昨日雪かきした道に、
今朝また雪が軽く降り積もっていた。
孫たち3人にランを連れて、散歩に出る。
道はかりかりに凍結し、上を雪がおおっている。
車のわだちが二本、朝から車が一台通っていったらしい。
元旦は車の姿がない。
子どもたちが滑って転倒すると危ない。
車道をやめて、枯れ草の頭を出した野の道を行く。
空は一面雪雲におおわれ、太陽は隠れ、周りの山々は見えず。
今年小学生になるアーちゃん、「足がつめたいよー」。
今年小学生になるホノちゃん、「くつに雪がはいったよー」。
今年小学3年生になるセイちゃん、「手がつめたいよー」。
ぐるりと見渡すと雪の原のどこにも人影はない。
カラスが2羽、あてもなく羽ばたいて行く。
たくさん熟柿を枝につけた柿の木が一本、
鳥が食べた跡がある。
矢口さんの家の前までやってきて、そこから車道に入った。
94歳の矢口のじいちゃん、どうしておられるかなあ。
新年を迎えられただろうね。
入退院を繰り返してこられた1年、散歩する姿を見なかった。
しんと静まった矢口さんの家。
じいちゃんは戦時中、十代後半から24歳にかけて、
海の特攻隊、特殊潜航艇の製造にかかわり、
そのすべては家族にも秘密だったという話をしてくれたのは、
やはりじいちゃんも野の道の散歩のときだった。
1945年、製造工場はアメリカ軍の爆撃を受け、労働者はすべて爆死した。
偶然、じいちゃんは親の危篤の知らせを受けて我が家に帰っていて、
命が助かった。
何度もぼくに話しをしてくれた、じいちゃん、
「これまでだれも信じてくれんかった」と言った。
雪道を帰る。
オミソちゃんをつれてランニング散歩をしている、オミソのおばさんが、向こうからやってくる。
「みんな整列」
孫たちに声をかける。道の脇にみんな横一列に並ぶ。
「ランちゃんはお座り」
ランが腰を下ろす。
「あけまして、おめでとう、と言うんだよ」
オミソおばさんが近づいてきた。
それ、
「あけまして おめでとうございます」
おばさん、びっくり仰天、
「あけまして おめでとうございます ほんねんも よろしくおねがいします」