自然

 カミキリムシ

怪力カミキリムシ 頭のほうを斜め上に立てたようにして、ブーンとひどくゆっくり飛んでいる。 あの飛び方はカミキリムシだ。 今年はクロスグリの実がたくさん生った。 クロスグリはブラックベリーともいう。 今はまだ赤い。もうしばらくすれば黒くなり、そう…

 コシアブラの木

コシアブラを植えた コシアブラの苗がホームセンターの園芸コーナーにあった。以前、奈良の御所・名柄にいたとき、兵庫・加美町で紙漉きをしている友人が、 「金剛・葛城山に、コシアブラがないか」と言っていたことがある。 食用にできるという言葉を、かす…

 草刈り

土の命草刈をした。 1メートルほど段差のある畦(あぜ)の斜面、 我が家の畑ではない。 我が家の裏の、たまねぎ畑の主は、簡単に除草剤を使う傾向があり、 庭に隣接するここは私が草刈するから、 薬は使わんといてください、 と頼んだいきさつもあって、と…

  ツタンカーメン王のエンドウ

エンドウが実った 「ツタンカーメン王のエンドウを植えるか。」 と、五つほど莢(さや)をくれた。 去年の夏、白馬村の徹君は、 自分の家の周りに夫婦二人が食べられるぐらいの野菜を作っていた。 大阪から白馬に移り住んで、十年近くになるか。 「ツタンカ…

 ジャンボタニシ

ジャンボタニシ 田んぼの稲の、水から何センチか上のところ、 なにやらピンク色の塊が見えた。 最初は何かの花かと思い、ありゃ何だと観察するほどに、 親指ほどの大きさのピンクの塊は、 楕円の球を半分に割ったような形をしていて、 田んぼのあぜに作られ…

  巣立ち

鳥の巣立ち 我が家に電話したら、 玄関の軒先に巣をかけていたツバメのヒナたちが巣立ったという。 残念ながらその瞬間に立ち会えなかった。 妻の報告では、 朝は、子ツバメがいた。 午後、巣を見上げてみたら、もういない。 よく見ると2羽の発育遅れの子が…

 野の元気もの

ケリ 体の割には長く、 細い脚ですっくと立ち、 近づく者を見張り、身構え、 テリトリーへの侵入を許さない意志を、 小さな体にみなぎらせ、 警戒の叫びを発し、 そこより近づくな、近づくな。 おまえは、身をかがめ、身を低め、 土の色に体の色を溶け込ませ…

 今日の出会い

発見したこと 仕事場のある市の図書館で本を借り、 その前にある公園の木々の新緑があまりに美しいので公園内を散策することにした。 借りた本の一冊は、 『植物と話がしたい 自然と音の不思議な世界』(神津善行 講談社)。 公園の木々は空高く茂り、 五月…

 やはりカワウソ

外来のカワウソだった 広辞苑でヌーとリアを調べてみたら、こう書いてある。 「カワウソの学名、ヌートラの訛。 リス目ヌートリア科の哺乳類。頭胴長50センチメートルほど。 毛色は褐色で、水中生活に適応し、後足の指間に水かきがある。 南アメリカ東部の…

 カワウソ?

川面を泳ぐ不思議な生き物 暮れていく空の残光を集めて淡く輝く水面に、突然長い尻尾をくねらせた小動物が水中に潜っていった。 なんだ、今のは。 尻尾の長さは、30センチはあったろうか。 ぼくは水面を凝視して、再び現われるであろう辺りを予測した。 あや…

 雪降れり

雪の日は雪の日の心 今朝から雪が降り、 昼まで舞っては止み、舞っては止みしていた。 雪降る日は、人も鳥も、物もしんと静まり返っている。 雪の日は、人の心を、雪の日の心に変える。 「この日、雪降れり」 詩の一節が浮かぶ。 室生犀星の詩だった。 此の日…

 生と死

ミントと観葉植物 ペットボトルの上を切り取った下半分に、 公園から腐葉土を取ってきて入れ、 夏の終わりの散歩のときに、 同僚が摘んできたミントの蔓の先端をそこに差した。 宿舎の部屋の窓際に置き、 ほんの少しずつ水をやっていたら、 新しい葉が出てき…

   スズメのお宿

独身スズメの若者宿 小さな公園の桜の木に、 スズメが群れてさかんにさえずっています。 スズメのお宿です。 そこから大通りへ二百メートルほど歩くと、 もっと大規模なスズメのお宿のさえずりが聞こえてきます。 それはそれは賑やかな、 ひっきりなしにおし…

 異変に気づくこと

アオマツムシ 今日も桜の木の上から虫の声が聞こえる。 秋の虫の異変に気づいたのは、もう十年以上も前のこと。 秋の虫といえば、コオロギがおなじみ、 エンマコオロギ、ミツカドコオロギなどが庭や土間にいて、 秋の夜長、美声を響かせていた。 スズムシ、…

 強風、今日も吹く

吹きすさぶ烈風 今朝はおだやかな天気になった。 おだやかな天気になると、心境もおだやかになる。 昨日、おとといは、台風並みの風が吹きすさんだ。 ガス会社の上条さんが、この地域には風の通り道がある、と言ったとき、 どのあたり?と訊いたら、 梓川の…

 ツバメの巣

我が家のツバメ 安曇野に来て、数日後、 家の玄関前の軒先に、ツバメが巣を作っている。 ぼくの人生ではじめて、ツバメが来て巣をつってくれている。 「ショウチュウ イッパイ グイー」 としきりに鳴く。 奈良の古い家でも、ツバメは巣づくりしてくれなかっ…

 明日香の棚田

明日香の棚田 棚田のいいところがありませんか、 と日本画を描いているIさんから電話があり、 それなら明日香ですと応えた。 じゃあ、一泊させてください、と言うから、 初めて明日香に来るIさんに、地図を書いてFAXで送った。 明日香の稲淵の棚田や、…

 鈍磨する感覚

カタツムリ、ツバメ、カモ、水仙 おう、もう少しで気づかずに通り過ぎるところだったよ。 頭は他のことを考えていたよ。 頭が何かにとらわれていると、見れども見えずだな。 アスファルトの農道をカタツムリが横断している。 両側は草むら、カタツムリは左の…

 異変が起こっている

小鳥が来ない なんだか変だ。 今年の冬はナンテンの赤い実に小鳥が来ず、庭の十本ほどのナンテンは今も赤い実をつけたまま、次第に黒ずんできている。 マンリョウの赤い実も同じく健在だ。 毎年ついばみにきて、正月前には実を食べてしまうヒヨドリも今年は…

  春の野道

春の野道 峠の方までフキノトウを採りに行って、 20個ほど採ってきたのを洋子は天ぷらにしてくれた。 おとといは庭の隅に芽を出したフキノトウで作ってくれた焼き飯、 香りもほろ苦さも春の精。 今日、ヒバリがさえずりながら舞い上がり、 しばらく天の一…

  朝霧

朝霧 山は晴れ、しののめに光さし、 春のきざし。 日の出に向かって歩いていく。 前方、流れくるもの。 耕された冬田の上一、二メートル、 灰白色の薄い布のようなものが 舌のごとき先端を伸ばして、 地表をなめるように動いてくる。 みるみるそれは丘や人家…