2019-09-01から1ヶ月間の記事一覧

思いがけない電話

先日、電話がかかってきて、取ると、昔懐かしい声だ。声を聞いただけでわかった。 学生時代の山岳部の一年後輩、Sだ。 25年前に、ある集会で一緒だったことがあるが、それ以後情報はなかった。 特に親しくしたこともなく、1965年のシルクロード探検では同じ…

夕立

脚立に上がって、茶色く色づいたナツメの実を採る。 去年はナツメのジャムをつくった。 今年は、そのままデザートに食べている。 少しリンゴのような味がして、おいしい。 たくさん採れれば、今年もジャムにしよう。 ポツリ、ポツリ、 雨だ。西の山が雲に隠…

丸山薫の詩、二編

丸山薫が、昭和二年に発表した詩。 汽車にのって 汽車にのってアイルランドのような田舎へ行こう 人びとが祭りの日傘をくるくる回し 日が照りながら雨の降る アイルランドのような田舎へ行こう 窓に映った自分の顔を道連れにして 湖水をわたり トンネルをく…

16歳グレタさんの胸うつ演説

村のコーラスの会、練習の合間の休憩で、国連の気候変動サミットでの16歳の女性のことが話題になった。彼女の名はグレタ・トゥンベリ。スウェーデンの環境活動家。 「あの子、すごいね。」 「すごいですねえ。」 「16歳ですよ。」 「あの子の表情と演説…

この文章は誰の文章?

次の文章は元の文体を変えてあります。いったい誰の文章だと思いますか。 「世の中のこともよく知らず、学問も芸術も未熟なまま、高い家柄の子息として、地位も思いのままになり、栄華を誇る癖が付くと、学問などで苦労するのは回りくどく思うようになり、遊…

ぼくは知らなかった

「科学する心」というタイトルの文章を池澤夏樹を書いている(集英社インターナショナル 2019)。 池澤は、ぼくが全く知らなかった、思いがけない事実を教えてくれた。 「科学する心」という言葉は、1940年、戦時中に、橋田邦彦という生理学者が提唱した言葉…

北斎の晩年

今朝の新聞、福岡伸一が「動的平衡」で、「晩年が最盛期だった北斎」について書いている。(朝日) 北斎の傑作「神奈川沖浪裏」の版画も、「富嶽三十六景」も、北斎が七十歳を過ぎてからの作だった。 「北斎は少年時代の原点を忘れなかった。研鑽を積みつつ…

ジン君、元気だった

ジン君、三ヶ月ほどベトナムに帰っていて、8月末にまた実習生として同じ職場にもどってきた。 ジン君、日曜日、日本語学習にやってきた。 「ベトナム、どうだった?」 「暑かったです。」 「いやあ、日本も暑かったよー。安曇野でも37度近く行ったからなあ。…

ヘッセの手紙

ヘッセの、1933年、アルトゥール・シュトルへの手紙。 「以前はヒトラーをあざ笑っていた教養あるドイツ人も、今はヒトラーの言うことを真に受けています。‥‥ 態度を決めて、ヒトラーの反対派に公に加われと言うが、私は拒否する。私はいかなる党派にも属さ…

ジグーリ

犀川のあたり、深く朝霧立つ。 日はまだ昇らず。 常念岳頂上にのみ日があたり、 今日は快晴になるぞ。 霧が広がってくる。 ロシア民謡「ジグーリ」が頭に浮かんだ。 山でよく歌った。山岳部仲間の北さんは、この歌が特に好きで、彼の声はよく響いた。 狭霧が…