2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

 延々歌い交わした三時間

<鐘の鳴る丘コンサート> 猿が三頭、左の松林から出てきてゆうゆうと道路を横断していた。 彼らは全く怖いもの知らずの余裕だった 四辻を山手に左折して少し上ると、車係が誘導している。 グランドの中に車を入れて、高原寮の白い建物に入った。 「男声応援…

 我々はどこから来たのか、我々は何か、我々はどこへ行くのか

十年前、斑鳩の里のウノマッチャンの家で、敏郎さんがつぶやいた。 「私はどこから来たのか、私はどこへ行くのか。」 三十年以上前、敏郎さんはこの問いを秘めて東南アジアをさすらい、そして出会いがあって「丘の上の共同体」に入った。 無着成恭さんが教壇…

 ふきのとう

敷石にする石を探して野道を行き、開墾時に出てきた石の野積みから平らな面のあるのを見つけて、一輪車に積んで帰ってくる。 大きい石は一度に5個ぐらいが運ぶ限度だ。 道路から工房までの10メートルほどの地面を少し掘って、これらの自然石を平らな面をつ…

 「鐘の鳴る丘」少年たちと合唱練習

「鐘の鳴る丘コンサート」が一週間後に迫った。 厳さんが車で迎えに来てくれて、一緒に「鐘の鳴る丘」へ向かった。場所は穂高地区の山林の中にある。 松林の続く山麓線から山側へ入ったところに、時計台が見えた。 今日は、少年院の高原寮生徒たちと一緒に練…

 人を弱らせる感情

朝、眼がさめたが、外はまだ暗く雨も降っていた。明るくなるまで布団の中にいながら考えていた。 夫婦の間に流れる感情の、ときどきのさめた感じ、何かのきっかけで起こる感情の停滞、低気圧。 それを考えていた。 それは喜びではない。楽しみではない。 寒…

 ランの寝床の古毛布

ランの寝床は一枚の古毛布。 ランの毛がいっぱいくついている。 ときどき天気のいい日に、外の犬小屋の屋根に干してやる。 風が吹くと、くっついている毛が飛んでいって、少しきれいになる。 風上に立って毛布の端を持ち、ぱたぱたと毛布をはたくと、毛布は…

 悔恨、慙愧、自責 2 <岡部伊都子と槙枝元文>

2008年に亡くなった随筆家の岡部伊都子は、一生十字架を背負って生きた人でした。婚約者が出征の決まった時、「自分はこの戦争はまちがっていると思う。天皇陛下のために死ぬのはいやだ。君のためならよろこんで死ぬけれども」と話したといいます。軍国…

 悔恨、慙愧、自責 1

人間には、過去を振り返って、自らのおかした過ちを深く悔い、自分をうちたたく思いに苦しむことがある。 それが人の命にかかわること、人の人生を狂わせること、精神を傷つけることであったときは、ぎりぎりと心を切り刻みさいなむ悔恨の念を一生背負うこと…

 つながりから生まれる「鐘の鳴る丘コンサート」

一月の扇町コーラスの会の練習に、公民館へ出かけた。 練習が終わったところで、お誘いがあった。 有明高原寮で「鐘の鳴る丘」コンサートが開催されます、高原寮の少年たちと一緒に歌いませんか。 少年院の子どもたちとつくるコンサート、歌う市民が参加して…

 自分の頭で考える

「縄」という語が中国の戦国時代の思想家・荀子の文に出てくる。 「まっすぐに伸びた木は、縄を当ててもまっすぐであるが、それをたわめて輪にするとコンパスを当ててもぴったりあうほど円くなる。 しかし乾燥すると、曲った木はふたたび元には戻らない。だ…

  大人と子どもの会話

猛烈な吹雪の中を歩くとき、方向感覚だけでなく平衡感覚もおかしくなることを雪山で体験することがある。 視界は全くきかない。雪を吹き付ける強風に体が凍える。 固くしまった雪の粒が目に飛び込み、まつげが凍り、瞬きするとぺちゃぺちゃ両まぶたがくっつ…

 子どもの目線

「国民の目線で」と、政治家が言う。 言葉では言うが、立つ位置、立つ場が異なるから実際にはそれはできない。 立つ位置、立つ場が違うと目線も違ってくる。 それなら何ができるかというと、民の声に耳を傾けること、民の生活実態を観ること、民の心を想像す…