2015年元日

昨日雪かきした道に、
今朝また雪が軽く降り積もっていた。
孫たち3人にランを連れて、散歩に出る。
道はかりかりに凍結し、上を雪がおおっている。
車のわだちが二本、朝から車が一台通っていったらしい。
元旦は車の姿がない。
子どもたちが滑って転倒すると危ない。
車道をやめて、枯れ草の頭を出した野の道を行く。
空は一面雪雲におおわれ、太陽は隠れ、周りの山々は見えず。
今年小学生になるアーちゃん、「足がつめたいよー」。
今年小学生になるホノちゃん、「くつに雪がはいったよー」。
今年小学3年生になるセイちゃん、「手がつめたいよー」。
ぐるりと見渡すと雪の原のどこにも人影はない。
カラスが2羽、あてもなく羽ばたいて行く。
たくさん熟柿を枝につけた柿の木が一本、
鳥が食べた跡がある。
矢口さんの家の前までやってきて、そこから車道に入った。
94歳の矢口のじいちゃん、どうしておられるかなあ。
新年を迎えられただろうね。
入退院を繰り返してこられた1年、散歩する姿を見なかった。
しんと静まった矢口さんの家。
じいちゃんは戦時中、十代後半から24歳にかけて、
海の特攻隊、特殊潜航艇の製造にかかわり、
そのすべては家族にも秘密だったという話をしてくれたのは、
やはりじいちゃんも野の道の散歩のときだった。
1945年、製造工場はアメリカ軍の爆撃を受け、労働者はすべて爆死した。
偶然、じいちゃんは親の危篤の知らせを受けて我が家に帰っていて、
命が助かった。
何度もぼくに話しをしてくれた、じいちゃん、
「これまでだれも信じてくれんかった」と言った。
雪道を帰る。
オミソちゃんをつれてランニング散歩をしている、オミソのおばさんが、向こうからやってくる。
「みんな整列」
孫たちに声をかける。道の脇にみんな横一列に並ぶ。
「ランちゃんはお座り」
ランが腰を下ろす。
「あけまして、おめでとう、と言うんだよ」
オミソおばさんが近づいてきた。
それ、
「あけまして おめでとうございます」
おばさん、びっくり仰天、
「あけまして おめでとうございます ほんねんも よろしくおねがいします」