寒さと花と虫





寒い春がつづいて、花の咲く期間が長いようだ。
椿がまだ木一杯に咲いている。桜のソメイヨシノは満開から次第に散り始めているが、よく咲いた。
スモモは、満開の木と、やっと咲き始めた木とがある。
チューリップは首をすっくと伸ばしてつぼみがふくらんだ。
スイセンは庭一面、繚乱。

寒いとなぜ花期が長くなるのか。
気温のせいで、生長がにぶるから、植物の体内の活動が停止するから、
と、なんとなくそう理解して、分かったような気がしていた。


ランと散歩した。
椿の大木の上で、ウグイスが鳴いている。
ヒヨドリが数羽、桜の花の中に埋まりながら、花を食べている。
ああ、そういうことか。
この寒さ、虫たちが少ない。
蜜蜂、花アブ、蝿、蝶、
花の授粉をしてくれる昆虫たちが、寒さのためにでてこない。
虫たちが少なければスモモもリンゴも実がたくさんできない。
木によって開花時期の差異があっても、咲いている期間が長ければ授粉が十分できる。
虫たちと花との関係も、花がたくさん咲けば虫たちは食料が増え、
花たちは、授粉をしてもらえる。
気温が低い時、花は虫たちのたくさん活動してくれるときまで、花を咲かせ続ける。
虫たちは、そういう花期の長さで助けられる。

持ちつ持たれつの関係かなあ。
花のなかにある生長器官が、生育適温を感じ取って、機能を働かせるのだ。