロウソクを作る。 行灯(あんどん)をつくり、菜種油で灯火を燃やす。 そんなワークショップがあるというのをチラシで見たとき、 即座に参加してみたいと思った。 師走の土曜日、午後、今秋竣工した穂高交流学習センターに出かけた。 建物に入ったすぐ…

 未来をつくる子ども、子どもは育っているか<2>

11年前のことになるが、新しい学校づくりに燃えていた滋賀の和美さんが、 鶴見俊輔さんから手紙をもらったよと、うれしそうな声で伝えてきてくれたことがあった。 和美さんのご主人は癌で大きな手術をし、5ヶ月の入院を経て職場に復帰するその日、鶴見さ…

 未来をつくる子ども、子どもは育っているか 

友人の杉原さんは、定年で高校教員を退職してから日本語教師となり、中国の重慶医科大学で2年間学生に日本語を教え、 その後、シニアの海外協力隊に入ってブータンで2年間、学校体育のカリキュラム作りにたずさわった。 杉原さんはこんな話をした。 「ブー…

 ピッケルの思い出

部屋の壁に立てかけたままの1本のピッケルがある。 夫の遺品として大切に持っておられた方から、いただいたものだ。 いつか再びこのピッケルをもって雪の山へと思いながら、とうとう1度も使わずに今に至った。 山への想いは、熾き火のように残っているが、…

 あいさつ

「北海道紋別郡滝上町の森に生きる「おじじ」の話を先日書いたが、 今日、「しょうちゃん」という人からコメントをいただきました。 岩手の花巻へ「おじじ」を招いてお話会をする計画があるらしく、ぼくの文章を使いたいということでした。 拙文ですが、使っ…

 100歳、まど・みちお『魚を食べる』

<蚕部屋のある安曇野の旧家> まど・みちおさんが100歳になられたと知った。 まどさんの全詩集をこれまで2回読んだ。 読むたびに、どうしてこのような人間性が生まれてきたのだろうかと不思議になる。 まどさんの豊かな感受性と純な心、宇宙・自然・人…

 信頼関係をつくる人びと

『餓鬼通信』を執筆している稲垣有一さんが、第59号を送ってきてくれた。 毎号毎号深い思索を重ねて書かれた通信は、自分で印刷し、8ページから12ページほどがホッチキスで留められている。 今号に書かれた、「中国東北部への旅(3) 『加害』と『再生…

 対立を生む感情、それを溶かすもの

感情の動物、人間。 人間と人間の間にはいろんな感情が生起する。 こちらが親しい感情をもっていた人であったにもかかわらず、その人の言った言葉で反感が生まれ、 嫌いになることがある。 多くの人が感動する熱唱、それでも感動しない人もいる。 あることに…

 冬支度

またまた納屋のなかにネズミが侵入したらしい。 壁の波板の下をくぐるように、トンネルを掘って入りこみ、箱など地面に置いてあるものの下に巣のようなものをつくっている。 土間の床に土の山ができていて、なんだこれは、と箱などを取り除いてみると下から…

「森はマンダラ」 「おじじ」のお話 2

「おじじ」が、ことのほか愛している森がある。 「ほれこんだ」というブナの森で、秋田の森、「森のマンダラ」はここで感じた。 「おじじ」のそのところの文章を書いておきたい。 とても文章に書き表すことのできないことだろうが、 それでも読むものに、伝…

 「森の子どもの村」から 「おじじ」と「おばば」のお話

北海道紋別郡の森の中で、「森の子どもの村」をつくっている「おじじ」と「おばば」が、安曇野にやってくると、 週に一回出かけている太極拳の会の休憩時間に聞き、 昨日行ってきた。 穂高の「野乃庵」という天然酵母パンをつくっている古民家の店が会場だっ…

 消えない悔恨の情

虹 毎月第3月曜日に特集している新聞(朝日)の「語りつぐ戦争」。 その11月16日の声欄には、9編の投書が掲載されていた。 声欄は、500字以内というきまりになっている。 500字というわずかな字数に、戦場体験や戦時中の暮らしを書き表すことは…

 子どもの遊び

春夏の野にも、秋冬の野にも、 子どもの姿が絶えて無い。 たまさか遠くから、子どもたちの甲高い声が風に乗って聞こえてくると、 わが耳はそれを聞き逃さない。 それにしても、野の彼方から子どもたちの声の聞こえてくるのは本当にまれだ。 子どもたちは、ど…

 一輪車に乗った犬

行く道の向こうで二人のご婦人が、向かい合って話をしている。 村の中、人影はその二人だけだ。 夕暮れが迫っていた。 一人の婦人の足元に、犬がおり、 もう一人の婦人の前に、一輪車があった。 向かい合っていた二人の身体が動いた。 一人がかがんで、足元…

[健康]破壊的感情からの立ち直り

破壊的感情に襲われ、それを制御できなかったら、破壊的行為が他者に向かったり、 自分に向かったりする。 自分に向かうと、自傷行為や自殺をはかったり、精神を病んだりもする。 立ち直りの早い人と、遅い人がいて、 立ち直り、すなわち回復の早い人は、問…

 人間の破壊的感情

怒りや欲望やねたみなどの否定的感情を増大させる思考が、精神を侵略すると、 破壊的、暴力的な域に達してしまう。 そうなった事件が、現代社会で後を絶たない。 そうならないように事前に食い止めることができないか、、 9人の科学者と一人のチベット僧、…

 山の歌

朝の野の道、 霧の日は、霧の歌が口をついて出てくる。 「霧だー、ほーいほい、 朝霧だー、ほーいほい、 霧の中から 日が 出てくるよ。 だれか どこかで ほーいほい、 朝霧だ ほーいほい。」 昔、子どもの頃、ラジオでよく聞いた歌。 歩いていると、山の歌も…

[健康] インフルエンザワクチンの効果とストレス

世界の先端をゆく科学者たちが、 インドのダラムサラにあるダライ・ラマの私邸に集まり、 人間の破壊的感情をテーマに、5日間、あらゆる角度から白熱した議論を行った記録、 「なぜ人間は破壊的感情を持つのか」(アーティストハウス出版) のなかに、 身体…

[山]韓国岳の遭難

宮崎県と鹿児島県の県境にある韓国岳で、子どもが遭難して死んだ。 家族で登山していた小学校5年生の将希君は、父親と祖父を追い越して先を進み、その後行方が分からなくなったというニュースを聴いて、 無事を祈っていたが、最悪の結果になった。 僕の頭に…

 三度の食事

しばらく仕事で我が家を離れ、 今、自炊生活をしている。 メニューはきわめて単純なものばかり。 スーパーで購入した食材を使ってささやかに作っているが、それでもおいしい料理になる。 妻がときどき我が家の野菜や家で焼いた天然酵母パンを送ってくれた。 …