[山]韓国岳の遭難



宮崎県と鹿児島県の県境にある韓国岳で、子どもが遭難して死んだ。
家族で登山していた小学校5年生の将希君は、父親と祖父を追い越して先を進み、その後行方が分からなくなったというニュースを聴いて、
無事を祈っていたが、最悪の結果になった。


僕の頭に、先行する子の姿がイメージに浮かんだ。
多分元気な快活な子だったんだろう。
先に頂上へ登ってやろう、
どんどん進め、どんどん進め。
スピードだして登っていった。
登山道が明確で、一本道なら問題はなかった。
途中で分岐点があったか、ケモノ道のような脇道があったか、
そこへ入ってしまったのだろう。
ひたすら登っているときは、目の前に現れる道がコースだと思ってしまう。
それを確かめることをしない。
経験のない子であれば、観察は不十分だ。
登りの姿勢は、目線が下向きになっている。


迷ったと思ったら今来た道を引き返す。
今来た道が分からなかったら、下へ下りないで上へ登るコースを探す。
それが鉄則だが、
あせると、下へ下りようとする。
コースでもないところ、特に沢に下ると、命取りになる。
下るに下れず、上るに上れず、絶体絶命になることがある。
落下する危険が出てくる。


体力がある限り、もう一度頂上の方へ登れば、必ず本コースの登山道に出ることができたのだが、
将希君はそれができずに転落した。


死亡のニュースを聴いたとき、
ぼくも悲鳴を上げた。
とりかえしのつかない結果になった。


お父さんの悲しみ、
悔む気持ち、
自分を責めさいなむ気持ち、
それがいたいほど分かる。
先へ行かせてしまった、ストップをかけなかった、
そのことがこの結果になった。
元気盛りのこの年齢、
単独行動は抑えねばならなかった。


ああ、なんという結果になってしまったことか。