暮らし

 モヤシ

畑から人声がする。 案山子(かかし)が三体、思い思いの服装をして立っている。 右手にジョウロを持った案山子もいる。 日傘が三本、案山子から離れて、 これまた思い思いの場所に立っている。 一枚の畑の一角に支柱が並び、トマトが十本ほど、 緑の色を濃…

 種まき、苗植え

ツキヌキニンドウが咲いている。もらってきた古材でつくった柱のアーチに、モッコウバラと白薔薇がからみつき、今年はうっそうと茂って花をつけてくれた。その反対側からスイカズラ科のツキヌキニンドウがはいあがるが、バラの勢いが優っている。 サツマイモ…

 不整脈

夜中に目が覚めた。なんとも名状しがたいこの感じ、苦しくはないが正常ではない、胸のあたりにぼやんとくる不快な圧迫感。不整脈だな。脈を診るとやはり脈が跳ぶ。 ここ三年ほど不整脈は克服したと思っていた。去年は蝶ガ岳、一昨年は常念岳にも登った。最後…

 桜の命、アリの命、人間の命

冬の寒気と春の暖気が、気まぐれに入れ替わり立ち替わりやってきて、 春の到来を待って出てきた生き物たちを翻弄する。 キアゲハが、出てきたとたんに、氷点下の寒気が襲った軒下で動けなくなっていた。太陽が昇り気温がぐんぐん上がる10時ごろ、キアゲハを…

 日曜日、古い材木をもらいにいった

自転車に乗って投票所に行く途中、イワオさんの家からチェーンソーの音が聞こえてきた。堅い木を切っているような音だ。 投票場には役所と区の役員が投票箱を部屋の真ん中に置いて、取り囲むように座っていた。新区長のカズトさんがいる。最敬礼してニヤリと…

 フキノトウ味噌

朝6時前にランを連れて家を出た。運動靴でとことこ行くと、野の道を左から秀さんがゴールデンレトリバーのカイちゃんとともに現れた。ランはカイに走り寄り、鼻をくっつけてかぎあう。ランのボーイフレンドだ。秀さんと会うのは久しぶりだった。 「矢口のじ…

ルビコン川を渡る

日の出は6時ごろになった。冬の底だったころから1時間は早い。夜明けと目覚めは連動している。晴れの朝は日の出前の空が明るいから、自然に目覚めも早くなる。起きようか、もう少し寝ていようか。5時40分、起きて朝のウォーキングに行こう、という気が起こっ…

 私の年賀状

昨夏6月から7月、オーストリアのチロルへ妻と気ままな旅に出、脱原発をやりとげ、他国の原発による電気は輸入しないという徹底した政策をとるオーストリアの、自然・環境・文化・芸術薫る街や村、山を歩いて日本という国をつくづく考え、 8月、若い人たちが…

 2015年元日

昨日雪かきした道に、 今朝また雪が軽く降り積もっていた。 孫たち3人にランを連れて、散歩に出る。 道はかりかりに凍結し、上を雪がおおっている。 車のわだちが二本、朝から車が一台通っていったらしい。 元旦は車の姿がない。 子どもたちが滑って転倒す…

 眼鏡

写真・チロルの村で 老眼鏡の一部がこわれた。めがねを支えるのは両耳と鼻梁の上の部分、その鼻に当てて支える二つの小さな部品の片方が取れてなくなっている。日曜日の夜の日本語教室で気がついた。この老眼鏡は、小さな文字を読むときのために、スーパーマ…

 ひたすら無念

今朝は霧が深かった。犀川に発生する川霧が野を覆う。ランと歩いていくとランの黒いしっぽに霧の水滴がついて白くなる。霧の向こうでランを見つけた小学生の女の子三人が、十字路で立ち止まって、 「ランちゃんだあ、ランちゃーん」 と叫んでいる。声を聞いて…

 カフェがほしい、

<前穂高東壁 その下が奥又白 蝶ヶ岳から> コーヒーを飲まない日は寂しく、たっぷり飲んだときは満ち足りた気がする。コリコリとコーヒー・ミルを回して、香りをかぎながらお湯をそそぎ、たっぷり大きなマグカップにコーヒーを淹れる。いっとき家内は生豆を…

 シモン芋

どえりゃあ大きな芋だ。シモン芋を収穫した。今日は気温が高い。スコップで掘っていくと息切れがし、汗が額から流れ落ちた。土のなかから白い芋の肌が見えると慎重に掘っていったが、スコップが芋の一部に当たってしまうと、いくつか途中でちょんぎれた。ス…

 種まき

ホウレンソウの種を播いた。堆肥と苦土石灰を入れて畝立てし、さらに木灰を入れ、表土に畝間の土をかぶせた。堆肥と苦土石灰を入れたばかりではすぐ種を播かないほうがいいが、しばらく寝かせる余裕がない。すぐに播きたい。そこで別の土を表土に1、2セン…

 栗の実

有賀さんから、庭の栗の実が落ち始めたので取りにおいでと電話をいただいた。以前から声をかけてもらっていたので、二つ返事で自転車に乗って、手袋と火ばさみをたずさえ、有賀さんの家に行った。有賀さんは仕事で出かけてしまい、奥さんもこれから出かける…

 草刈り

<写真・黒豆> 雨続きで草がぼうぼうと生え、今年の夏は何度も草刈りをした。8月の終わりごろから、草刈りができていなかったが、昨日はさわやかに晴れ、今朝は気温も低く、久しぶりで、肩から吊るした草刈機を回して刈った。 草刈機は、二年前から円盤をは…

 コウモリの侵入

昨夜、工房の室内を、コウモリが一羽飛んでいるのを目撃した。初めての実物の確認だった。 工房の中にコウモリが入っていることは一昨年から分かっていて、糞が落ちているのを発見したし、干からびた死骸も何度か見つけた。 昨年ドクダミの花の咲くころ、庭…

ムクゲの花、クヌギの苗木

窓を開けると、ヤマボウシの枝の下に一むら、ピンクのムクゲの花が咲いている。 玄関を開け放つと、そこにもピンクのムクゲの花が開いている。 ムクゲは毎日何本かの小枝に、 1個ないし2個の花を咲かせる。 どの小枝の先端にもつぼみを3個から5個つけて。ぼ…

 孫たちと暮らすお盆

お盆に二家族の孫たちが帰ってきて、朝の散歩は、ランを連れて、3人の孫と出かける。来年小学生に上がる女の子、ホノちゃんとアーちゃん二人と、小学2年生のセイちゃん男の子。 セイちゃんは朝5時に眼を覚まして、出かけるのを待っている。 散歩途中で秀武さ…

 海三郎君が来た

チロルの山で おととい土曜日の午後、海三郎君が来た。春に来る予定だったが、この季節になった。 中学校のとき彼は学校新聞部員であり登山部員だった。ぼくはその両方の顧問をしていた。 同じ新聞部員だったマルちゃんから突然手紙があったのは去年だった。…

農の暮らし

午前5時10分、朝のウォーキング出発。今日の目標は、烏川渓谷まで上って、右岸から橋を渡り、まだ歩いたことのない左岸の道を下ってくるというコースだ。野道を上っていくと、カカシのおっちゃんが何かを植えていた。 「おはようございます。何植えてるんで…

生活樹林を市民の生活の場に

今日も早朝、烏川渓谷までランと歩いた。高校生だろうか、少年が一人、釣りの準備をしていた。 「何を釣るんだい」 「岩魚です」 「毛ばりで釣るの?」 「いいえ、川でカワムシをとって、それで釣ります」 「うまく釣れるといいね」 「ありがとうございます…

 今年はどの山へ登ろうか

大阪の学校の夏休みは7月21日からだった。 夏休みに入ると、学校から生徒たちの声が消えた。がらんと静まるグランドや教室に、一部の部活の子どもたちの声だけが聞こえる。乾いた運動場に夏の日が照り返す。広がる解放感と自由はたまらない魅力だった。もう…

 旅の間、ランは

旅の間、ランはご近所の宮田さんがお世話してくださった。昼間は我が家の工房の軒下で過ごし、午後6時ごろに宮田さんと散歩して、宮田さんの家で過ごした。とうちゃん、かあちゃんのいない一日目の夜は、ランはなかなか眠らなかったという。宮田さんもなかな…

 牛久の人への感謝

「安曇野ひかりプロジェクト」の、福島の子どもたちを招く保養ステイに、みつこさんからカンパが送られてきた。ありがとうございます。ありがとうございます。 昨日書いた灰谷健次郎さんは、当時その著に、茨城県の牛久沼の住井すゑさんを訪れたときのことを…

 フクちゃん、ホウキを持ってやってきました

ドクダミの茎葉が、庭いちめんに伸び、 白い四弁の花を咲かせている。 ブルーべリーを植えたところにも、 垣根の下にも、 梅花うつぎの根方にも、 ドクダミが盛んに生えている。 ドクダミ茶を作るのは、今が適期だ。 ドクダミを根元から摘んで、陰干しする。…

 朝の道

チャコとチコのママが脇道から出てきて、前を行く。 豆シバのチャコとマルチーズのチコ。 小さなチコが好きなランは、追いつこうとまっしぐら。 「久しぶりですねえ」 「久しぶりだね」 ランは、チャコを無視してチコのところに行く。 「トウモロコシは二本…

 チェーンソーで薪づくり

秋雄さんが持ってきてくれた リンゴの伐採木を、 チェーンソーで40センチ内に切断する、 次の冬の薪だ。 まずは目立て、チェーンソーの輪になって並ぶ刃を 目立てする。 細長い丸やすりを 刃の穴に入れて、 刃の切れ味を高める角度に数回ずつ、研いでは次へ …

 悲しい出来事

安曇野を流れる開削水路は、この地では堰と呼ばれている。何何堰と名前がついた堰がいくつかある。その中でも拾ケ堰は安曇野の堰の中でも最大規模だ。 昨日、ゴミステーションに行く道で出会ったMさんが、 「K子さんが、拾ケ堰に落ちて流され死んだだよ」 と…

 ベトナム青年、畑をつくる

昨日の日曜日、日本語教室にシャンサイを庭の畑から引き抜いて持っていった。シャンサイが最近の暑さでとう立ちしそうであったことと、ベトナム人実習生が、シャンサイを食べたくて店で買ってくると聞いたことがあったことと、それを思って持って行ってやろ…