2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧

   閉鎖的な日本

閉鎖的な日本 2月28日の朝日新聞に、中国出身で日本国籍をとった人の投書が載っていた。 大阪市に住む36歳のその女性の意見は、日本人の気づかない側面を指摘している。 「閉鎖的な日本 悪戦苦闘した」と題された投書は下記の通り。 中国出身で来日11年、…

  家族のために

家族のために ホンさんの理解の速さと、記憶のよさには、舌を巻く。 中学、高校のときは、成績がよかったんでしょうと訊くと、 そんなことはなかったです、と笑った。 どうして大学へ行かなかったの? 私の家は貧しかったから、おとうと、いもうとが、学校へ…

  山へのあこがれ(二)

戦争のなかの山 恵まれて、その道にかけることができても、 憧れを追求する過程の困苦は、 それはそれで厳しい。 オリンピックの優勝者らは満身創痍だろう。 けれどもあこがれて、その道を行くことは幸せなことだ。 恵まれず、その道にかけることもできなか…

  モグラとミミズ

モグラとミミズ モグラを知ってる? 土の中に、トンネル掘って住んでいるの。 ネズミぐらいの大きさで、強い前足で土を掘るんだよ。 暗い土の中で暮らしているから、眼はあまり見えないみたい。 冬の間も畑の土の中にいるんだよ。 前足で土を掘って、その土…

  禁止と拒否

禁止と拒否 くつのかかとを踏んで、 サンダルのようにして歩いている子がいた。 かかとを踏まないで、きちんと履きなさい。 女の子はそれを無視した。 それは、命令する者を拒否する信号だった。 きちんとすることを拒否しているのではなく、 きちんとさせよ…

  朝霧

朝霧 山は晴れ、しののめに光さし、 春のきざし。 日の出に向かって歩いていく。 前方、流れくるもの。 耕された冬田の上一、二メートル、 灰白色の薄い布のようなものが 舌のごとき先端を伸ばして、 地表をなめるように動いてくる。 みるみるそれは丘や人家…

  笠原小学校の実践

笠原小学校の実践 「教育」というのは、「教」と「育」の二本柱なのに、 「教」ばかりを肥大させてきたのではないだろうか。 「教」の肥大は点数主義。 「育」を重視してきたならば、 人間性や人格をはぐくむほうへもっと向かっただろうに。 埼玉県宮代町笠…

  ⑥雪の北アルプスへ

雪洞を掘って泊まり、唐松岳に登る <こういうこともできた時代の ひとつの記録です> 初めての卒業生を送り出して一月半後、 五月の連休に、登山部で三年間登ってきた四人を連れて、 北アルプスの唐松岳に登った。 彼らの使うピッケルとアイゼン、わかんじ…

  茨木のり子

茨木のり子 那須高原に「SYOZO」というカフェがあり、 おいしい珈琲をたててくれました。 観光ルートのどこにでもある派手な看板がこの店にはなく、 雑木林のなかに質素に目立たずたっていて、 前を通り過ぎても気づかない、 店を発見する糸口は、道路…

  白菜

」 白菜 神田のおばあちゃんが手招きして、 ちょっとましな柿があるんで、食べはりますか、 もう熟柿になってますけどな、 と声をかけてくれはったから、門を入ったら、 コンテナに熟柿がまだたくさんはいっていた。 柿のシーズンには、 ダンボールに一箱、…

  対話

対話 対話というのは、言葉のキャッチボール。 対話は、相手と向かい合い時間を共有するから、 二人の間に通いあうものがある。 人は生まれてから対話をしながら育ってきた。 親と対話し、 兄弟と対話し、 イヌと対話、ネコと対話、 虫と対話、花と対話。 孤…

  怪談

怪談 腹を立てると教師へ暴力をふるう生徒がいた。 学校へは気が向いたら来るが、その気にならなかったら来ない。 登校しても、教室に入らなかったり、入っても授業を聞かなかったりする。 彼がクラスにはいると、当然クラスの生徒たちの授業への集中は低下…

  ⑤初めての雪山へ

雪の比良山 <こういうこともできた時代の ひとつの記録です> 登山部二年目の冬休み、雪山に登る計画を立てた。 山は比良山系の武奈が岳、琵琶湖の西にそびえる山だ。 京阪電鉄で大津まで行き、江若鉄道で比良までことこと走る。 琵琶湖は右にひろがり、山…

  トリノに流れた「イマジン」

トリノに流れた「イマジン」 トリノ冬季オリンピックの開会式で「イマジン」が歌われた。 あれっ、ヨーコ・オノだよ、メッセージを読み上げてる。 トリノ・オリンピックが置かれている、世界の危機がこの歌を選んだのか。 開会式の演出にいくらかの計算が働…

 魔が差す

魔が差す 子どもの頃、包丁を持っていたら、 母がよく言った、魔が差すから置きなさい、と。 包丁を持っていても何もないのに、どうして? 母の心配が分からなかった。 けれど、今、その恐れが分かる。 自分は意図しない、 そんなことをする気はない、 悪い…

 ④大台ケ原から大杉谷へ

原生林でのロマンス <こういうこともできた時代の ひとつの記録です> 月に一度、日帰り登山を重ねていくうちに、 次第に登山部員の装備や服装も整っていった。 大阪近郊の六甲山系、北摂の山、金剛山系、和泉山脈をほぼ登り、 次はいよいよ紀伊山地。 登山…

 ③夏休みのキャンプ

闇と夜明け <こういうこともできた時代の ひとつの記録です> 登山部はじめての夏休みのキャンプは金剛山にした。 あせらない、欲張らない。 ゆっくり基礎をかため、信頼を得ていくことだ。 十人の子どもたちは学校を出発して、淀川堤防を歩き、 電車、バス…

  ②登山部をつくる

校長を説得して登山部実現 <こういうこともできた時代の ひとつの記録です> 足りないものだらけだった。 運動部は、新設二年目だから、野球部とバレーボール部があるだけだった。 登山部をつくりたい、職員会議に提案を出したら、 校長がしぶい顔をして反…

(0)私が教師になった日

教えるとは、希望を心にいだくこと 教員として赴任するまでの三月、 ぼくは早月尾根から剣岳に登る大学山岳部の合宿に参加していた。 春の雪山は、紫外線が強烈で、 赤黒く焼けた皮膚がぼろぼろとむけてくる。 下山して家に帰ってきたら、 大阪市立淀川中学…

 聴く耳をもたぬ人

聴く耳をもたぬ人 「ガンジーの会」のホームページに、 イラクで亡くなった人たちを追悼するキャンドルルームがありました。 日本人、イラク人、アメリカ人、韓国人、‥‥ そのなかに幸田証生さんの名前がありました。 ロウソクが灯っていました。 若者は、冒…

   単騎、千里を走る

単騎、千里を走る 中国の名匠チャン・イーモウ監督、高倉健主演の「単騎、千里を走る」を観てきました。 雲南・麗江の街と玉龍雪山がなつかしかったです。 今朝の明け方、ランがトイレに行きたいと合図したから、 居間の戸を開けてやったらオシッコとウンチ…

  この地を世界遺産に

この地を世界遺産に ぼくの住んでいるところにも、土地の古い文化を守ろうという会がある。 その会の機関紙は郷土史家が編集している。 二回、その会誌に記事を載せてもらった。 記事のひとつは、「この地を世界遺産に」という大風呂敷。 目的、目標を持てば…

 パブリック フットパス

パブリック フットパス 大和の古い集落のあちこちに蝋梅が匂っている。 昨日は雪が舞った。 朽ちていく大和棟の空き家がある。 かやぶき屋根にトタンをかぶせた家がある。 入り口に障子紙を張った昔ながらの家もある。 集落の道は細く、土塀や民家の壁に沿う…

  黒板を背負う人

黒板を背負う人 六年前、ぼくはひとつの夢を描いた。 山や森や田畑を舞台に、体験のなかで学ぶフリースクールをつくりたい。 だが、夢を実現させていく条件は何もなかった。 資金はなく、ほんとうの同志もいなかった、 協力者にはたくさん支えてもらったけれ…

 森羅万象の中へ

森羅万象の中へ 五年前、移り住んだこの家は、壁が崩れ、床が抜け、雨も漏る家だった。 夏は蚊が襲い、冬は隙間風が吹いて、暖房の灯油ストーブも効果なく、しんしんと冷えた。 初めての夏、納屋を作り、井戸小屋を建て、 下がってきている鴨居を車のジャッ…

  学級崩壊

学級崩壊 学級崩壊はこちらでもありますか。 昨日も地元の小学校へ出かけたとき、校長先生に訊いてみた。 今年はないですが、昨年度は起こりました。 昨年、同じ市内の何校かで学級崩壊が起こった。 こんな田舎町の学校でも、同時多発的と思えるようにそれは…

 山へのあこがれ(一)

山へのあこがれ(一) あの大戦前後の、山にあこがれた人たちの絶望と希望の物語は、 想像するだにいたましく、壮絶であった。 「ただ、憧れを知る人のみぞ、わが悩みを知りこそすれ」 17歳のときに読んだゲーテの一節は、その後もずっと心の奥に静まって…

 一本の鉛筆

一本の鉛筆 あの本に書かなかったことがあります。(注) 美空ひばりの歌を、武漢大学の学生に聴いてもらったことです。 今朝、NHK衛星放送の「心の旅」を見ていて思い出しました。 奈良岡朋子が、アンネの隠れた家や、アンネの友だち、 そしてユダヤ人収…