ツバメ、巣立ちと飛翔訓練(2)


飛ぶ練習をして、また巣に戻ってきた子ツバメ。


次の日、巣に戻っていた子ツバメ4羽は、午前中に飛びたった。
今日も快晴、暑い。
これで巣立ちも完了した、と思った。


ところが、午後になってもくもく入道雲が出てきた。
今日は降ってほしいなと思っていたら、3時ごろからゴロゴロ雷が鳴りはじめ、
ぽつりぽつりと雨が降り出した。
夕立だ。
見ると子ツバメたちは飛行から帰ってきて、巣の近くの電線にとまっているが、
まだ止まり方も不慣れで、足元がおぼつかない。
そこへもって夕立、初めて身に浴びる雨。
子ツバメたちは驚いた。
羽をぷるぷる震わしている。
風も出てきた。雨は勢いを増す。
子ツバメたちは、不安になった。
「巣に戻ろう」
という共通の心理が働いたのか、
彼らはまたもや巣に飛び戻ってきた。
やっぱり安心できるのは古巣だね。
3羽は自分たちの古巣へ、
1羽は外の空き巣へ。


5時頃、雨が上がり、
夕日が顔をのぞかせた。
そのとき、巣から飛び出た子ツバメたちの飛翔が始まった。
飛ぶ、飛ぶ、田の上も家の上も、自由自在。
しかし遠くへは行かない。
我が家の周りを飛びまわる。
ツバメたちの飛翔は次第ににぎやかになった。
電線に止まったときに数えると20羽ほどいる。
いったいどこからやってきたのだろう。
ツバメの学校だな。


夕方、4羽はまた古巣に戻った。
今日も巣立ちして自立していくことはできなかった。
親はまた餌を運んでいる。
トンボが1匹、またくわえそこなったのか、糞受けに落ちている。


巣立ちすれば、あとは子ども任せ、
というのではなかった。
まだ餌をとれない子らが、自分でとれるようになるまで、親は面倒を見るつもりらしい。
ここまで世話するツバメの親、
だからツバメはほとんど全羽が巣立つのだろう。
餌のやり方も、全員に餌が行き届くように配分しているように見える。
いちばん臆病な、育ちの遅れた子ツバメは、最後まで1羽だけ巣にいて、
飛び立っても巣に戻ってくるのは早かった。
この子が自立するまで、親はめんどうを見るのだろう。
巣から身を乗り出すようにして、4羽は親の持ってくる餌を待っている。
甘えん坊のツバメの子。
あしたはどうなるだろう。