干天のなか



 「暑いですねえ、たまりませんねえ。」
 会えばこのあいさつ。
 でもこの熱射のなか、トマトもキウリも次つぎと稔り、毎日もぐのが楽しみで、隣近所におすそ分けしている。トマトはいろんな種類の苗を12本、歯医者の布山さんからいただき、去年もそうだったが、畝の両側からアーチ型の支柱を立て、ビニールの屋根をかけて育てた。大玉、中玉、ミニ、それぞれ今は見事な実が赤々と成り、毎食皿に乗る。布山さんには感謝感謝。
 キウリは初めの四本の苗は、ビニールハウスの店で買ってきたが、その後は何日かの差をつけて種を播き、育てた。トマトは水やりがいらない。けれどキウリはこの干天では寿命が短くなり、葉っぱが枯れてくるから、命を延ばすために毎日水やりをしている。ナスもたっぷり水やりをしているから、これまでになく今年のナスは見事なものがたわわになっている。ナスが良好なのは接ぎ木苗であることも関係している。
 トウモロコシも実をつけて、太ってきた。近所の畑でトウモロコシに何かを撒いている人がいたから、追肥を撒いているのかと聞くと、虫よけを撒いていると言った。虫よけって何?と聞くと、「オルトラン」だと言う。虫が逃げていく、そんな薬があるんだな。薬は我が家は使わない。
「なるほど虫がおると走ってどこかへ行くんですね。居るとラン!」
 と言うと、変な顔をした。トウモロコシは虫にも鳥にもやられやすい。我が家もいずれ何本かは虫にやられるだろう。それでも盆にやってくる二人の息子家族、孫たちは十分食べられるだろう。
 水路から18リットルタンク二本に水を汲み、一輪車に乗せて畑に運び水やりするのが、日照りの夏の日課だ。何回も往復する。朝夕のこれが力仕事だ。

 今年、はじめてミンミンゼミが庭の白樺にやってきて鳴いた。
 一メートル近いヘビもやってきた。ランの前をニョロニョロと走ったから、ランは目をみはっていた、「初めて見る怪しげな奴」。ヘビはどこからやってきたのだろう。ヘビさんよ、ここを住みかにすべし、よそへ行くな。畑ネズミもモグラも、たんといる。やっと庭が自然なものになってきた。
 今、午後のいちばん熱い時間帯、日陰でベンチ2脚とテーブル1脚を廃材を使って制作している。今日でほぼ完成。ここに座って、ビールをぐいっといくのも楽しみ。