2018-01-01から1年間の記事一覧

 干天のなか

「暑いですねえ、たまりませんねえ。」 会えばこのあいさつ。 でもこの熱射のなか、トマトもキウリも次つぎと稔り、毎日もぐのが楽しみで、隣近所におすそ分けしている。トマトはいろんな種類の苗を12本、歯医者の布山さんからいただき、去年もそうだった…

  政府の独裁化、政治の頽廃に対する国民の意識

惨憺たるごまかしと法案のごり押し決定の果てに国会が閉幕した。。カジノ法も可決した。 ほくそ笑む安倍首相は「蝉しぐれを聞きながら」別荘で余裕の夏を過ごし、次の布石にいそしむらしい。テレビに映る首相は「蝉しぐれを聞きながら」と笑顔で言っていた。…

 イワダレソウと夕映え

昼下がりの野道を、杖をついて歩いてきた人、誰かと見れば長瀬さんだ。 「こんな日中に、いったいどこ行くんです。気温35度越えてますよ。」 「車、出してくれと家内に言ったんだけどね。車は出さんいうから、歩いて来ただ。」 長瀬さんの家からここまで一…

 高村薫「土の記」より 2

もう一箇所、次の文章を取り上げておこう。高村薫「土の記」下巻より。 この小説に登場する農の記は驚くほど詳細だ。実際に作者の体験したことがベースにあるのだろうか。 東日本大震災のとき、大地は。 <新月の前の糸のように細い月は夜明け前に上り、日没…

 地震のとき生物たちは?<高村薫の小説「土の記」>

高村薫の小説「土の記」を読んだ。舞台は奈良県の大宇陀、描写の緻密で豊かな表現に感嘆する。 下巻のなかに、東日本大震災のときのカエルの話が出てくる。次のような描写だ。 <昨夜は、両方の耳の外耳道にシュレーゲルアオガエルが潜り込んできた。ヒロロ…

 それでも農薬を空中散布しますか

松本市の公式ホームページに、26日、次の記事あり。 「大切な松林を松くい虫の被害から守るために、四賀地区で無人ヘリによる薬剤散布を実施します。皆さんのご理解とご協力をお願いします。」 反対住民や世界の動きを無視して、また実施するらしい。 長野県…

 山田多賀市の「生活の仁義」に描かれた職人気質

堀金公民館で毎週日曜日に開いている日本語教室でのこと。スタッフの高橋さんが、コピーのつづったのをぼくに手渡し、 「私の参加している読書会で読んだ小説です。安曇野の堀金三田出身の小説家で、戦時中の雑誌の掲載ページのコピーです。読んでみて感想を…

 ヘブライ人奴隷の合唱

この春は、シューベルトの「夕映えのなかに」を何度も聴いた。心がこの曲を求めている。このごろは散歩しているときにも、メロディが浮かんでくる。 一つの歌の力というのがある。 丘の上のムラにいたとき、音楽の好きなひとりのおじいさんがいた。たずねて…

日高六郎逝く

日高六郎さんが亡くなられた。ニュースが新聞に載っていた。なんと101歳、ここ10年、20年、日高さんについて報道で見ることがなかったから、生きておられるのか、あの世へ行かれたのか、ぼくの頭の中では過去の人になっていた。 日高六郎さんがぼくに身近だ…

  二つの出来事

黒豆を播く。 三、四粒の豆の播き穴に、草木灰をひとつかみ入れる。その上にモミガラをやはりひとつかみ置く。明日は雨になる。 草木灰は畑と周囲の草刈りで、それ用に枯れ木と彼草を燃やして作っておいた。草木灰を入れるのは、子どもの頃、田んぼの畦に大…

 社会は進んでいるか、変革しているか

1982年に、ミヒャエル・エンデとエアハルト・エプラー、ハンネ・テヒルの三人は、オリーブの森で語り合った。 その記録「オリーブの森で語り合う ファンタジー・文化・政治」が当時出版され、多くの人が読んだ。 エンデはドイツの作家、エプラーはドイツの政…

 扇町サロン

なんとも虫は不思議、奇跡だなあと思う。 第二回「扇町サロン」を一昨日、公民館で開催した。第一回が「人間のの眼で観た安曇野の景観」だったから、今回は、「虫の眼で観た安曇野の自然」がテーマ。市役所の昆虫の研究家・那須野雅好さんに昆虫の写真をスラ…

 石垣りん 「行く」 

木が 何年も 何十年も 立ち続けているということに 驚嘆するまでに 私は四十年以上生きてきた。 草が 昼も夜も その薄く細い葉で 立ち続けているということに 眼をみはるまでに さらに何年ついやしたろう。 木は 木だから。 草は 草だから。 認識の出発点は …

 山で道に迷ったら「十箇条」

五頭連峰で遭難したとみられる、新潟市の渋谷さん(父)と小学1年の長男・空くん。2人は5月6日の朝、「下山する」と家族に電話した後、連絡が取れなくなっている。大規模な捜索が行なわれているが、一週間になるが発見できない。父と子の山がこんなことにな…

  ゲーテと立原道造の「旅人の夜の歌」

旅人の夜の歌 立原道造 降りすさんでいるのは つめたい雨。 私の手にした提灯はようやく 暗く足もとをてらしている 歩けば歩けば夜は限りなくとおい。 私はなぜ歩いて行くのだろう。 私はもう捨てたのに 私を包む寝床も あったかい話もともしびも――それだけ…

  丸山薫「原子香水」

原子香水 わずか一個かの爆薬で 地表の半分を吹きとばすより たった数滴の香水が 世界の窓を 野を 海を われらの思想と 言葉の自由を匂わしてほしい ああ 誰かそんな香水を 発明しないものか 貴重なその一ビンをめぐって 国際管理委員会を設けよ 人類のもっ…

 希望とは地上の道

南北首脳の板門店会談の実況放送を見ていて、ぼくは胸が熱くなった。 東西ドイツが一つになったときの、あのベルリンの壁崩壊のような道を歩んでくれ。 二人の姿は、ドイツの市民がつるはしをふるってベルリンの壁を壊している姿を思い起こさせる。 この春ま…

 小鳥たちの春

ウイーンのクロウタドリ 思いがけずガビチョウのことをコメントしていただき、うれしかった。halariさんという方、ブログを読んでくださっていたのだ。 よく観える双眼鏡を、買わなければならないかなあ。 昨日、あれはたぶんカッコ―だと思う、尾羽が長かっ…

 春爛漫

ミヨコさんの家の高木から、美しいさえずりが聞こえてきた。ときどき山手の方で聞くことがある、その鳥が何なのか、姿は見えず、分からないまま、さえずりだけを耳にする。そのさえずりを聴くと、足を止めて聴きほれる。複雑に変化するメロディは、ヨーロッ…

 田中正造の最後の問い

田中正造の絶筆は彼の日記の最後にあった。文語で書かれたその文章を口語に変えると、 「悪魔を退ける力のないものの行為の半分は、その身もまた悪魔であるからだ。業(ごう)によって自分自身に悪魔の行為があるから、悪魔を退けるのは難しい。そこで懺悔が…

 花咲く春の野

土筆(ツクシ)の大群落だ。 畔一面に、緑の草も混じる枯れ草の上に礼儀正しく、 枯れ色の土の筆をしゃきっと立てている。 目立たない質素な坊主頭。 野を見回すと、あっちの畔にも、こっちの畔にも、 土筆の大集団。 昨年はこんなに大繁殖ではなかった。 別…

[環境] 子どもの原っぱ <4>

写真家・宮原洋一が、写真集「もう一つの学校」の撮影を通して観た子どもの現状を、堀切直人は資料として提示している。「もう一つの学校」は、「原っぱ」などの子どもの遊び空間のことだ。 「1960年ごろから子どもたちのタテ型の遊び集団が解体しはじめ、ガ…

 子どもの原っぱ <3>

数年前、珍しい光景を見た。小学生の三人組がチャンバラごっこをしている。畑の一角に工務店が廃土を盛り上げた小山があり、そこに登った子がお山の大将になって棒きれを刀にして振り回し叫んでいる。小山の下から二人の子が、同じく棒を振りかざして攻撃を…

 子どもの原っぱ <2>

「原っぱが消えた」(堀切直人)は、北杜夫の書いた長編小説「楡家の人びと」の中に出てくる少年時代の原っぱを紹介している。 「その原は、訪れる人々の数によって、急に生気を帯び、にぎにぎしくさざめいて見せたり、突然がらんと人気もなくなって、いやに…

 子どもの原っぱ <1>

「原っぱが消えた 遊ぶ子供たちの戦後史」(堀切直人 晶文社)は、世の大人たち、政治家たち、親たち、教師たちに読んでほしい本である。今の社会を観ていて、このまま行けば、子どもはどうなるだろう、人間社会はどうなるだろう、と思うことしばしばだが、…

 北さん、逝く

白馬村に住む徹君に電話した。 「北さん、亡くなった。14日、大往生や。」 奥さんからの連絡は一週間ほど前にあった。 夕食に、ホタルイカを食べ、焼酎も飲んだ。ちょうど孫娘が来ていた。爺が大好きという孫娘は、18歳。 みんなが休んで、午前0時を回…

 15年ぶりの再会

高さんが遊びにやってきた。15年ぶりの再会だった。中国・武漢大学の三回生だった時に教えた学生の高さんは、社会人になっていくつか大きな日系企業で働いてきたが、その仕事になじめず、自分を発揮できなかった。そこで、経営学を学ぼうと昨年一橋大学の…

 「夕映えの中に」

フィッシャーディースカウの歌うシューベルトの歌曲を久しぶりに聞いていた。 一枚のCDには20曲ほどが録音されている。次つぎと歌曲を聴いてきて、14番目の曲になった。ピアノが静かに前奏を奏で、ディースカウが歌い始めたとたん、胸が詰まった。あの曲。…

 教育の原点

ぼくが愛読するブログに「困らないけど、いいですか」というのがある。筆者は新間早海さん。 今年の一月か二月、そこに、「子どもはまったく完成されていて、かつ未完のまま」という記事があった。 記事は担任教師と子どもたちの距離感がどんどん縮まってい…

 春が来た

一昨々日の重い湿雪で、ひばりの巣は雪に埋もれてしまったのでは?と案じていた。 地面に巣をつくるから、ドカ雪は災難。 ところが昨日、雲雀の姿が見えた。無事だった。巣の位置は、あの辺りかなと遠目で探すが、畑の中まで入ることは避ける。だから目にす…