2022-12-01から1ヶ月間の記事一覧

人類の未来 その予言

香原志勢(人類学者)が、「石となった死」という書を出している。 その最後に、こんな言葉を書いた。 「第二次世界大戦後、ヤスパースは戦争責任に触れて、『現代に生きていること、そのことこそ罪悪である』と言ったという。この言葉はわたしの肺腑をえぐ…

敗戦の焼け跡で語られた「世界国家」構想

1945年、大戦で全土が空襲で焼かれ、原爆を落とされ、無条件降伏した日本。米軍占領下、住むところなく、飢えに苦しむ日本に、いち早く戦後民主主義の構想を立ち上げていった人々がいた。 敗戦後一年余、「世界国家」という雑誌が創刊された。主幹は賀川豊彦…

哀悼 福井さんを偲ぶ

晩年の福井さんは、自己の人生を、「追わずとも牛は往く」と「『金要らぬ村』を出る」のニ著に表わし、出版した。この二冊には福井さんの人生をがつづられている。 生まれたのは北陸の寺、僧侶の父は「坊さんは食いはぐれがない」と言い、福井さんを跡継ぎに…

子どもたちの声を聴きましたか

朝日新聞「私の視点」に下記の文章を投稿した。この投書が採用されるかどうかは分からない。 長野市の公園閉鎖問題 〇子どもたちの声を聴きましたか 遊ぶ子どもの声や宅地へのボールの飛び込みなどが原因で、近隣住民から苦情が出、区長会からも廃止要望があ…

一羽のトビ

見上げると一羽のトビが円を描いて舞っている。 雲が多い。 風が冷たく、他に鳥の姿はない。 描く円弧から予想して、このトビは上昇気流に乗って、上がっていくのだと思う。 ぼくは歩くのをストップして、冷たい風に吹かれてトビを見つめていた。 予想通りト…

柳一が元気になった

昨日は風が強く、雪が舞う寒い陰惨な冬の日だった。それでも夕方、一時間ほど氷点下の中、諏訪神社を回って歩いて来た。 ところが今日は一転して風無く、ぽかぽか温かい。なんといい天気だ。北アルプスの雪嶺が西から北へ青空を背景に連なっている。 小学中…

賢治の実施した「北海道修学旅行」

宮沢賢治は、花巻農学校の教員をしていた時、北海道への9日間の修学旅行を計画し実行した。貧しい暮らしをしている花巻の生徒たちにとって、9日間の修学旅行の費用捻出も大変だった。この修学旅行には賢治の、生徒たちの、未来への夢が託されていた。 1927年…

追憶の山

以前、アキオ君のリンゴ園で 夕暮れが速い。ストックをついて、常念岳を見ながら野を歩く。諏訪神社に向かう上り坂。冬枯れの田んぼに麦が芽を出している。意識して大股で、足を伸ばし上げるように歩く。ストックを突く両腕に力が入る。この歩き方をすると、…

豆むき

体調も良くなかったし、本の出版にともなう仕事も多かったし、 あれやこれやらで 畑を放置していたから、黒豆畑は草に包まれ、 実も茎も 茶色に枯れていた。 秋の天気のいい日に、痛む足を動かしながら、 やっとこさ 鎌で黒豆のサヤを刈り取って 干しておき…

連詩の体験が教えるもの

13世紀に、マルコポーロはイタリアから中国まで旅をした。中国での滞在を含めると、なんとまあ、24年間の旅だった。自分の脚と、ラクダだけが移動手段。情報もない、知らないところ、謎の道、異なる民族、異文化、異自然の世界を経て‥‥、それは現代では考え…

大阪で進行している高校削減

インターネットに次のような呼びかけが届いた。 ☆ ☆ ☆ 大阪では「3年連続定員割れで再編整備」という府立学校条例がつくられ、17もの府立高校が廃校にされています。大阪府教育委員会は、昨年、阪南市の泉鳥取高校を含む3校の廃校を強行したのに続き、今…

天に代わりて不義を討つ

私が生まれた年に日中戦争が勃発した。ラジオは日々、戦果を放送した。幼児の私は軍歌を聴きおぼえて、よく口ずさんでいた。歌詞の意味はなんとなく分かった。 天に代わりて不義を討つ 忠勇無双の我が兵は 歓呼の声に送られて 今ぞ出で立つ父母の国 勝たずば…