自然

 蚊の話

デング熱発生のニュースがこのところ毎日のようにある。とうとう今日で確認は98人とか。 ぼくが初めてデング熱という熱帯地方で蚊に刺されて発症する伝染病を知ったのは、学生のころ太平洋戦争の戦記を読んだときだった。ニューギニアなど南方戦線で戦う日本…

 焼岳・大正池

ソウゾウ君が、畑のネギを全部掘り上げてくると言って立ち寄っていった。彼はぼくの借りている畑の一部を使っている。昨年熊本からこちらにきて、造園と土木の会社に就職した。 最近、大正池の浚渫(しゅんせつ)工事の仕事をしているという。上高地の大正池…

 クモの巣にかかったチョウ

野沢菜の種を播いた。筋播き、点播きではなく、ばらまくとよいと、種袋の説明に書いてあるが、それでは偏りなく播くのが難しいと思ったから、指ですじを引いて、適当な間隔で一粒か二粒ずつ、播いていった。けれども、播いてから、播くすじが詰まりすぎてい…

虫たち

安曇野の堀金地区を山のほうに上がると、こんな風景の家もある。 ナスの葉っぱが食われて、生気がなくなっているのがある。葉の裏を見ると、ニジュウヤホシテントウの幼虫がついている。一枚の葉に1匹とか2匹とかだが、これがなかなか手ごわい。葉っぱが穴…

 花咲き、虫たちが出てきた

朝日が背後から昇ってきて、ぼくとランの影が道に映っている。長い影だ。左はぼくの脚から上、右はラン、しっぽがぽこりと上がっている。リードも映っている。 スイセンのひとつの種類が開花し、黄色い花が短い背丈のままで、ごあいさつしている。クロッカス…

 雪原のキツネ

雪原を黒い点が移動していく。緑一色の夏の野では、目に留まりにくい小さな点の動きが、白一色の世界では眼は鋭くとらえてしまう。ランの目にもそれが入った。微動もせず、ランの眼は黒い点の東に消えていくのを追っていた。犬の祖先の狩るものの血は、はる…

 太陽の昇る位置、沈む位置

工房を建てたお陰で、工房の北側が6メートルほども日陰になった。ここでは、屋根から北側に落下して堆積した雪はなかなか融けない。今はそこの日陰の畑も、夏のあいだは、かんかん日が当たって、野菜も稔っていた。 日差しの角度は夏と冬では驚くほど差があ…

 安部敏一さんの歩いた自然<2>陸前高田

] 雪の犬小屋 阿部さんの「通信」のなかに陸前高田行きの記録がある。時は1995年3月。「JR陸羽東線岩出山駅発午前7時57分に乗る。‥‥濡れ雪の降る寒い日である。小牛田駅の雪の積もったレールの上でハクセキレイが途方にくれているように見えた。スズメの群れ…

安部敏一さんの歩いた自然<1>福島原子力発電所

「風が吹くと、この木の葉が音を立てます。それで、ヤマナラシと言うのです」 高々と空に立つその木は、風が来たとき、なるほどさらさらと音を立てた。ヤマナラシはポプラの仲間で、楕円形の葉っぱは風に吹かれると白っぽい葉裏を返して、山を鳴らした。 十…

 真夜中の不思議

今朝は初霜が降りていた。昨夜は冷えた。夜中に、隣の部屋で寝ていたランが眼を覚まし、ぼくの寝ている部屋に入ってきてごそごそ音を立てている。その音でぼくも目が覚めた。ランは何かをしようとしている。いったい何をしているのだろうと、寝床から体を起…

 スギナ茶とドクダミ茶

金環日食のとき、ヤマボウシの木漏れ日 「スギナ茶はカルシュームが多いね」と進さんが言うのを聞いて、いっぱい生えているスギナをとって、今年はぼくも、スギナ茶を作っている。おととし、進さんはスギナ茶とドクダミ茶を送ってくれたことがあった。それが…

 春の野

彰久さんの農園に、5月、スペインから実習生が数名来るということだ。ソバの栽培をスペインで、と彰久さんは以前、スペインに行ったことがあるそうだ。その関係からスペインと彰久さんはつながりがある。レンゲプロジェクトも立ち上げて、田んぼにレンゲの…

今年初めてのトンボと、桑の実摘み

雨一降りすると草は一挙にぼうぼうと競うように生える。 草刈り機であぜを刈った。 そこは私の土地ではないが、我が家に連接しているタマネギの種取りをする専業農家、Kさんの畑の土手、 土手は傾斜が強いし、Kさんは私よりお年だから、この30メートルほ…

 寒さと花と虫

寒い春がつづいて、花の咲く期間が長いようだ。 椿がまだ木一杯に咲いている。桜のソメイヨシノは満開から次第に散り始めているが、よく咲いた。 スモモは、満開の木と、やっと咲き始めた木とがある。 チューリップは首をすっくと伸ばしてつぼみがふくらんだ…

 狐の足跡

新雪はフワフワと軽く、気温が低くなればなるほど、パウダースノー、すなわち乾燥した粉雪になり、風が吹くと雪煙を上げて流れていく。 山の上からパウダーの深雪をスキーで滑ると、滑り降りていく背後に雪煙が舞い上がり、転倒すれば雪に中に埋まってしまっ…

アケビコノハ<児童館で>

「玄関の軒にねえ、木の葉がぶら下がっていただ。手で取ろうと指で持ったら、ぐにゃりとして、なんだい、これは、木の葉じゃないよ。蛾なんだ。冬眠してたんだよ。」 マコト、サトル、これを見ろ。 木の葉そっくりだねえ。たまげたねえ。 S先生は児童館に持…

虫たちとの会話

白樺の幹の白さよ 働く人の姿も見えない町工場の、古びたフェンスにツルバラがからんでいて、 元気のないピンクの小さな花が咲いていた。 一枝をもらってきて挿し木にしたら根づいて芽が伸びた。 それをガレージの前に植えたのだが、うどん粉病にかかって元…

生物界の異変

建築中の工房のなかへ、ハトがわらくずのようなものを運んでいる。 あれっ、ハトまで巣づくりかあ、 工事中の建物の梁の上に、ハトのつがいが止まっている。 ハトさんよ、ここは工事中だで、巣をつくらんでくださいよ。 かみさんが棒をもっていって、外へ出…

 初ツバメ

コヒガンザクラ、常念岳、夫婦の道祖神、菜の花。 レンギョウ、民家。 今朝5時15分、ランを連れて家を出たぼくの頭をかすめた、ツバメ。 初ツバメ。還ってきたツバメ、一羽。 昨年ツバメの夫婦が作った巣を、ぼくは大晦日のすす払いのときに、あやまって…

ツバメ、巣立ちと飛翔訓練(3)

巣を飛び立ち、飛行訓練を始めてから3日目。 2日目の夜は子ツバメ4羽はねぐらに帰っていた。 3日目の朝、見上げると、巣からのぞく4羽の黒い頭、赤いのどが頭上にある。 成長した体には小さすぎる巣にきちんと並んではいても、 頭と胸は狭い巣から飛び…

ツバメ、巣立ちと飛翔訓練(2)

飛ぶ練習をして、また巣に戻ってきた子ツバメ。 次の日、巣に戻っていた子ツバメ4羽は、午前中に飛びたった。 今日も快晴、暑い。 これで巣立ちも完了した、と思った。 ところが、午後になってもくもく入道雲が出てきた。 今日は降ってほしいなと思っていた…

 ツバメ、巣立ちと飛翔訓練

1ヵ月ぶりに家に帰ってきたら、玄関前の軒下にダンボールが置かれていて、 ツバメの糞がどっさり堆積している。 こんなにも糞をするんだねえ。 糞の間に、トンボが一匹落ちていた。 ヒナに運んできた餌の一匹だ。 洋子の話では、今年のツバメはトンボをせっ…

  桑の実

このごろ、朝の散歩の収獲は桑の実です。 朝五時になると、ランが、「朝だよ、散歩だよ」と、廊下で、 カタカタカタと、足音を立てるものですから、それが目覚ましです。 それを無視して寝ていると、ウォッ、と小さく小さく吠え、 さらに寝ていると、ワンと…

  ツバメ、巣づくり

去年は巣を作ってヒナを育てたツバメが、今年は巣づくりしないなあと思っていた。 日本に帰ってきた早いツバメは4月には巣をつくっていたから、もう今年は我が家にツバメは来ないものと決めて、 稲田の上を飛ぶツバメを眺めていた。 ところが昨日、6月も上…

  モッコウバラが咲いた

つるばらのモッコウバラが黄色の花をつけた。 モッコウバラともう1本のつるばらは、奈良からもってきたもので、どちらも苗を近所の人からいただいたものだった。 モッコウバラはとげがない。もう1本のバラはとげがあり、引越しのときの餞別にもらったもの…

  雪

今朝は零下10度にはなっていただろう。 昨日は久しぶりの快晴で、北アルプスもくっきり、雪の峻嶺を現していたのだが。 今日は午後になって雪が降り出した。 厳冬期の新雪は、容易に融けず、ふわふわとやわらかい。 これまでの雪の上にまた新たな雪が積もっ…

  今朝、氷点下5度

凍った小松菜と太陽が当たって凍結がとけた小松菜 この前の氷点下4度で、庭の植物がいっぺんに変化した。 つるを伸ばしていた雲南百草の鮮やかな緑葉が、夜があけたら完全に黒くしおれてしまっていた。 おかげで朝の野菜ジュースの素がひとつ減った。 アジ…

 大カエデと二つの太陽

大峰高原の大カエデ安曇野、池田町の大峰高原に大カエデがある。 今紅葉真っ盛りというので行ってきた。 終戦直後にこの大峰高原に開拓者たちが入ったとき、 この大カエデが発見され、 幹1メートルを残してばっさり伐られたが、再び樹は枝を伸ばした。 標高…

  キンモクセイの花

キンモクセイと秋の野 キンモクセイの思い出 去年の秋、ぼくは日本語教師の仕事で信州にいなかったから、そのことに気づかなかった。 散歩していると、あのなつかしい香りが漂ってくるではないか。おお、おお、キンモクセイじゃないか。 安曇野にも、キンモ…

 カラスの知恵

クルミとカラス 稲の黄金色と蕎麦の花の白、安曇野は収穫の秋が近づいています。 蕎麦の畑は、昨年より増えた感じです。 道に3羽のカラスが下りていました。 近づいていきますが、逃げません。 4,5メートルのところまで来てやっと飛び立ちました。 カラ…