モッコウバラが咲いた

つるばらのモッコウバラが黄色の花をつけた。
モッコウバラともう1本のつるばらは、奈良からもってきたもので、どちらも苗を近所の人からいただいたものだった。
モッコウバラはとげがない。もう1本のバラはとげがあり、引越しのときの餞別にもらったものだから、どんな花が咲くのか、まだ分からない。
建物の壁面をはうように育てている2本のバラが満開になったらどんなに美しいことだろうと楽しみにしている。
もう1本、幼いツルバラがある。
去年、工場のフェンスにピンクのツルバラを植えているところがあり、ほとんど手入れをしていないために重症になっているのを見つけた。
夏に、人差し指ほどの長さにその一枝をいただいて、土に刺しておいたら芽が出てきた。
冬は雪の下にあったが、それにも負けず、春に元気な新芽を伸ばし、このバラが咲くのも楽しみで、どこにはわせようかとわくわくしている。


風土に適合するものと、不適応のものと、
引越しのときに持ってきて土に植えたものは、喝采をあげているかと思えるものと、悲鳴をあげているように思えるものとがある。
ユーカリは枯れてしまった。
ツバキは臨終状態で、新芽が数個あるのだが、それは未だに伸びる気配がない。
去年の秋、たくさんつぼみを付けたが、今年の春すべてのつぼみが枯れて開くことはなかった。
氷点下10℃以下の低温がツバキの組織にダメージを与えたらしい。


この春、田のあぜに、西洋タンポポが群落をなして咲いていた。
気温が25度を越える夏日がやってきた日の次の朝、ことごとく綿毛に変わっていた。
あぜを真黄に彩っていた花が、一転して白い綿毛になっている。
これから咲くつぼみはその日の気温があがるにつれて開花したが、綿毛一色の朝の光景には驚くばかりだった。
気温に敏感な植物は、はやく種を残さなくてはと反応するのだろう。
今田んぼのあぜには、タデが一面に花をつけている。


花の咲く季節は、植物の存在を示すときでもある。
紫の穂が草むらにあり、それはジュウニヒトエだった。
午前中開いていて、午後には花を閉じる、花弁の長いきれいな青紫の花が、草むらのあっちに1本、こっちに1本と離れ離れに咲いている。
地の花ではないようで、珍しい。
洋子が花の本で調べたら、サルシフィという。
この花の種はどこから飛んできたのだろうか。
ヒナゲシの花も同様で、今年の春になって、庭のあちこちに咲いている。


先日、二日間ほどホトトギスが早朝に鳴いた。
だが、長く続かなかった。
もう山へ行ってしまったか。


去年の秋に蒔いて、冬の間は土の中にあった例のツタンカーメンのエンドウは春に発芽して、今花を咲かせている。
春に蒔いたキヌサヤエンドウは、半分の種が発芽してそのまま、遅々として伸びない。
インゲンは、9割が発芽しなかった。
適温、適地、条件がぴったり合わないと、勢いが出てこない。
気温が夏日になる日と、「明日の朝、遅霜の降りる恐れがあります」という天気予報が流れる日と、
めまぐるしく変化しながら、それでも着実に、夏はぐんぐんやってくる。