2020-01-01から1年間の記事一覧

人類の危機と文明

世界を覆いつくすかのようなコロナウイルスの脅威。それを考えていると、あの映画が頭に浮かんできた。 グレゴリーペック主演の、「渚にて」。かなり以前の映画だ。 1964年、第三次世界大戦が勃発し、核爆弾が使用された。世界は滅亡に向かう。放射能は北半…

スズメを獲りにくる人

毎年、冬のこの時期になると、無双網でスズメを獲りに来る人がいる。我が家の近くに、半分耕作放棄地のようなところがあり、背丈より高いススキのような草が茂っている。冬になって枯れたくさむらは、スズメの餌場になっていて、毎日何十羽何百羽と群れてい…

親しくなった人たち

今は夜明けが一年でいちばん遅い。 今朝は気温マイナス3度、ちょっと温かい。一昨々日はマイナス8度。 ランを連れて外に出る。まだ暗いが、東の山の端が明るくなってきている。 ダウンの分厚いコートを着ているから、体は温かい。 薄暗がりのなか、背の高…

俗化するということ

質問。次の文章は、いつの頃に書かれたと思いますか。 「時勢と共に、山も変わり、登山も登山者も変わっていく。 二十年間に、上高地が俗化したと言うが、それと同じ程度に、あるいはそれ以上に、我々の住まう都会もまた俗化したのではないだろうか。主観的…

沖縄のコザのピアノ

TV「駅ピアノ」、「空港ピアノ」を観るのが好きでよく観る。構内に置かれたピアノを、いろんな人が自由に弾く。ためらいがちにピアノに近づき弾く人、弾きたくてやってきた人、子ども、老人、学生、親子、友だち、庶民の生活と人生の一コマがそこに現われ、…

23歳で戦死した竹内浩三

先日、NHKのドキュメンタリー「ぼくもいくさに征くのだけれど」という、竹内浩三の詩とその人生を訪ねる再放送の映像を観た。戦時中、日大の学生だった竹内は23歳で出陣し、フィリピンで戦死する。竹内はひそかに戦場から、自分の書いた詩の手帳を、本…

月が沈み、日が昇る

朝6時前、野を歩き始めた。夜が明け始めている。 西の山へ、満月が死沈んでいくところだ。北アルプスの雪山にはまだ朝日は当たっていないが、山々は浮かび上がっている。 昨晩、見た、ビーバームーンの半影月食。その満月が一晩空に輝きつづけ、今沈んでいく…

相変わらす、「おジョウ」が窓にちょっかいを出している。 ショウビダキだから「おジョウ」と呼んでいるが、実はオス。いつも一羽。まだ彼女がいない。 根っこのところで切り取って車で運んできた黒豆、乾燥したから、株を竹刀でたたいて、サヤから豆を取り…

お向かいのミヨコばあちゃんが老人施設に入って、家は甥っ子とかに譲られ、この二年ほど空き家になっていたが、昨日一日でたたきこわされた。 十台ほどのトラックが、家財道具などを運び出し、つづいて大型ユンボが、二階の屋根から鉄の手を振り下ろして、ガ…

技能実習生の苦悩と悲哀

子豚がたくさん盗まれるという事件があり、犯人のベトナム人技能実習生が逮捕されるという事件が先ごろあった。 なぜそんなことをしたのか。彼らは、技能実習生として日本に来て働いていたが、コロナの影響で受け入れ先から解雇され、仕事がないから、行き詰…

ジョウビタキ、何してる?

ガラス窓の外に、薪の置き場がある。その屋根はポリの波板、そこにジョウビタキが飛んできてチョコチョコ歩き、こちらの窓ガラスを見る。僕の顔とジョウビタキとの間は一メートルも離れていない。ジョウビタキはしきりに体を動かし、突然飛び上がって、窓ガ…

こんなふうに 日は過ぎていく

金子光晴の「ある夕暮れに」という詩。 こんなふうに 日はすぎてゆく。 ガラス窓を はすかいに たどって。 すこし焦げた パンのように 愛情で まるくふくれて 男と その女がいる が 毎日が 日曜ではない。 こんなふうに 日はすぎてゆく。 大事なものは なに…

霧の朝

今朝は五時半にランと散歩に出た。まだ明けていないが、薄暗がりのなかに夜明けの気配がある。深い霧が出ている。 霧は、位置によって濃淡がある。道は見えていたが、五十メートル離れたところは見えない。 歌が湧いてきた。子どものころ何度か聞いて覚え、…

内村鑑三「後世への最大遺物」

内村鑑三は、明治27年、日清戦争の起きた年、箱根の芦ノ湖畔で開かれた夏季学校で、「後世への最大遺物」という演説をした。その演説の中に、次のような話があった。 ☆ ☆ ☆ ‥‥イギリスに、今から200年前、やせこけて病身な一人の学者がおった。 この人…

今朝出会った人

夜明け、明るくなってきたころ、ランを連れて外に出た。黒い服を着た女性がひとり、速足で北への道を歩いていく。時々出会う若い?女性だ。歩き方に特徴があり、肘を曲げて外側に振って歩く。 ぼくは、西へ道を上がって行って、長瀬さんの畑の横に来た。長瀬…

精神病医療政策の遅れ

今朝の新聞。次のような記事が社会面トップにあった。 <約40年間、精神科病院に入院していた統合失調症の男性が、国に賠償を求めて提訴した。 原告は16歳で入院し、40年間精神病院から出られなかったために地域で自由に暮らす権利を奪われた。 日本で…

人間はいつまでも変わらないのか

クモさん、うまいもんだね アメリカの森林火災が、とてつもなく広がり、東京都の何倍もの面積が焼けている。 ニュースが伝えているのは、この山火事の原因が放火だというデマが広がり、自警団が組織され、銃を持ち、現場を取材に来た新聞記者が銃口を向けら…

信州の方言

朝、桜の木の手前で、カイトを連れた望月さんに出会った。 「昨日は、よく降ったねえ。」 「よく降りましたねえ。」 「散歩、行きましたあ?」 「いや、昨日は散歩に出ませんでした。ランは雨の時は家の近くでトイレさせました。」 そこから家での犬トイレの…

ディン君へおみやげ

日曜日夜、公民館での日本語教室にやってくるベトナム人ディン君に、我が家で穫れた枝豆、ゴーヤ、ナツメ、トマトを持っていった。 「枝豆はゆでて、ほんの少し塩を入れて、食べるとおいいしいよ。」 そう言うと、「ゆでる」という言葉が??? この言葉、彼…

ランが「ワン」と一声吠える。

ランが「ワン」と一声吠える。 トイレに行きたいよ。 雨が降っていたら、リードを付けずに、玄関から出してやる。 ランは庭の隅の、植え込みのあたりを、行ったり来たりして、場所を決め、オシッコをする。 ランが「ワン」と一声吠える。 散歩に行こうよ。 …

夏の合唱団」

夕闇が深まったころ、ランを連れて近所の散歩に出た。 街灯の灯に、道の上の長い紐のようなものが、浮かび上がった。前かがみになって見るが、ヘビの死体のようでもあるし、草の太い茎のようにも見える。何だろう。明日明るいときに見よう、そう思って帰って…

道で出会った人

今朝、野の道の向こうに、赤いズボンに白いシャツを着た女性らしき姿を見た。近づいていくと、やはり女性で、彼女は道にしゃがんで、何かを見ている。 何をしているんですか、問いかけると、「みみ‥」なんとか、わけの分からない言葉を言った。地面を見ると…

ランちゃん、死んだらあかん

去年、八月の酷暑の日、ランは危うかった。立ち上がれず、水も飲めず、獣医さんに診てもらって、三日間動物病院の世話になり、助かった。 今年もひどい暑さだ。ランはひたすら耐え忍ぶ。 家の軒先の日陰で過ごしたり、玄関の土間で寝そべって、トイレに行き…

池澤夏樹、小説「また会う日まで」

新聞の連載小説を、毎朝読んでいる。池澤夏樹の「また会う日まで」。 この小説の連載開始は、今月の八月一日だった。その日、「この小説は読まねばならない」という思いがふっと湧いた。この小説が池澤の遺書のような気がしたのだ。彼は、1945年7月7日…

大嵐

昨日の午後の嵐はすさまじかった。 雷鳴がとろき、強い東風がしのつく雨を横殴りに吹き付ける。バリーン、裂くようなカミナリ。危険を感じて、パソコンの電源を切る。激しい風と雷雨は二時間ほど続いた。 嵐が去った今朝、日の出前の、ランとのウォーキング…

緑樹の木陰を 街路にも病院にも

ぼくは何度か発信してきたけれど、無名の一市民の意見なぞ風のごとく、過ぎ去っていく。 この炎天下、野の道を歩く人は一人もいない。朝、四時ごろ、日の出前、この時ばかりは、すがすがしい。野を見渡せば、あっちに一人、こっちに二人、歩く人を見かける。…

熱射のなかで

熱中症にはならない、と自分では思っていたけれど、昨日畑で草取りをしていたら、あまりの暑さで、これは異常だ、危ないと感じて、中止して帰ってきた。 青年期の山岳活動の体験があるから、これぐらいの暑さなんかへっちゃらという意識がある。過去の体験記…

教育実習の本質とは何だろう

コロナ禍で、文科省が教育実習ができない場合、やむをえず「実習なしも認める」という方針を出した。 実習なしでも資格が得られる、というのはよくない。けれど実習の受け入れができず、学生が教員の資格が取れないとなってしまうのもよくない。苦肉の策が、…

戦時の中西悟堂、槍ヶ岳に登る

1943年というと、敗戦の二年前。日本海軍は敗北を重ねて、南の島の日本の駐屯軍も一般の人も玉砕を始めていた。学生も動員されて戦場に向かった。翌年、日本に併合されていた朝鮮にも徴兵制がしかれ、コリアンが日本兵として動員された。そして沖縄戦に…

上高地小梨平キャンプ場でクマ襲撃

コロナで人が激減している。上高地の小梨平キャンプ場にテントを張って寝ていた人を、クマが襲ったというニュース報道があった。キャンパーの食料を獲ろうとしたらしい。 例年なら、人ばぞろぞろ、キャンプ場は大にぎわい、クマが出没するなんてありえない。…