2006-03-01から1ヶ月間の記事一覧

 怖いのはみんなが同じ偏見をもつこと

怖いのはみんなが同じ偏見をもつこと 偏見を持たない人間はいないでしょう。 だれでも何らかの偏見を持っています。 ひょっとしたら偏見だらけかもしれません。 この私の見方は偏見かもしれないなあ、と気づけばいいのだけれど、 自分の見方は偏見ではないと…

 (9)<魂の泉をひらく先駆者>

魂の泉をひらく先駆者 予言者は、時代を見ぬく賢者なのでしょうか。 学識をもって未来を洞察する人の予言は、仮説として提出されます。 ソ連の崩壊を、それが起こる10年前に予言した学者がいました。 ソ連の実態を分析し、歴史から割り出した仮説でしたが…

 タニシを食べたい

タニシ(田螺)を食べたい アヤコばあちゃんから電話があった。 そちらに、タニシがいるかい。 タニシ? この辺の田んぼで、見たことないねえ。 昔、田んぼにタニシはつきもので、稲刈り跡の田んぼにはタニシの住む小穴が無数に開いていた。 少年時代、水の…

 (8)<子どもの生活を知る>

授業を成立させるには、子どもを知る 谷口先生が授業に行くとき、階段の踊り場に固まっていた数人に、 「教室に入らんか」と声をかけた。 たむろしていた生徒たちは応えた。 「おれらに教室に入れちゅうのは、酒飲みに酒飲むなちゅうのと同じことや。 飲みた…

(7)<清掃活動をクラスの核に>

掃除(清掃)で変わる 一年間これを先生が先頭に立って本気で続けると、子どもは変わります。 クラスが変わります。 教室やトイレ、環境が変わります。 毎日の生活で、欠かすことのできない活動が掃除です。 これは無限の教育の場です。 私はこの活動を、最…

 日本に渡来してきた人

春の野 昔、葛城族の住んでいた辺り、金剛の麓の家々に朝日が射す。 ナズナ、踊子草の咲く野道、 馬酔木、椿の花が咲いている。 沈丁花の香りもただよってくる。 杏も開きだした。 見晴るかす大和国原、畝傍山、耳成山、天の香具山。 左遠くに、春日山、若草…

 別れの詞

別れを惜しむ心 洪さんは小さなメモ用紙の一枚に、「蘇軾 蘇東坡」と書いた。 この人、知っていますか。 知っていますよ、でも詳しくは知らない。 公民館で行なってきた国際フレンドの会、日本語の学習、 ぼくら夫婦はこのボランティア活動に参加してきて、 …

 (6)<苦闘の中で 自己を解放する>

山に救われたあのとき 理想を掲げた学校づくりのプロセスは困難を極めた。 教師たちは疲弊していた。 額に鉛のかたまりがぶらさがっているような、うつうつとした気分がのしかかり、 希望が次第に遠のいていくような暗い毎日だった。 そうだ、行こう。 仕事…

 山の不思議

山の不思議(ニホンオオカミと一本タタラ) 深い森を持つ山では不思議な体験をするものです。 そこはかつてニホンオオカミの生息していたところでしたし、「一本タタラ」という妖怪の伝説ののこっているところでした。 季節は秋の終わりでした。 まだドライ…

 からくり

からくり こんな新聞投書を読みました。 人間の頭と人間社会の『からくり』をとらえていると思いました。 A 一つは、こういうことです。 永田議員はガセネタを元にして、国会で武部氏を攻撃した。 民主党の拙劣未熟さには愛想がつきるが、 では、有る有ると…

 ⑨登山部五年目、木曾の御岳登山

⑨開田高原から3067メートルの御岳へ <こういうこともできた時代の ひとつの記録です> 淀川中学校登山部、五年目の夏山は木曾の御岳にチャレンジした。 開田高原から標高3067メートルへのアタックである。 夏休みに入って準備を進め、勉強会をし、…

 異変が起こっている

小鳥が来ない なんだか変だ。 今年の冬はナンテンの赤い実に小鳥が来ず、庭の十本ほどのナンテンは今も赤い実をつけたまま、次第に黒ずんできている。 マンリョウの赤い実も同じく健在だ。 毎年ついばみにきて、正月前には実を食べてしまうヒヨドリも今年は…

 (5)<支えあう友をもつべし>

親しい友が影で支えてくれた 同じ年の新任教師同士は、互いに支えあう最も親しい間柄になる。 新入生徒を受け入れて、三年間受け持って卒業式で送り出していくこの三年間を同期の友と体験することは、おそらく教師人生の原点となるだろう。 新任一年目で壁に…

 (4)<好きと嫌い>

先生なんか嫌い 「先生なんか大嫌い」 感情をぶつけてくる子がいる。 ぶつけないで、そっぽをむいてしまうこともある。 新任の先生はたじろいでしまう。自信を失ってしまったりもする。 試練である。 これをどう受け止めたらいいだろう。 「私もあんたなんか…

 (3)<すぐれた実践に学ぶ>

戦後の教育史と貴重な実践研究に学んでほしい このごろNHKでは、「課外授業、ようこそ先輩」とか「わくわく授業」とか、 授業シリーズを報道している。 見ていて楽しい。 現役教師にとって、自分の限界を超えるために役立つ映像だと思う。 自分の経験だけ…

 (2)<得意技をもつこと>

得意技、好きなものを活用しよう 得意技をもつことをすすめる。 得意技がなければ、好きなもの、熱中するものでもよい。 自分のもっている得意技を隠していないで、子どもの前でやってみせる。 それは自分を知ってもらい、子どもとの関係を開いたものにして…

 (1)<職場の影響は大きい>   

職場に慣れ、惰性におちいるな 君は職員室に席をもらって、そこに座る。 ああ、自分もこの人たちの同僚になったんだなとつくづく思うだろう。 やがて、いろんな先輩教師たちの特徴や職場の気風がわかってくる。 そしていろんな教師の影響を受けはじめる。 そ…

  高校入試の朝のこと

高校入試の朝のこと 市役所の近くにJRの駅がある。 上り線と下り線のホームをつなぐ、陸橋と駅舎のかもしだす雰囲気は昔のままだ。 駅から歩いて5分ほどのところに私鉄の駅もある。 JRは、上り下りの列車は昼間一時間に一本、私鉄は一時間に四本の電車…

  夜回り先生 

夜回り先生 <教師としての22年間で、一つだけ胸を張ることのできること、 それは、ただの一度も、生徒をしかったり、怒ったり、怒鳴ったり、殴ったりしたことがないということ。> 夜回り先生はそう書いている。 学校現場では、叱らねばならないときは叱…

  ⑧大杉谷を下る

テレパシーでUFOを呼ぼう <こういうこともできた時代の ひとつの記録です> 弥山から帰って、しばらくしたらまた卒業生が学校に来た。 先生、堂倉小屋へ行こ。 ははーん、大杉谷の堂倉小屋の少女に会いたいのやな。 去年の夏の少女が忘れられんのか、ほ…

  ⑦四年目の夏山・大峰弥山

生きる力を鍛える <こういうこともできた時代の、ひとつの記録です> はじめてバテる子が出た登山だった。 淀川中学校登山部、四年目(1963)の夏山は大峰山脈の弥山と八剣山に登った。 八剣山は標高1915メートル、近畿の最高峰である。 今年高校一年になっ…

  春の野道

春の野道 峠の方までフキノトウを採りに行って、 20個ほど採ってきたのを洋子は天ぷらにしてくれた。 おとといは庭の隅に芽を出したフキノトウで作ってくれた焼き飯、 香りもほろ苦さも春の精。 今日、ヒバリがさえずりながら舞い上がり、 しばらく天の一…

  もっと子どもとお話を

もっと子どもとお話を のぶ子さんは少し酔っていた。 だから、心の中にたまっていた嘆きと憤懣が噴き出したのだろう。 子どもの荒れと教育の困難さ、その元にある親の生活の崩壊を、 叫ばずにおれなかった。 のぶ子さんは教員出身の市会議員、親と子どもの現…

  旧友は温かかった

旧友は温かかった 大阪の友人が、ぼくに語る場をつくってくれて、 タイトルは何にすると聞かれたとき、 考えが決まらないまま「中国の民衆の中で発見したこと」と答えた。 語る場は、蘇州大学と交流する大阪教職員の会10周年記念の集い、 一時間半の講演時…

  和解へのプロセス

和解へのプロセス おわびします、とふかぶか頭を下げるシーンの報道が多くなった。 降りかかってきた火の粉を払い落とすかのごときおわびの陳列を、 カメラがとらえて報道する。 それはもう見たくない、聞きたくない。 懊悩し葛藤してしぼりだす、人間の生の…

  ぼつぼつ出かけよう

ぼつぼつ出かけよう 「では、ぼつぼつ行きましょうか」 「『ぼつぼつ』? さっきは『ぼちぼち』と言いましたよ。」 中国人の雪ちゃんに声をかけたら、そんな質問が返ってきた。 「さっきは、ぼちぼち行きましょうか、と言いましたか。『ぼつぼつ』と『ぼちぼ…

   ヒーロー

ヒーロー 1951年、戦争が終わって6年がたっていました。 中学二年生に一人の男の子が転校してきました。少し背の高い、静かな子でした。名前は千宗と言って、彼のお父さん、お母さんは、戦争中に朝鮮から日本に渡ってきたのです。 千宗君が来てから、ひ…