2023-06-01から1ヶ月間の記事一覧

滅びゆくもの

こんな文章が、林望さんの「幻の旅」という本にある。林望さんは、イギリスの旅や日本の旅を、エッセイにつづった。 ◇ ◇ ◇ ‥‥ Gさんは都立高校の国語の先生で、東京に住んでいたが、心筋梗塞で手術を受け、それ以来郷里に帰って、寺の住職になった。 レンゲ…

ボブディラン「風に吹かれて」

ボブディランの「風に吹かれて」を聴きたくなった。 しみじみと切ない思いで、歌を聴いた。 世界のあっちでもこっちでも、殺し合いが起きている。奪い合いが起きている。 ぼくは今、緑の野の風を感じている。 人間という生き物を想いながら、ボブディランの…

ダウン症の子の優しさ

灰谷健次郎が、正村公宏夫妻著「ダウン症の子を持って」を読んだ時の感動を書いていた。ずいぶん前の著書だけれど、その中の一文をここに書く。 「私(妻)が居間で本を読んでいると、彼(ダウン症の子)の部屋から、すすり泣きの声が聞こえてきました。初め…

沖縄『慰霊の日』に思う池澤夏樹

「沖縄『慰霊の日』に思う」(朝日新聞)、今朝のインタビュー記事は、池澤夏樹だった。久方ぶりの池澤の声が聞こえるようだ。記事の中にこんな文章があった。 「『ヤギと少年、洞窟の中へ』という絵本をきょう、出します。戦後まもなく、ある少年が飼っている…

新任教員の退職

新任教員の退職が増えているそうだ。長時間勤務や新任を支援する態勢が不十分で、精神疾患という退職理由も目立つという。東京では、公立学校の新任教員2429人のうち108人が一年で教員を辞めたと、今朝の朝日新聞のトップ記事に出ていた。 私もかつて教員を…

「田舎の四季」という歌

野を見回すと、水田の間に麦畑もある。麦は茶色に稔っている。昔から麦畑にはヒバリが巣をつくった。ところが今、ヒバリの姿がない。以前は今頃、麦畑から揚げ雲雀がさえずりながら、空にのぼっていたのに、ああ、この頃、ヒバリの声も聴かない。さらにツバ…

大自然の中に眠りたい

この地域の人たちも高齢化している。昨日もご近所の高齢の婦人二人が入院したという知らせを聞いた。16年前、この地にぼくらが引っ越してきてから、四人が亡くなられた。ぼくらもいずれ、その日がやってくる。 かつて灰谷健次郎が、「蒙古高原にねむる友」…

野のベンチ

見渡す限り輝く緑 大地から噴き出す緑。 「野のベンチ」の横に、もう一本、ムクゲを植える。 ツルハシを持っていって、植え穴を掘り、 背丈近くまで生長していたムクゲを 手押し車に乗せて運び、 穴に土付きの根っこを入れた。 周囲の土をかぶせて、足で軽く…