[日本社会]飛騨の高山



紅葉の梓川をさかのぼり、
安房峠の下に掘られた長いトンネルを通って、飛騨の高山に行ってきた。
紅葉は、峰の上から谷へ、なだれうつ。


高山の街は、観光客の数にかげりがあるように思われた。
紅葉盛りのシーズンなのにいつもより少ない。
宮川沿いの朝市、赤カブの漬物の匂いが漂っている。
店を見ながら、のんびり散策するだけでも楽しい。
ハトが店の中にまで、餌をさがしに入ってくるから、
食べ物を焼いているおばさんが、出なさい出なさいと手で追っている。


宮川には鯉と鴨が泳いでいた。
小さな、古布・骨董の店に入ったり、木工細工の店をのぞいたりする。
眼の行くところは、品物だけではない。
建物、天井の梁はどうなっている?
それらを観るだけで、感じるものがある。
自分の中の創作意欲が湧いてくる。


高山は、中国雲南省の古都、麗江と友好都市の関係を結んでいることを知った。
どちらも古い伝統的木造建築や町並みを保存している。
高山も麗江も、木の文化で栄えてきた。
麗江の背景には玉龍雪山、高山には北アルプスがそびえている。
規模としては麗江のほうがはるかに大きい。
麗江は、世界文化遺産になっている。


りっぱな建物が文化財として保存されているのと同時に、
小さな庶民の家屋もまた保存されていた。
おばさんが一人、団子を焼いている団子屋。
土間は、昔ながらの土のまま。
五平餅とみたらし団子を、炭火で焼いている。


こんな田舎町にも、日本の伝統文化にひかれて、海外からやってくる人が多い。
行き違う人の会話のなかに、
中国語や韓国語、ベトナム語らしき言葉があった。