雪の日




一昨夜ごうごうと吹き荒れた朝は霜なく、一日しんしんと冷えた。
日が照ればガラス窓からの日射で、春のような暖かさだが、曇天の室内は、足下から冷え、背中も冷たくなってくる。
その夜から湯たんぽを入れることにした。
ちんちん沸かした湯を注ぎ入れた湯たんぽを、寝床の毛布の下に入れると、
朝まで温かく、一夜の熟睡を保障してくれる。
朝起きてから、人肌ほどの温かさを保っている湯たんぽの湯を、どぼどぼと風呂の湯に流しいれる。
風呂の湯も朝はまだまだ温かい。
昨夜は夜中から、音もなく雪。
雪の日は雪の気配がする。
朝起きれば、あたりは一面の銀の野原だ。
喉の腫瘍はそのまま喉にあり、嚥下のときに気にかかる。
なんとか切り取らずに消滅してくれないかなと、
そこに気を集中し、進さんが送ってきてくれた薬草茶を煎じ、熱く沸かしてすすりすすり飲んでから、
冷やさないように喉に手ぬぐいを巻き、コートの襟を立てて、ランとともに新雪の野へ、ウォーキングに出る。
明日からはマフラーを巻こう。
いっさいのストレスを雲散霧消させ、
精神を浄化し、
喉も体も心も温め、
宇宙の気を我が身に受け入れる。
散歩の途中に諏訪神社があり、杉木立が高く天に向かい、
社の前の広場は宇宙への通路。
自然界の気を受けてお参りする。
二拝二柏手一拝。
神社を出て、大股の速足、約一時間。
汗が出てきた。


小さい吊るし柿は、固くなってしまったが、
イワオさんのところからもらった柿は、ちょうどいい食べごろだ。
外が少し硬くて、中身がとろりと柔らかい熟柿。
糖度はリンゴ以上の甘さで、
一個の干し柿を食べ、熱い茶をすする至福のひととき。
干し柿、こんなおいしいものはない。
リンゴは、アキオ君の農場の内使い用を買っている。
少し安い。
農協の内使い用も買ってみた。
さらに格安。
内使い用、これで充分だ。
「一日一個のリンゴは、医者要らず」
奈良の御所に住んでいたとき、我が家に来たニュージーランドのジミーが言っていた。
リンゴは朝食に一個、
干し柿は昼食に二個。
息子や孫たちが帰ってきたとき、
いちばんのおやつ。


マサト君が来た。
農業は始めたばかり、まだ収入はない。
これまでのアルバイトも仕事が打ち切りになった。
この冬、どうする。
どこかで仕事を見つけねばならない。
その相談。
どうしたらいいものか。