山の歌



朝の野の道、
霧の日は、霧の歌が口をついて出てくる。

 「霧だー、ほーいほい、
  朝霧だー、ほーいほい、
  霧の中から 日が 出てくるよ。
  だれか どこかで ほーいほい、
  朝霧だ ほーいほい。」


昔、子どもの頃、ラジオでよく聞いた歌。


歩いていると、山の歌もよくよみがえってくる。
歩くテンポに合わせて、
3拍子のあの「ぼくらの故郷」。


出てきた歌詞の一部を口ずさむ。
人影のない野の道。
大声で歌う。
が、途中から思いだせない。
どうだったかなあ、
思いだそうとするが出てこない。
学生山岳部時代によく歌った。
テントの中でみんなで歌った。
穂高の涸沢、剣岳の剣沢、白馬、鹿島槍
合宿の時に歌ったたくさんの歌の中の、
今もよみがえる歌。


いくら考えても思い出せないまま日がすぎた。
ある日、あれはヨーロッパのどこかの国の民謡だったかなあ、と思って、
インターネットのユーチューブで調べた。
ドイツ民謡、スイス民謡、
だが分からない。
検索欄に、歌詞の一部を入れてみた。
そしたら、
おうおう、出てきたではないか。
なんとまあ、
すごいもんだ。



     ぼくらの故郷

  一、懐かしあの山 ファリヤ ファリヤ
    ぼくらの故郷 ファリヤ ファリヤ
    真白き森に うさぎたわむる
    ファリヤ ファリヤ ファリヤ
    ファリヤ ファリヤ ファリヤ


  二、めぐり来し雪山ファリヤ ファリヤ
    ぼくらの故郷 ファリヤ ファリヤ
    粉雪かむる もみの木うれし
    ファリヤ ファリヤ ファリヤ
    ファリヤ ファリヤ ファリヤ


  三、待ちかねし冬の日ファリヤファリヤ
    ぼくらの故郷 ファリヤ ファリヤ
    谷間の小屋にストーブ燃える
    ファリヤ ファリヤ ファリヤ
    ファリヤ ファリヤ ファリヤ


完全によみがえった。
すかっとさわやか、
思いだせないままの消化不良が解消した。
カタルシス
やっぱりそのままにすべきではない。
完全によみがえらせるとよいもんだ。


それ、「ぼくらの故郷」
歌うとするか。